「アンビバレンス」の心理学的意味とは? 原因や具体例、解消方法も解説
アンビバレンスが生じる原因
ここまでいろいろなアンビバレンスを見てきましたが、なぜこのように「どちらも選べない」といった状況に陥るのでしょうか?
次は、その原因について考えてみましょう。
かなり複雑な原因があるのではないかと思われるかもしれませんが、整理してみると意外にシンプルだということが分かります。
注目すべき点は、アンビバレンスをつくり出している2つの異なる欲求です。
先ほど挙げたケースを使って、具体的に説明します。
「この仕事を辞めて楽になりたい。でも、この仕事を続けたい」というアンビバレンスの場合、背景にあるのは「楽になりたい欲求」と「今の仕事を続けたい欲求」です。
「楽になりたい欲求」は身体的もしくは精神的な欲求であるのに対して、「今の仕事を続けたい欲求」は職業選択に関する欲求ですので、欲求の質が異なります。
つまり、異質な欲求を同列に並べて選択しようとしているために、どちらも選べなくなっているのです。
例えば、「味にこだわらずたくさん食べたいか、少しでも良いからおいしいものを食べたいか」と質問されたら、あなたは何と答えるでしょう?
おそらく、「時と場合による」とか「どちらとも言えない」といった答えになるはずです。
量の問題なのか、味の問題なのか、選択の基準が明確でないと選ぶことはできません。そのため、どちらを選ぶか迷うのは仕方がないことなのです。
このように、本来は比較できない2つのものを比較しようとすると、アンビバレンスに陥ってしまうことがあります。