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生理でだるいのはなぜ? 倦怠感の原因と対処法

松峯美貴(産婦人科医・医学博士)

生理でだるい時の対処法

だるさを改善するには、症状とどのように向き合えばよいのでしょうか。

病院で受診することを検討して

「月経前症候群(PMS)」や「生理の異常」「月経困難症」などのだるさは、生理のせいだから仕方がないと考えず、婦人科で診察を受けましょう。

PMSや生理によるだるさは原因や症状が多様で、いくつかの原因が重なっていることも多いので、治療法は1つではありません。患者さんのつらいことをよく聞き、症状を軽減するための生活上のアドバイスをするとともに、多くの治療法の中から適した方法や薬をコーディネートしていくケースが多いです。

だるさなど生理で起こるトラブルを放置すると、症状を悪化させる要因になることもあるので、早めに相談してください。(松峯先生)

生理に関連するだるさ、治療は?

まず、生理の異常や月経困難症を引き起こしている原因疾患があるのであれば、必要に応じて治療を行います。そして、PMSや月経困難症の各症状に合わせた“対処療法”も行います(痛みなどには鎮痛薬などを処方)。

低用量ピルの服用

なお、共通する治療の選択肢の1つに、低用量ピルがあります。低用量ピルは生理周期に大きく関わる2つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が配合された口から飲む薬です。卵巣から分泌される女性ホルモンを外から取り入れ続けるため、卵巣はお休みして女性ホルモンの分泌も排卵も止まります。結果として、女性ホルモンの変動がほとんどなくなるため、生理による体調や気分の変調もなくなります。

薬による治療(薬物療法)にはいくつも選択肢があります。低用量ピルなどは服用している期間だけ一時的に排卵を止める薬で、使用を中止してしばらくすると排卵が再開します。薬について疑問や不安があるときは主治医や薬剤師とコミュニケーションをとり、用法や作用についてよく理解・納得して、利用しましょう。 (松峯先生)

生理についてフランクに話せる機会をもとう

生理のことや、心身のだるさなどの症状は人に話しづらいことかもしれません。松峯先生は「話しづらい」ことのストレスも症状を悪化させる場合があると指摘しました。

つらく不快な症状がある生理に対して『面倒くさい』といった気持ちをもつのは自然です。

症状を軽減する治療を受けながらも、フランクに話す機会をもつこともストレス解消に大切ですから、身近に話せる人がいなかったら、婦人科で主治医に話し、心の負担も軽くしてください。(松峯先生)

適度な運動や睡眠などでリフレッシュを

生理期間だけに限らず、健康をベースに快適な毎日を過ごすために、松峯先生は「ゆとりをもって心と体のメンテナンスをする時間をもってほしい」と話しました。

特に生理期間中にだるいときはだるさに身をまかせて、休養たっぷりに過ごしましょう。だるさの原因に応じた治療を受けながら、無理をせず過ごすことが大切です。

特にPMSではカウンセリングを行って、適度な運動や睡眠・生活習慣の改善などの指導を行います。家でのんびりしながらできる美容ケアやストレッチを試すなど、忙しくてもなるべくリフレッシュできるオフタイムをもって、夜には約7時間(25〜45歳の場合)、連続した睡眠をとってください [*9]。(松峯先生)

だるさなど生理中のつらい症状、仕方がないと思わず病院へ

生理に関係してつらい症状があるときは、「生理だから仕方がない」とは考えずに、婦人科を受診して、相談してください。

だるさなど、不快な症状を起こす「月経前症候群(PMS)」や「生理の異常」「月経困難症」などは治療で改善が期待できる病気です。

生理期間中のだるさにはいくつもの原因が考えられるため、自分自身の原因を調べ、適した治療やケアを受けましょう。

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献

[*1] 産婦人科外来パーフェクトガイ.医学書院,P82,83

[*2] 病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科」(メディックメディア),p36

[*3] 産婦人科外来パーフェクトガイ.医学書院,P13

[*4]「病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科」(メディックメディア),p37
産婦人科外来パーフェクトガイ.医学書院,P79,80,81

[*5] 日本臨床検査医学会 貧血
https://www.jslm.org/books/guideline/36.pdf

[*6]「日本人の食事摂取基準 2020年版」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

[*7] 厚生労働省 「e-ヘルスネット 貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html

[*8] 女子栄養大学レシピサイト 貧血の基礎知識と予防に効く食事
https://www.eiyo.ac.jp/recipe/sp/feature/view/vol:1/lesson:3/

[*9] 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

※この記事は2020年10月27日に公開されたものです

松峯美貴(産婦人科医・医学博士)

医学博士、東峯婦人クリニック副院長、東峯ラウンジクリニック副所長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(いずれも東京都江東区)。

妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします! どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

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