お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【File58】彼氏の前でトイレにこもるのが恥ずかしすぎた故の奇行

#イタい恋ログ

とうもろ こしき

今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。ライター・コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はとうもろこしきさんのイタい恋。

深刻! 恋人同士のトイレ問題

大学生の頃付き合っていた彼とは半同棲状態で、週の半分ほどを私の家で一緒に過ごしていました。

しかし、これまで男性と長時間同じ空間で過ごした経験の無かった私は、「これ……トイレどうすんだ!?」と生理現象の処理に悩み始めたんです。

狭いワンルームに住んでいたので、部屋とトイレは隣り合わせ。オナラなんてしようもんなら、文字通り一発で聞こえます。私は15分ほどトイレにガッツリこもるタイプなので、「大」に至っては、滞在時間で即バレ必至。乙女ゆえに彼の前でトイレにこもることが恥ずかしかった私は、便意を感じるたびに耐えて耐えて耐えまくり、しっかり便秘になりました

一方で彼はというと、大なのか小なのか大変わかりにくい絶妙な滞在時間(3〜5分)で毎回トイレを出てきます。

これは……大なのか……? でも彼は何も言わないし……。

「ふ〜スッキリした〜。……あ、ウ〇コしてきたよ!」とか一言言ってくれればこっちも楽なのに……わからない……。彼はトイレ問題に関してどう思ってるんだ?

こんな探り合いのライアーゲームのような時間が過ぎていきました。

私が辿り着いた解決策「〇〇〇〇トイレスタイル」

彼氏が家にいるタイミングで大をするわけにはいかん……。そう思いながら半同棲生活を始めて数週間後、ついに私にピンチが訪れます。

それまでは、彼と1日おきに会うか、長くても2日連続(2連泊)で会うくらいしかなかったので、私はなんとか便意を我慢できていました。もちろん彼が帰るたびにトイレに駆け込み、硬くなった便を涙目でひねり出していましたが、それでもなんとかなっていたんです。

しかしその日、彼と同じ部屋で過ごす連続時間が3日目に突入した私は、突如便意を我慢できなくなってしまい、どうしようかと途方に暮れました。今この状態でトイレに駆け込もうものなら、15分は出てこられない……硬くなった便は出すのに時間がかかるから、トイレでの滞在時間ですぐにバレてしまう……一体どうしたら……。

そんなとき、私にあるひらめきが降りてきました。

「……そうだ! こうすれば、彼にバレないのでは……!?」

その夜、ワンルームでテレビを観ている彼に、私はこう声を掛けました。

「ごめん、ちょっとお風呂場で足湯してくる」

そうして部屋から廊下に出て、すぐ右手のトイレには入らず、3歩先の浴室に一人で閉じこもりました。そしてなんと、その浴室のタイルの上にしゃがみこみ、抑え込みの限界を突破していたものをひねり出したのです。

この日を境に、私は便意を感じるたびにトイレではなく浴室にかけこみ、浴室の床で済ますというお風呂場スタイルに傾倒しました。といっても、便意を我慢し続けているせいでウサギのようなコロコロ形状になっており、ティッシュで摘んでトイレに流せば簡単に証拠隠滅が完了。

その後は彼に「足湯気持ち良かった〜。……長引いちゃってごめんね」などと伝えることで完全犯罪を遂行していました。

とにかく「こしきちゃんがトイレにこもっている、これは……ウ〇コだ!」という状況にさえならなければ、人としてアウトな行為(お風呂場ウ〇コ)でもなんでも良かったんです。それくらい、私にとって彼前ウ〇コは重罪だったんです。

(※編集部注:衛生的に問題のある方法です。マネしないでください)

私が“トイレの呪縛”から解放された瞬間

しかし、その彼と別れて別の男性と付き合ったとき、私は衝撃を受けました。

彼は交際直後から「おれ今からウ〇コしてくる! キバるでー!!」などと宣言するタイプだったので、私も特に羞恥心を感じることなく堂々とトイレにこもることができたんです。これには私も「これが人の相性か……」と感動したのを覚えています。

簡単に言うと、1人目の彼氏はトイレ問題を触れてはいけない恥ずかしいことだと思っていた一方で、2人目の彼氏はその手の感覚が一切なく、排泄という生理現象にめちゃくちゃオープンだったんです。

2人目の彼は「腹痛い! ウ〇コしてくる!」と宣言して10分ほどトイレにこもり、「めっちゃ出た! 臭いから1時間はトイレ行けへんで!」と謎に主張してくるような人でした。

彼との交際当初は(あぁ……またお風呂場でウ〇コしなきゃ……)と思っていた私も、彼の「羞恥心って何?」なスタイルに影響されて、交際2カ月目には「お腹痛いからトイレにこもってくるー」と普通に言えるようになっていました。

そう、この時に私は“トイレの呪縛”から解放されたんです。

女の「トイレ問題」に対するスタンスは、彼氏のスタンスにかなり影響されます。こういう人といると楽だなぁ……「大」も全然うしろめたくないし、オナラを我慢しすぎて腸がパンパンになることもない。便秘ともガス溜まりとも気まずい雰囲気とも無縁だし、なんて健康的な交際なんだ……。

そう思った私は、以後「トイレ問題」を堂々と宣言してくれる男性を好むようになりました。

イタい恋から得た教訓「恥ずかしい部分を見せられない相手とは、大した相性じゃない」

私はこの経験から、自分の恥ずかしい部分を見せられない相手とは、大した相性じゃないと感じるようになりました。

排泄行為のような生理現象は、生活をともにする上で避けては通れない問題です。お互いに格好をつけるばかりで、その手の行為をタブー視してしまう関係性のカップルは、将来的にあまりいい相性とは言えないと思います。

また、私はこの経験からもう1つの学びを得ました。それは、「彼氏と一緒にいる時間に“大”をしてはいけない」という女性ならではの羞恥心や強迫観念を、自らの言動で払拭してくれる男性こそが真のイイ男だということです。

生理現象は恥ずかしいことではないし、俺たちの間でそれはタブーじゃないよね! ということをあえて示すために、自らオープンなスタンスを取ってくれる男性は、間違いなく思いやりのあるイイ男です。

そのため、私はこの「お風呂場でトイレを済ませていた」というイタい恋愛の経験から、“お互いの恥ずかしいところを見せ合える相手”や“こちらの羞恥心を取り払ってくれる男性”をパートナーにしようと決意しました。

男女といえど、結局は人と人。綺麗な部分しか見せ合えない関係性ではきっとうまくいきません。みなさんも、自分の恋愛に当てはめて考えてみてくださいね。

(文・とうもろこしき、イラスト・菜々子)

※この記事は2022年07月24日に公開されたものです

とうもろ こしき (ライター)

京大出身の元ホステス。趣味は男女関係の観察・分析。仕事柄身についた対人テクニックを恋愛に応用する手法を書籍やSNSで発信している。
Twitter:@toumorokoshiki
note:https://note.com/club_monogoi

この著者の記事一覧 

SHARE