婚活女性の敵! 「結婚詐欺師」の手口と見分け方
婚活をはじめようとしている女性に気を付けていただきたいのが、結婚したい女性をターゲットにした結婚詐欺です。
今回は、結婚詐欺の手口や被害に遭いやすい女性の特徴などを弁護士・堀井亜生が解説します。
結婚詐欺の手口とは?
結婚詐欺の手口の基本は、結婚を匂わせてお金を取ることです。
多くの場合、婚活サイトや婚活パーティーといった場にいる女性が狙われます。結婚したい人が集まってくるためターゲットを探しやすいのに加え、参加者同士にもともと人間関係がないので、だましやすく、だましたあとは連絡を絶ちやすいからです。
人間関係が薄いという点では、アルバイト先の同僚同士で結婚詐欺の事件が起きることもあります。逆に、同じ会社の社員同士や昔からの知人同士など、共通の知人が多い状況で結婚詐欺の被害が起きることは稀です。
結婚詐欺の手口の一番の特徴は、何といっても結婚を餌にすることです。
「結婚したい」とストレートに言う場合もあれば、はっきりと言わずにほのめかす場合もありますが、どちらにしても結婚したいと思っている女性はその時点で一気に舞い上がってしまいます。
結婚できる、幸せになれるという喜びで判断力が鈍り、相手の素性を確認しないまま何でも言うことを聞きたくなってしまい、そこに「お金を貸してほしい」と言われてまとまった金額を渡してしまう……というのが一般的な結婚詐欺のパターンです。
結婚詐欺に遭いやすい女性の特徴
結婚詐欺師は誰にでも声をかけるわけではなく、だましやすそうな女性を選んで近付きます。ここではターゲットにされやすい女性の特徴を解説します。
結婚したい気持ちが強い人
結婚したいと思っている女性は、「あなたと結婚したい」と言われると、まるで強烈なパンチをくらわされたように判断力を失ってしまいます。
したがって、結婚したいと強く思っている人ほど結婚詐欺にだまされやすくなってしまいます。結婚したい気持ちをはっきり表に出していればいるほど、結婚詐欺師に狙われる可能性が高くなると言えるでしょう。
自分に自信がない人
自分に自信がない人は警戒心が強くてだまされにくそうと思うかもしれませんが、実はその反対です。
普段から「私なんて結婚できないかも」「私なんて誰にも好かれないかも」と思っている人ほど、突然出会った相手に「結婚しよう」と言われたときに舞い上がってしまう傾向にあるので注意が必要です。
真面目そうな人
お金のない人からお金をだまし取ることはできないので、結婚詐欺師はお金を持っていそうな人を狙うことになります。浪費をせずコツコツと貯金をしていそうな、真面目な人は自然とターゲットにされやすくなります。
ひとりで抱え込んでしまう人
困ったときに知人に相談せず、ひとりで抱え込んでしまうタイプの人も狙われやすくなります。友だちが少ない、家族と離れて暮らしているなど、知人が少ないタイプも同様です。
結婚詐欺の実例紹介
では、結婚詐欺はどのような流れでお金をだまし取るのでしょうか。実際にあった結婚詐欺の実例を紹介します。
その1「あなたを養うために資格を取りたい」
A子さん(40代女性)は、婚活サイトでB男さん(20代男性)と知り合います。B男さんはデートをするようになるとすぐに「あなたと結婚したい」とプロポーズをして、A子さんは大喜びします。
しかし、B男さんは「結婚してあなたを養うために資格を取りたい、だから受験勉強のための学費を貸してほしい」と言います。A子さんはそれで結婚してくれるならと、貯金をかき集めて500万円を渡しました。
ですが、その後何年経ってもB男さんは試験に受かる様子はありません。それどころか試験を受けている様子もありませんでした。その上結婚を前提に交際しているはずなのに、B男さんはあれこれと理由を付けて家族に会わせてくれません。
不審に思ったA子さんが携帯のメールを見てみると、B男さんが既婚者であることがわかりました。もちろん資格試験も受けるというのも嘘でした。
その2「会社の資金繰りが……」
C美さん(30代女性)は飲食店で自称会社経営者のD輔さん(40代男性)と知り合い、親しくなりました。結婚したいねと言い合うようになった矢先、D輔さんに「実は会社の資金繰りが厳しい」と言われました。
重要な取引の入金が遅れていて、急いで埋め合わせないと会社が潰れてしまうと言われ、C美さんは恋人の役に立てるならと20万円を貸しました。その後も似たような話が続き、少し貸すだけだからと思って渡し続けたお金は全部で300万円になりました。
C美さんの貯金が底をついてこれ以上貸せなくなると、D輔さんと連絡が取れなくなりました。
結婚詐欺師の見分け方
結婚詐欺が目的の交際は、普通の交際と異なる点が多数あります。これらのポイントを頭に入れておくと、「もしかしてこの人は結婚詐欺師では」と早い段階で気が付けるようになります。
まず、交際をはじめてすぐ、場合によっては最初のデートで結婚の話を持ち出すという点です。結婚詐欺師の側からすると、何年も交際をしてからだますのでは効率が悪くなるので、だませそうな相手かどうかを判断するためにすぐに「結婚しよう」と言って反応を見るわけです。
次に、相手の家族や友人に会わせてくれないという点です。家族と離れて住んでいるから、友だちには結婚式で紹介するからなどと理由を付けて、決して会わせようとしません。本当に結婚するつもりなら家族へのあいさつは必須ですし、自分の親しい友人にも紹介したいと思うものなので、家族や友人に会わせたがらない人には注意が必要です。
また、結婚に条件を付けるところも不自然です。「何歳になったら結婚しよう」といった約束をすることはもちろんありますが、「資格が取れたら」「○万円貸してくれたら」など、お金が絡んだ条件を付けなければ結婚できないというケースは普通ならまずありえません。
そもそも、交際している男女の間でまとまった金銭の貸し借りをすること自体が稀です。本当に大切な相手ならお金の面でできるだけ迷惑をかけないようにするものですが、結婚詐欺師に「お金が必要だ」「君以外に頼れる人がいない」などと言われた女性はついうれしくなって、疑問を持たずにお金を渡してしまいます。「普通の交際なら大金の貸し借りは発生しない」ということは忘れないようにしましょう。
結婚詐欺を防ぐのは人間関係
これまで結婚詐欺について解説してきましたが、こういった被害に遭わないようにするためには何が重要なのでしょうか。
結婚詐欺の相談に来る人にはある共通した特徴があります。それは、相談のときに「詐欺に遭いました」とは言わず、「彼氏が結婚してくれないんです」「お金を貸したのに連絡が取れなくなったんです」という言い方をすることです。
何かがおかしいと思って弁護士のところに来たのに、それでもまだ自分がだまされたとは自覚していません。それほど相手のことを信じ込んでしまっているのです。
上に挙げたような実例や結婚詐欺の見分け方を読むと、「自分はこんなものに引っかからない」と思うかもしれません。実際、結婚詐欺の手口は単純で、冷静であればまず誰もだまされることはありませんし、友人からこういう話があってと相談されたらすぐさま「その人、おかしいんじゃない?」とアドバイスするでしょう。
しかし、「君が好き」「結婚しよう」と言われると、人はうれしくなって舞い上がり、判断力を失ってしまいます。そして、自分のことを好きと言ってくれた人の役に立ちたいと思うあまり、言われるままにお金を渡してしまうのです。
好きと言われて喜ぶ、人の役に立ちたいと思う。そんな当たり前の心理につけ込んで相手を信じ込ませるのが結婚詐欺です。その反面、冷静な気持ちに立ち返れば必ず「これはおかしい」と気付くことができます。舞い上がった気持ちを冷静にさせてくれるのは、家族や知人からの「その人、おかしいんじゃない?」のひと言です。
結婚を前提にした普通の交際なら、2人で結婚しようと約束するだけでなく、お互いの家族や知人に会わせるなど、交際が進むにつれて2人を中心にした人間関係が広がっていくものです。
一方結婚詐欺師はそういったことをせず、家族に会わせなかったり友人に相談させないようにしたりして、2人だけが孤立した関係を作り、その中で相手をだまし続けます。大勢の人間関係の中にいると、2人が不自然な交際をしているのがばれてしまうからです。
結婚詐欺に遭わないために一番大事なことは、相手以外との人間関係をきちんと継続させることです。結婚しようと言われてうれしくなったあまり、家族や知人との連絡をなおざりにしてしまうと、詐欺に遭っていることを周囲に気付かれにくくなってしまいます。
こういう人と付き合っている、結婚しようと言われたけれどお金を要求された……ときちんと相談していれば、「それは詐欺かもしれないよ」と言われて冷静になることができるでしょう。
結婚詐欺を防ぐのはまわりとの人間関係です。結婚したいからといって相手との関係だけにのめり込まず、常に交友関係を広く持っておくようにしましょう。
(堀井亜生)
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※この記事は2022年09月05日に公開されたものです