【第一回】不倫をしたらどうなるの?
相手が既婚者だと知らずに不倫していたら?

相手が既婚者だと知らずに肉体関係を持ってしまった、それが相手の妻にばれて慰謝料を請求されたという場合、慰謝料の違いはありますか?

知らなかったし、知っていたら付き合わなかったというのは言い分としてあるでしょう。アラサーくらいの女性だと、相手が独身だと本当に信じてしまって交際してしまったということはあり得るけど。
これがもう少し年をとって、人生経験が豊富だったにもかかわらず、本当に知らなかったという言い訳はきかないかなって感じですね。10代の若い子とアラフォーの女性では、まったく話が違うでしょ、と。

はい。ただ、請求する側からすれば、既婚者と知らなかったと言われても困りますよね。だからどうしたみたいな。でもやったんでしょって思います。

結局はその人の成熟度ですよね。10代の女の子を騙すのと40代の女性を騙すのではだいぶ違うよね、の話で、アラサーの女性はまさにその境目にいると感じますね。

恋愛経験があるかないかでも、だいぶ変わってきますよね。

そうでしょうね。
「慰謝料の相場」はない!?

この、不倫の慰謝料についてはマイナビウーマンの読者はすごく気になる部分だろうなと思うのですが。

気にするのはよく分かるのですが、こちらはあまりはっきり言いたくないところがあって。結局、ケースによる、としか回答のしようがないんですよね。相場がある分野のように聞こえるけれど、相場がある事件はありません。だいたいこれくらいです、と言うのも憚られるかもしれない。

関係性とか期間にもよりますよね。簡単に「相場は300万円です」とか書けることではない、と。

そうですね。それは正確ではありません。

自分が支払う慰謝料について、減額はできるのでしょうか?

交渉次第ですね。究極はその人の支払能力なので。

ここでもやっぱり支払能力なのですね。普通に働いていて年収300万円くらいだとして、100万円の慰謝料でも払うのは厳しい人は多いですよね。

はい。で、事案の性質上、本来なら一括で払って、はいさようなら、となるべきなのですが、支払能力が無いために分割で払わせてくれということだってあるわけですよね。
その分割も、何年にもわたって、というわけにはいかない。何年でもいいから償ってもらうという人ももちろんいますけれど。

私が知っているケースだと、実家の親が代わりに払うこともあって。これは一般的でしょうか。先生が扱ったケースではありますか?

それは何件もあります。結局、誰が払ってくれるかは関係ない。財布がどこにあるかはね。

減額をお願いすることはできるけれど、それがかなうかどうかはまた別の問題ですよね。下げてくださいと誠心誠意お願いするしかないでしょうか。

誠心誠意というよりは、払えませんというのが一番大きいのではないでしょうか。仮に100万円の賠償責任を負うとして、月に1万ずつ払うのを果たして飲んでくれるかという話ですよね。全部、交渉です。話合いです。

謝罪をしっかりして、償いますという姿勢を見せて考えていただくのがいいのでしょうか。

その、よく「償います」とか言うんですけど。結局そういうのって言葉だけですよね。本来は行動で示さなくてはいけなくて、それは金額に反映するだろうと考えられます。

これだけ悪いことをしたのだからと。

そう。これだけのことをしたのに50万円で勘弁してくれとか言われたら、「えっ?」ってなるじゃないですか。「誠意を見せろ」って言葉がありますけど、誠意というのは金額で示すしかないですね。

された側からすればそれが本音ですよね。

きれい事でも何でもなくて、最終的にお金で解決するしかない。償うところはそこしかないんです。
弁護士に相談したい! 相談料はいくらかかる?

不倫をしていて相手の妻から訴えられ、弁護士に相談したいと思ったら、相談料は弁護士事務所によって違うものですか?

弁護士次第でしょうね。相談料を取る人もいるだろうし、私は初回に関しては時間制限無しで無料でやっています。

決まりがあるわけではなくて、事務所それぞれで決めていいのですね。

そうですね。事務所というよりは、その弁護士さん次第だと思います。

だいたい1時間いくらくらいの設定が多いでしょうか。

30分5,500円の、1時間11,000円ですね。いずれも税込みです。

なるほど。分かりました。
慰謝料に相場は無いけど、やっぱり不倫はダメ!
濵門弁護士の、「慰謝料に相場はない」という言葉が強く印象に残りました。検索してみると「だいたいこれくらいです」と金額が書いてある記事もありますが、現実では単純に決まるものではなく、案件の背景やその人の支払能力によって決定されるというのが実情のようです。
だからといってばれたら「逃げればいい」では済まないのが不倫です。社会的な評価は下がり多くの人に迷惑をかけた過去は想像以上に尾を引き、自分を苦しめます。
第二回は、配偶者が不倫をしていた場合、妻としてとれる行動について引き続き濵門弁護士にお話を伺います。
(監修:濵門俊也、取材・文:ひろたかおり、イラスト:タテノカズヒロ)
※この記事は2022年12月25日に公開されたものです