セックスの時に濡れないのは体質? 5つの理由と解決法
濡れやすい体になるための解決法
このようにセックスの際、濡れにくいことには何かとデメリットがあります。それらを避けるためにも、濡れやすい体になることはできるのでしょうか?
じつは性的刺激への反応には個人差があり、女性全員がはじめから濡れやすいわけではありません。性的刺激に慣れたり、経験を重ねたりすることで徐々に濡れやすい体になっていきます。そのための方法をいくつか紹介します。
(1)潤滑ゼリーや保護用ジェルを使う
物理的にうるおいを足せばすべてが解決するわけではありませんが、潤滑ゼリーは「感じているのに濡れにくい」という人にとって、セックスを円滑に進めるための潤滑剤となり得ます。性的興奮を感じているのに濡れにくいという場合、濡れないことにストレスや緊張を覚え、さらに濡れにくくなることも少なくありません。潤滑ゼリーはそうしたストレスの解消につながります。
決して使うのが恥ずかしいものではなく、無理して痛みを我慢するくらいなら、ゼリーを使って徐々に体を慣らしていくほうがよいでしょう。
なお、潤滑ゼリーに抵抗があるならば、その代わりとして使える、腟の保護を目的とした保湿効果のあるジェルもあります。保湿ジェルであればスキンケアと同様、デリケートゾーンのお手入れとして日常的に使えるので、恥ずかしさが少し軽減されるかもしれません。
(2)セルフタッチングで性的興奮をしやすくなる
セルフタッチングとは自分の性器に自分で触れる、セックスセラピーの手法のひとつ。意味としては、自慰をあらわす「マスターベーション」とほぼ同じです。濡れやすい体になるには、女性もセルフタッチングを通して「気持ちよくなる」感覚を身につけておくのが有効です。
自分自身で触れてみることで、気持ちいいと感じるポイントがわかったり、性的刺激にも慣れたりして、濡れやすくなっていくでしょう。
(3)気持ちいいポイントをパートナーに伝える
セルフタッチングで自分の気持ちのいいポイントがわかったら、それをパートナーとのセックスでも得られるようにしましょう。パートナーからの性的刺激が気持ちよければ「そのまま」や「続けて」と伝えたり、刺激が強いと感じたら「もう少しやさしく」や「ソフトに」と言ってみたり、刺激する場所を変えてほしい時は「もう少し上にして」と伝えたりするとよいでしょう。
ただし、パートナーがアダルトコンテンツの過剰な演出に影響されて、あまりに強くクリトリスを刺激するなど、女性の性器の適切な刺激の仕方をわかっていない場合は正しい知識を身につけてもらう必要があるかもしれません。
その時はセクシャルヘルスリテラシーについて書かれた本やDVDを一緒に見てみましょう。女性の体の反応を知り、正しい性的刺激の方法を学んでもらうのが近道です。
(4)セックス前には水分を積極的に摂取する
腟の潤滑液は水分です。乾燥や水分不足でも体液の分泌が少なくなり、濡れにくい状態になることがあります。のどの渇きを感じていない場合でも、意外と水分不足に陥りがち。セックスの前にはしっかりと水分補給を行いましょう。
(5)必要に応じて婦人科治療も
人によっては、エストロゲンの不足など体のトラブルが影響して、濡れにくい状態になっていることも考えられます。エストロゲンの不足は腟や膀胱、尿道組織を萎縮させ、腟の乾燥感、外陰部のかゆみ、刺激症状、性交痛などの症状を引き起こすことがあります。
思い当たる症状があったり、生理不順があったりする場合は婦人科を受診してみましょう。隠れているトラブルを解決することで、セックスライフが充実することもありますよ。
一気に全部行おうとせず、自分が無理なくできることから、少しずつトライしてみましょう。
濡れない自分を責めないで
先ほどもお伝えしましたが、女性全員がはじめから濡れやすいわけではありません。性的刺激に慣れたり、経験を重ねたりすることで濡れやすい、性的刺激に反応しやすい体になっていくのです。
ですから、濡れない自分を責めたり、経験が浅いことを恥じたりする必要はまったくありませんが、潤滑液が適切に分泌されることは腟の潤滑力を高め、気持ちのよいセックスにもつながります。
改善したい気持ちがあれば、先に紹介した解決法のうち、できるものに少しずつトライするほか、必要に応じて婦人科も適切に受診しましょう。信頼のおける婦人科医は、セックスのことのみならず、あなたにとっての頼れるサポーターになってくれるはずです。
(文・構成:山本尚恵、監修:宋美玄先生)
※画像はイメージです
参考文献
[*1] ジェクス ジャパンセックスサーベイ2020
https://www.jfpa.or.jp/sexsurvey2020/
※この記事は2020年11月13日に公開されたものです