体調を気遣う言葉の例文集。ビジネスメールで目上の人に使う方法
ビジネスメールにおいて、上司や取引先など相手の体調を気遣う言葉を知っていますか? 仕事の用件のみで無機質になりがちなやりとりも、相手を気遣う言葉や敬語を知っていれば良好な関係作りにも一役買うはずです。この記事では、気遣いのあるメールや返信方法についてマナー講師の三上ナナエさんに教えてもらいました。
ビジネスの場でのやり取りは、意識しないと用件のみになりがちです。
しかし毎回本題だけの内容となると冷たく、距離を感じさせてしまうかもしれません。信頼関係を構築して協力し、成果を上げるためにも、お互いに気遣う言葉は大切です。
ここでは具体的な「体調を気遣う言葉」のバリエーションをお伝えしますので、円滑なコミュニケーションにつなげていきましょう。
なぜ「体調を気遣う言葉」が役立つのか
基本的にビジネスは相手の立場になって求めていることに応える、役に立つことを提供することで成り立ちます。
「相手の立場になる」とは、想像しながらコミュニケーションを取ることが基本。
状況に合わせた相手を思う気遣いの言葉は、“相手の立場をおもんばかれる人”という印象を与えます。
特に体調を気遣う言葉は、慌ただしいことが多いビジネスシーンでは心が温まるホッとする言葉として、当たり障りなく相手に届きやすいのです。
目上の人の体調を気遣う言葉4選
上司や取引先の人など、目上の人の体調を気遣う場合はどんな言葉が適切でしょうか? ここでは代表的な3つのフレーズを紹介します。
(1)「ご自愛ください」
「ご自愛ください」の意味は「お体を大事にされてください」という意味です。
ですから「お体をご自愛ください」は「体」が重複するのでそのようには言いません。
「ください」は命令形になっていますが、相手の健康に対して願い想いを込めた言葉なので、目上の人に対しても使って問題ないでしょう。
(2)「お大事になさってください」
相手が体調不良の時は「お大事になさってください」を使ってみましょう。
「お大事に」は語尾を省略した言葉ですので「お大事になさってください」まで書くことで丁寧さが伝わります。
「ご無理をなさらず、お大事になさってください」など一言添えると、お見舞いの気持ちを相手に伝えられるはずです。
(3)「心よりお見舞い申し上げます」
相手の体調や関係性などによっては、よりかしこまった「お見舞い申し上げます」を選ぶのも良いでしょう。
(4)「ご養生ください」
体調が悪い人、病気やけがの治療をしている人を労わる場合、「ご養生ください」「養生なさってください」を使うことができます。
「お大事にしてください」という気持ちを、より丁寧に表現した言葉です。
シーン別「体調を気遣う言葉」例文
ここでは、4つのシーンで使える「体調を気遣う言葉」をそれぞれ紹介していきます。
(1)季節の変わり目で体調を気遣う言葉
気温差が大きく体調を崩す人も多いので、「あなたには気を付けてほしい」という気持ちが伝わります。
・「季節の変わり目ですので体調にお気を付けください」
・「季節の変わり目ですのでお風邪など召されませんようお気を付けください」
(2)時期を意識して体調を気遣う言葉
季節感を取り入れたあいさつは、四季の移り変わりを大切にする日本における礼儀の1つともいえます。
・「春らしさを感じる日も増えてまいりましたが、肌寒い日もございますのでお体にお気を付けてお過ごしください」
・「新年度を迎え(控え)お忙しい時期とは存じますがお体を大切にされてください」
・「しばらくは暑い日が続くようですがどうぞご自愛ください」
・「夏の疲れが出やすい時ですので、どうぞお体を大事にされてください」
・「朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりましたが体調管理にはお気を付けくださいませ」
・「師走に向け忙しい時期となってまいりますが、どうぞお元気にお過ごしくださいませ」
・「厳しい寒さが続いておりますがご健康とご活躍をお祈りしております」
・「どうぞご安全にお過ごしください」(昨今の感染症が心配される時期)
(3)久しぶりにやり取りする相手に対して体調を気遣う言葉
久しぶりに連絡を取る際は少し緊張しますよね。そんな時も気遣いの言葉を添えると温かみが出ます。
「ご無沙汰しております」という正式なあいさつからスタートしましょう。
一般的には3カ月以上連絡を取ってない相手に使います。
「お久しぶりです」は人によっては砕けた印象を与えます。上下関係を気にしない距離の近い関係にはOKですが、お客様や取引先には使わないようにしましょう。
ちなみに「ご無沙汰」という言葉ですが、「沙汰」=「便り」「知らせ」のこと。
ですから、「無沙汰」は便りがないという意味です。本来は定期的にご連絡をするべきところ、できていない状態を申し訳なく思う気持ちです。
「ご無沙汰」を使う場合
・「ご無沙汰をしております」
・「久しくご無沙汰いたしましたこと、大変申し訳なくお詫び申し上げます」
「ご無沙汰」を使わない場合
・「長らくご連絡を怠り、深く反省をしております」
・「長らくご連絡をせず、心苦しく存じております」
その後、相手の安否などを気遣う言葉を続けます。
・「いかがお過ごしでしょうか」
・「お変わりございませんでしょうか」
・「お変わりなくお元気でいらっしゃいますか」
・「お変わりなく過ごしていらっしゃいますでしょうか」
・「お変わりなくご活躍のことと存じます」
・「〇〇の影響がまだ心配なこの頃ですが、ご無事にお過ごしのことと存じます」
お返事が来たら、こちらからの返信の中に「お元気なようで安心いたしました」と一文入れましょう。
だいぶ間が空いてしまった方へは、相手が「誰だっけ?」とならないよう、どこの誰かはもちろん、関わった仕事内容も伝えるようにすると良いですね。
・「ご無沙汰しております。以前〇〇のお仕事を一緒にさせていただきました株式会社〇〇の〇〇でございます」
さらに自分の近況も報告しながら、これまでのお礼の言葉、共通の話題を添えると良いでしょう。
・「現在も〇〇地区の〇〇担当として仕事をしております。〇〇様にはAの件で非常にご尽力をいただき大変感謝しております」
(4)入院中・療養中の相手に対して体調を気遣う言葉
せっかくの気遣いの言葉も重すぎたり軽すぎたりしないよう、病状をある程度は確認してから内容を考えます。
病欠中は特に気持ちが沈み、また仕事ができない焦りもあります。温かな言葉は特に、その場にいない人へも気遣いができる人なのだな、と印象に残るでしょう。
・「ご無理をなさらずお大事になさってください」
・「心よりお見舞い申し上げます」
・「今はご静養に専念なさってください」
・「経過が良好だと伺い安心しております。早い復帰をお待ちしております」
・「お仕事は気に掛かることとは存じますが、十分にご静養なさってください」
・「一日も早くお元気になられ、お顔を拝見できますよう、お祈り申し上げます」
・「くれぐれも十分なご加療、ご静養で一日も早いご回復を心からお祈りしております」
療養中の人に対して復帰ができる、できないをこちら側が考えすぎず、どんな状況であっても「待っている」と伝えることが、お見舞いの気持ちとして相手にも届きやすいです。
▶次のページでは、避けるべき「忌み言葉」を紹介します。