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「NO」と言う勇気を持って。三代目JSB山下健二郎流・正直に生きる方法

太田 冴

マイナビウーマンのコア読者は“28歳”の働く未婚女性。今後のキャリア、これからどうしよう。結婚、出産は? 30歳を目前にして一番悩みが深まる年齢。そんな28歳の女性たちに向けて、さまざまな人生を歩む28人にインタビュー。取材を通していろんな「人生の選択肢」を届ける特集です。

取材・文:太田冴
撮影:須田卓馬
編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部

三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーとしてのみならず、俳優、朝の情報番組『ZIP!』のMC、ラジオパーソナリティなど多岐にわたって活躍している山下健二郎さん。

これだけの活躍を目にしていると、その爽やかで気さくな笑顔の裏にはよほどの努力が隠されているのだろうな……と思っていた。

いや、努力していないわけがない。けれど、当の本人は「僕は本当にラッキーボーイなだけ。努力したわけでも何でもない」と無邪気に笑うのだ。

その活躍ぶりを支えているのが「努力」じゃないと言うのなら、何なのだろうか? 話を聞いてみると、そこには「努力」を超越した強固な「マイルール」があった。

大学を中退して選んだダンスの道

山下さんは2020年7月17日公開の映画『八王子ゾンビーズ』で主人公・羽吹隆を演じている。ダンサーになる夢を諦め、自分探しのために寺に修行に行く、不器用な青年の役だ。

順調に夢をつかんでいるように見える山下さんにも「自分探し」をしていた時期があったという。高校を卒業した後のことだ。

「一応大学に入ってみたものの、目標が見つからず、すぐに中退してしまったんです。それまでバイトしかしてこなかったので、何をして生計を立てていけば良いのか、と迷いましたね」

悩んだ挙句、当時から大好きだったダンスの専門学校への進学を決めた。

「結局、自分が好きなことしかできないなと思ったんです。自分が好きなものって何だろう、と考えた時に思い浮かんだのが、ダンスと釣り。両方の専門学校のパンフレットを並べてどちらにしようかと考えた結果、ダンスに決めました」

専門学校へ通う日々の中で、ダンスへの夢は固まっていったという。

「当たり前ですけど、ダンスの専門学校にはダンスが好きな人しかいない。同じ目標を持って頑張っている仲間がこんなにもいるんだと思うと、心強くなっていきました」

専門学校を卒業したものの、ダンスで食べていくのはそう簡単なことではない。オーディションに受からなければ仕事がないという環境の中で、何とか自力で道を切り拓いていかなければならなかった。

「ダンスの世界には、就職という概念がないんです。社会人というよりは、日雇いに近い感覚。誰かのバックダンサーになれたとしても1回きりで終わることもあります。ダンスがうまければ使ってもらえるし、うまくなければ使ってもらえない。完全なる実力主義でした」

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でのテーマパークダンサーを経て、2007年にEXILEのバックダンサーの座を獲得。一気に運命が動き出した。それからの活躍は、周知の通りだ。

諦めなかったのは“ぶっちぎりでダンスが好きだから”

明日の仕事があるかどうかも分からない厳しい世界。決して楽ではないダンスの道を諦めずに続けてこられたのはどうしてなのか、と聞くと「ぶっちぎりでダンスが好きだったから」と即答した。

「好きじゃなかったら絶対やめてます。楽しいから、やめられなかった。それしかないです」

“好きを仕事にする”。それ自体は耳触りのいい言葉だけれど、実際に“好き”を仕事にすると、しんどいこともあるはず。それでも山下さんは“好き”という感情にこだわり続けている。

「何でもそうですけど、無理してやっていたら何もかもがしんどい方向に行っちゃうことってあると思うんです。僕は、好きなことをして食べていきたい。

もし20年後、30年後にダンスよりも好きなものができたら、多分僕はそっちで働いていると思います。いつだって、熱量があるものに全力を注いでいたい」

NOと言う勇気を持ったら生きるのが楽になった

自分の好きなことを貫く。ごくシンプルなことだけれど、それを実行するのは難しい。実は山下さん自身も、昔から我が道を貫けたわけではなかったという。

「20代の時は、すごく気にしいな性格で、周りの意見やSNSの投稿ばかりを気にしていました。でも、30代になって急に『なんでこんなこと気にしてたんだろう』って思えたんです。目が覚めたというか。100人いたら100人違うことを言うのは当たり前。それに気付いてから、すごく気が楽になりました」

その意識の変化が、仕事への向き合い方も変えた。オファーをもらったら何でもやる、というスタンスから、自分の意思を持って選び取るようになった。

「嫌なものは嫌だ、と言えるようになりました。嫌いなものを無理してやるよりも、自分の好きなものを持って、その輪を広げて行く方が楽しいことに気付いたんです。NOと言う勇気を持ってから、すごく楽しくなりました。

もちろん、オファーを断るのは怖い。でも、仮にそれで仕事が減ったとしても自分の責任だから納得できる。また違う形で自分の好きなことにチャレンジしていけば、何度だって勝負できると思ったんです」

仕事を自分で選び取るようにしてから、大切にしているルールがある。その名も“5秒ルール”だ。

「例えば何かオファーをされて、5秒悩んでしまったらNOと言うようにしています。本当に自分の心がYES だったら、即答でYESって言えるはず。悩むっていうことは、答えはNOなんです。今はそうやって、自分の心に正直に生きるようにしています」

「努力すれば夢がかなう」っていう考え方は嫌いなんです

グループとしても個人としても、これまでたくさんの夢をかなえてきた山下さん。ずばり、夢をかなえるための秘訣は何なのだろうか。返ってきたのは、少しドキッとする言葉だった。

「僕、“努力すれば夢はかなう”みたいな考え方がすごく嫌いなんです。『努力してます』『頑張ってます』っていう言葉の裏には、きっとネガティブな要素が含まれてると思うんですよ。本当に好きなことは、頑張らなくても勝手に黙々とやってしまうもの。

僕自身は、ものすごいラッキーボーイだと思います。自分の努力のおかげで夢がかなったなんて全く思いません。素晴らしい出会いがたくさんあったのと、ダンスをこよなく愛していた、というだけです」

心からの謙虚さと、“ダンスをこよなく愛していただけ”という言葉。そこには、夢をかなえてきた理由が詰まっている感じがした。

遠回りしてでも、自分に嘘はつかないで

意外にも、お酒が飲めないという山下さん。人間関係でも「無理のない付き合い方をした方がいい」と話してくれた。

「無理してお酒を飲んでいた時期もありました。でも今は、一応乾杯はするけれどその後はずっとお茶を飲んでます(笑)。

マイナビウーマン読者の方たちには『自分のポリシーを大切に貫いた方が生きやすいし、楽しいよ』って言ってあげたいです。もちろん人様に迷惑は掛けちゃいけないけれど、無理をして人の意見に合わせる必要はない。

僕も、遠回りしたかもしれないけれど、今は自分の好きなことで仕事ができている。自分に正直に生きて良かったなと思っています」

“自分のポリシーを貫く”。一歩間違えればわがままだと受け止められかねない言葉なのに、山下さんの語り口はとても柔らかで、すんなりと心に入ってきた。

リラックスした空気感と、自分の“好き”を貫く強さ。その心地良いバランスが、彼の活躍ぶりを支えているのだろうと確信した。

INFORMATION

映画『八王子ゾンビーズ』

斬新な設定とインパクトのあるビジュアル、キャスト陣のコミカルなアドリブで中毒者が続出した舞台『八王子ゾンビーズ』。2万3000人以上の動員を記録し、大盛況となった伝説の作品を、舞台に引き続き、鈴木おさむが映画化!

2020年7月17日(金)全国公開!

予告編はこちら

※この記事は2020年07月15日に公開されたものです

太田 冴

ライター/平成元年生まれ。舞台、韓国ドラマ、俳優、アイドルグループ、コスメなどを幅広く愛する雑食オタク。ジェンダー・ダイバーシティマネジメント・メンタルヘルスなどの社会問題にも関心あり。30歳で大学院に入学し、学び直しをしました。

●note:https://note.com/sae8320

●Twitter:https://twitter.com/sae8320

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