お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

ポジティブに邁進する「ポジキャリ」。キリンビール金惠允さんの働き方 #働くわたしの選択肢

#働くわたしの選択肢

太田 冴

「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。

「きゃー! ビール、止まらないんだけど!(笑)」

1月某日の朝、コンクリート打ちっぱなしのオシャレなビアホールからは、叫びにも似た声が。店内に足を踏み入れると、従業員とともにビールサーバーの前で準備に追われる、パーカー姿の女性がひとり。どうやらビールサーバー調整の真っ最中らしい。

(あれ? キリンビールの、社員さんだよな……?)

てっきり、スーツやオフィスカジュアルのお洋服を着て、堅い雰囲気をまとった方がいらっしゃるのかと想像していたわたし(偏見丸出し、すみません……)。その固定概念は、見事に覆されることになるのです。もちろん、いい意味で!

今回お話を伺ったのは、キリンビール株式会社の企画部と兼務して、キリンのクラフトビール事業を展開するブルックリンブルワリー・ジャパン株式会社で働く、金 惠允(キム・ヘユン)さん、33歳。

取材日は、金さんが手がけるビアホール「B(ビー)」のオープン前日というバタバタのタイミング! なんとこのお店、日本橋兜町にオープンしたばかりの話題の複合施設「K5」の地下にあるんです。

店内の素敵な雰囲気にワクワクしながら、開店準備中の金さんをつかまえて、おいしいクラフトビールを片手にお話を聞いちゃいました。

わたしたちのクラフトビールを「体験」してほしい

今日はよろしくお願いします! ……って、めちゃくちゃお忙しそうですね、金さん!
明日オープンなんです! 昨日は施設全体のレセプションパーティーがあって、1,000人近いお客様に来ていただいたんですよ〜。あ、ビール飲みながら、お話します?
えっ、じゃあ、お言葉に甘えて……。それにしても、素敵な店内ですね。

内装にこだわったのでうれしいです! 実は店内の壁画は、ニューヨーク在住の日本人アーティスト・中山誠弥さんに来ていただいて、描いてもらったんですよ。

わたしたちブルックリン・ブルワリーはニューヨークのブルックリンというところで生まれたクラフトブルワリーなので、今回はアメリカの本社にあるテイスティングルームと同じアーティストにお願いしたんです。ブルックリン、行ったことありますか?

ないです! 海外ドラマでよく出てくる、あの素敵な街ですよね?

そうです! ブルックリンって、今は流行の発信地のようなホットプレイスになっていますが、約30年前までは治安が悪く、活気のない街だったんです。

そこで、当時ブルックリンに住んでいた創業者が街を活性化するために作ったのが、わたしたちがこちらの店舗でご提供する「ブルックリン・ブルワリー」というブランドのビールなんですよ。

金さんは、その「ブルックリン・ブルワリー」の日本法人で、アカウントダイレクターという役割を担っていると聞きました。どんなお仕事なんですか?
「アカウント」というのは、ツイッターやインスタグラムの「アカウント」と同じように「接点」「窓口」という意味があるんです。つまり、「お客様との接点作り」がミッションです。
接点、というと?

やることは、とても幅広いです。わたしたちのクラフトビールを店頭に置いていただけるように営業もしますし、この店舗のように、わたしたちのブランドをお客様に体験していただく場を作るのも仕事です。

「ブルックリン・ブルワリー」というブランドをいかにお客様に好きになっていただくか、ということを日々考えているんです。

おもしろそう! では、このお店も、好きになってもらうための手法のひとつということですね。
はい。ビールって、味や飲み心地だけが魅力ではないと思うんです。ビールを通して楽しい時間を過ごす、という「体験」をしていただきたくて、このお店を作りました。フード、音楽、アートなどのさまざまなカルチャーを、ビール片手に楽しんでいただける店内になるように、工夫したんですよ。
たしかに、すごく自由で開放的な空間ですよね。
そうなんです。テーブルなどの配置を変えてライブ会場としても使えますし、アートの展示会にも使えるように照明などの設備にもこだわりました。もちろんいろいろな種類のおいしいクラフトビールを取り揃えているので、普段はビアホールとして楽しんでいただけます!

とても楽しそうですが、お店を作るってすごく大変そうです。
そうですね。3人のチームでやっていますが、このプロジェクトの専任はわたしだけ。責任を感じながらも、楽しくやっています。
ひとりで……! それはプレッシャーですね。つらくないですか?
もちろん大変ではありますが、自分ひとりでやれることは増えました。実は去年の3月までキリンホールディングス本社の社員として働いていて、そのときは大きくて複雑な組織の中の一員でしたが、今は上司がブルックリンブルワリー・ジャパン株式会社のCOO(最高執行責任者)っていうくらい、小さな組織で働いているんです。
直属の上司がCOOってすごい!
その分、意思決定のスピード感もありますし、「上司がやれって言ったのでやりました」みたいなことは通じません。失敗が許されないという緊張感はありますが、裁量が大きくなって、自分がすごく成長できている実感はありますね。

異動してすぐのわたしは、暗いです(笑)

新卒でキリンビールに就職されて11年目ですよね。これまでは、どんな仕事をされてきたんですか?
はじめは福岡の工場に配属されて、ビールの生産の過程を学びました。そのあとは同じく福岡でスーパーなどの営業を5年間担当し、東京本社の人事部に異動してからはダイバーシティ推進・働き方改革などに携わりました。
かなり幅広い領域のお仕事をされてきたんですね。
そうなんです。そういう意味では、キャリア迷子ですね(笑)。次にどういう仕事ができるかな、というのは考えます。本当に幅広い仕事をさせてもらえているので。

たしかに。そもそも、ぶっちゃけた話、今の会社でずっと働き続けようと思っているんですか……?
実は最初は、2~3年くらいで辞めようかな、と思ってたんです(笑)。
えっ。じゃあ、どうして今まで続けてこられたんですか?

キリンの人を好きになった、というのが大きいですね。はじめに配属された福岡で出会った社員がみんな本当にいい人だったんです。

就活のとき、キリンの社員がみんなすごく楽しそうに仕事をしているのが印象的で入社を決めたのですが、異動を重ねてもそれは変わらなかった。どこにいても、キリンの人はキリンらしさがある、ということがわかったのはうれしかったです。

たしかに、一緒に働く人って大事ですよね。逆に、不満に思っていることはないんですか?
今のポジションについてからは、業務委託先など、社外の方と働くことが増えて、気づくことは多くありました。一般的な考え方かもしれませんが、会社員というのは組織を構成するひとりとして「会社が向かっている方向性に向けて、言われたことをいかにちゃんとやるか」というのがベースにあるとずっと思ってたんですよ。嫌なこともやらなきゃいけないし、だからこそお給料をもらえているんだ、って。
めちゃくちゃわかります。しんどくて当たり前、みたいな気持ちになりがちです。
でも、外部でいろいろな仕事をする方と接する中で「こんな暮らし方があるんだ」「好きを仕事にするってこういうことなんだ」と、新たな価値観を学べましたね。もっと自分らしくいていいんだ、と思いました。今は、任された仕事をいかに早く好きになるか、が肝だと思っています。
すごく前向きな考え方ですね! 尊敬します。

でもわたし、やっている仕事を好きになるのに時間がかかるタイプなんですよ(笑)。
えっ、意外です。
異動先が決まった瞬間「やったー!」と思えたことなんて、ないです。配属されてから1年くらいは、大抵すごく暗い(笑)。「なんでわたし、ここにいるんだろう?」という疑問が頭から離れなくて。
暗い金さん、想像つきません。

違う部署の同期に「つらいよ〜」って弱音を吐きに行ったりもしますよ(笑)。

でも、「今自分がここにいる意義」みたいなものは探そうとするんです。上司に「どうしてわたしをこの部署に配置したんですか?」「わたしは何を期待されているんですか?」って直接聞いたりもします。

はじめは上司に言われたことが理解できないんですが、受け取ったキーワードを頭の片隅に置きながら仕事をしていると、なんとなく「自分がここにいる意義」がわかってくるんです。

なるほど。そもそも、弱さを吐露したり正直に上司に話せたりする自然体な姿勢がすごいと思います。
そんなに簡単にできているわけではないですよ。最初は悶々としていますから(笑)。もっと早く自分の存在意義を見つけられるようになりたいなっていつも思いますね。やっぱり、意義を見つけてマインドセットされてからの仕事は、抜群に楽しくなります!

ひとつのチャプターごとに「爪痕」を残したい

今日お話を聞いて、とてもポジティブに楽しく働いている印象を受けました。金さんの、働く上でのこだわりって何ですか?
わたしは「バリキャリ」「ゆるキャリ」のどちらも好きではないですし、自分はどちらでもないと思います。人はみんな人生でいろんなことを経験しますから、「バリキャリ」のときも、さまざまな事情で「ゆるキャリ」を選択せざるをえないときだってあると思うので、キーワードにはこだわりたくないです。でも、「爪痕を残したい」という気持ちはいつも持っています。
「爪痕」というと?
この規模の会社だと、二度同じ仕事をできることって少ないと思うんです。だからこそ、「金がこれをやった」「金がここを変えたよね」と言えること・言ってもらえることを成果として残したいんです。
かっこいい! そういう考え方で働きたいです。
大きな組織で働く人を見ていると、前任者に引っ張られている人が多いという印象を受けます。「これまでこうしてきたから」「前任者がこうだったから」とか。
たしかに、組織が大きければ大きいほど「誰がやっても同じ」と思いがちです。

でも、それだと会社として新しいものが生まれないと思うんです。得意なことも好きなことも、社員ひとりひとりちがうはず。それぞれが爪痕を残していければ、会社は進化していくと信じています。

わたしは、新たな役割を任されるたび、それぞれを自分の中のひとつの「チャプター」だと考えているんです。

自分史における1ページ、という感じでしょうか。
はい。わたしももちろん、仕事に気が乗らないときもあるし、逆にバリバリやりたいときもある。でも、ベースとしては「爪痕を残したい」という気持ちがあります。これからも、チャプターごとに自分なりの意義を見つけて、爪痕を残していきたいですね。

INFORMATION

「ブルックリン・ブルワリー」フラッグシップ店「B(ビー)」

クラフトビール「ブルックリン・ブルワリー」の世界初フラッグシップ店。ブランドの基幹商品に加え、ここでしか飲めない直輸入ビールやオリジナルビアカクテルなど多種多様なビールを楽しめる。

住所 東京都中央区日本橋兜町3-5「K5」地下1階
平日 16:00~23:00 
土日祝日 13:00~23:00
年中無休(変更の可能性あり)
http://www.brooklynbrewery.jp/

(取材・文:太田冴、撮影:洞澤佐智子、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

太田 冴

ライター/平成元年生まれ。舞台、ドラマ、映画、俳優、アイドルグループ、コスメなどを幅広く愛する雑食ミーハー系オタク。ジャニーズはいつも好き。最近は朝ドラ「スカーレット」の十代田八郎さんが好きすぎて毎朝悶えている。労働環境・ジェンダーなどの社会問題にも関心あり。

●note:https://note.com/sae8320

●Twitter:https://twitter.com/sae8320

この著者の記事一覧 

BACKNUMBER 「#働くわたしの選択肢」をもっと見る

MORE

SHARE