【第一回】不倫をしたらどうなるの?
10代や20代前半の頃はドラマや漫画の中の話だった「不倫」が、年を重ねるにつれて身近なところで話を聞く機会があったり、友人が不倫していたりと、本当にあるんだ! と実感することが増えていきませんか? でも、実際に不倫をしたらどうなるのか……その行く末までを聞いた事がある人は少ないかもしれません。今回は弁護士の濵門俊也先生に、不倫について気になる事柄をインタビュー。全3回でお届けします。
不倫がバレた場合、相手の妻から請求される慰謝料はいくらくらい?
既婚者と付き合っていてそれが相手の妻側にばれてしまい、慰謝料を請求された場合、払う必要はありますか?
必要があるか、という問いに対しては何ともいえません。その行為が立証できるほどの証拠があったりとか、その行為を本人が認めていたりとかする場合には、慰謝料を請求することは相手ができます。
相手が請求をすることはできる……というと?
どんなことでも請求することはできるけれど、ただし証拠が無ければ、裁判所ではその事実を認めてくれないよ、ということですね。だから、証拠は無いけれど本人が認めたって場合には、請求して払ってもらえばいいわけです。
先生が実際に扱った家事事件のなかで、慰謝料の支払いがあったケースではだいたいいくら請求されていましたか?
ピンキリですよ。払ってくれるケースなら500万もありました。慰謝料については、その人の支払能力が一番大きいです。請求自体はだいたい三桁を超えた額になりますけど、そのうえで相手が認めてくれるのが、数十万から200までいかないくらいの額になることが多いですね。
裁判において「最強」な人
相手が既婚者だと分かっていて不倫した、肉体関係を持っていた場合の慰謝料は、悪質だから当然高くなりますよね?
故意と過失では、民法上の責任、不法行為の損害賠償責任はあまり関係無いようですね。
ん!? 関係無いのですか?
より悪質だといえることはできるのかもしれないけれど。かといってものすごく差があるということにはならない。
そうなのですね……。
慰謝料の額って、日本の場合すごく低いんですよね。アメリカって、賠償額がものすごく高いじゃないですか。アメリカでは懲罰的損害賠償という制度が導入されているからです。
罰として金を払えという制度ですよね。
そうです。日本は相当因果関係説という考え方が主流で、行為と損害との間に相当な因果関係があるものについて認めましょう……といった判断になります。だから、べらぼうに高い金額にはなりにくいんです。
なるほど。
マイナビウーマン読者の年齢だと、ずば抜けて周りの人より稼いでいる、とは考えにくいですよね。先ほども言いましたが、支払能力の問題です。
妥当な線で落ち着く、みたいな。普通に働いているアラサー世代なら、目が飛び出るほどの額にはらないのですね。
悪質であってもね。最強なのは、お金を持っていない人です。
……払わなくて済むから。
はい、そうです。
……やられ損ですよね。
やられ損という言われ方をされても仕方ないかなと思います。