「ミイラ取りがミイラになる」の意味とは? 語源や使い方について
「ミイラ取りがミイラになる」という言葉、一度は耳にしたことがあるという人もいるのではないでしょうか? 今回は「ミイラ取りがミイラになる」の意味や語源、使い方などについて、ライティングコーチの前田めぐるさんに解説してもらいました。
「ミイラ取りがミイラになる」。初めて聞く人も、「意外と言うよ」という人もいるかもしれません。
「ミイラ取りがミイラになってどうする!」という表現を見聞きすることもあります。
意味を知らない人でも、何となく喜ばしい状況ではないことだけは感じられるのではないでしょうか。早速調べてみます。
「ミイラ取りがミイラになる」の意味
「ミイラ取りがミイラになる」とは、次のような意味です。
ミイラ取りがミイラになる
人を連れもどしに出かけた者が、そのまま帰ってこなくなる。転じて、相手を説得するはずが、逆に相手に説得されてしまう。(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「ミイラ取りがミイラになる」の語源
「ミイラ」はポルトガル語からで、漢字では「木乃伊」と当て、死体が腐らずに乾燥して固まったもののことをいいます。
ミイラをはるばる探しに行った者自身が、ミイラになってしまうことに由来しています。ミイラ取りはなぜミイラを探しに行ったのでしょうか?
古来、エジプトでは、死者の復活が信じられていました。脳と内臓を取り出してそれぞれつぼに入れ、死体は数十日間薬液に浸け、後に乾燥させて防腐剤を塗り、麻布で厳重に巻き、ミイラとしてからひつぎに納めました。
古代末期から中世にかけて、このミイラから取れるミイラ油が万能薬として珍重されたそうです。そこで、人々は貴重な薬を求めてミイラを探すようになったのです。
しかし、砂漠の旅はもちろん過酷。行き倒れになってしまったミイラ取りが、乾燥した気候の下でミイラになることもありました。
こうしたことから「ミイラ取りがミイラになる」とは、
・連れ戻しに行った人が役目を果たすことなく、とどまってしまい帰ってこない
・説得しに行ったのに、逆に説得されてしまう
という意味を示すようになりました。