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恋の主体は常に「私」。ハロプロ恋愛ソングのセオリー #ラブソングのB面

#ラブソングのB面

小沢あや

聴く人、聴く環境によって「ラブソング」の捉え方はさまざま。そんなラブソングの裏側にある少し甘酸っぱいストーリーを毎回異なるライターがご紹介するこの連載。今回は「ハロプロ」ことハロー!プロジェクトの大ファン、小沢あやさんに「ラブソングのB面」を語っていただきます。

小学生の頃から20年以上ハロプロを追いかけております、小沢あやです。

「特集『恋愛革命2020』に絡めて、ハロプロ楽曲がこれまで『恋愛』をどう描いてきたか、考察コラムにしてもらえませんか?」編集さんからこんな依頼が来ました。ええ、書きましょうとも!

ハロプロといえば多くの楽曲において歌詞の主語は「私」。恋愛ハンターのごとく、常に自分主体、自分名義で恋をしている女たちが主人公なんです。

1999年にリリースされたモーニング娘。の『Memory 青春の光』の主人公は、自分から別れを選び「破って捨てていいよ」と言いながらもメモを残していく女。将来が見えない相手との生活歌った2010年発表の『しょうがない夢追い人』でも、「私」目線でエモーショナルな恋愛を描いています。

今回、さまざまな楽曲の歌詞を紹介したいのですが、著作権上の理由によりニュアンスでしかお伝えできないことをお許しくださいませ。家庭においてオヤジの威厳がなくなったいま、この世で最も恐ろしいものは地震・雷・火事・JASRACなのです……。

「セクシー? キュート? どっちが好きなの?」あややの問いかけ

好きな人の気を少しでもひきたい純情な乙女心を歌った、松浦亜弥さん『ね〜え?』のサビに出てくるフレーズから振り返ってみましょう。

この曲がリリースされた2003年は、『CanCam』をはじめとした赤文字系ファッション誌全盛期。「モテ服」「愛されコーデ」などのコピーがあふれていた時代です。

ただ、あやや様がデート服に迷っていたのは「あなたが好きだから」なのです。そう、不特定多数に媚びるのではなく、「あなた」に向けた愛。女の子は、異性をよろばせ、査定されて選ばれる存在ではない。「私が選んだあなた」に、より好きになってもらうために気合い入れをしているわけです。ここがハロプロの凄さ。

ちなみに、この曲を今のハロプロのテンションで歌うのであれば、「どっちが好きなの?」ではなく「どっちも好きでしょ?」と前のめりに圧をかけてくることでしょう。

現代のハロプロは、より強さを増しているのです。何を着ていても、私は私よ。見た目だけで判断しないで。私のことを決めつけないで。派手じゃないだけで地味な子とか、勝手なイメージやめてよね! の精神なのです。最高。

Juice=Juiceのグイグイ感

今波に乗ってるお姉さんグループJuice=Juiceの楽曲は、『私が言う前に抱きしめなきゃね』(2013年)、『イジワルしないで 抱きしめてよ』(2013年)などなど、タイトルからして「私のこと、口説きなさいよ!」の空気。

『Fiesta! Fiesta!』(2017年)では「情熱を解き放って素直になって」と、前のめりに相手を掴みにいく。性別関係なく、この心意気で生きていったら人生楽しそうです。

◇夏祭りのグループデートで「浴衣を着なかった理由」わかります?

つばきファクトリー『今夜だけ浮かれたかった』についても紹介させてください。

好きな人と夏祭りなのに、浴衣を着なかった主人公。なぜ? 私はすぐにピンときました。直接的なワードなしに女の子の本心を表現できる作詞家・児玉雨子さん、素晴らしいです。松浦亜弥さんの代表曲『GOOD BYE 夏男』の「門限はわざと早い時間教えるものよ」と同じく、ハロプロ名フレーズ。

アンジュルムが歌う「性別を超えた対等な人間」としての愛

そして、アンジュルムの『赤いイヤホン』も名曲。

こんがらがったイヤホンを腐れ縁や赤い糸にたとえ、「Wirelessの時代でしょ? 男なんかにもう女は縛られない」と、自由な生き方を提唱しています。

女は3歩下がってついていくとか、旧来的価値観を超えた素晴らしい歌です。

恋愛は自分主体で

新旧各グループにそれぞれの名曲があります。

前向きな愛も、失恋も、相手に振り回されるのではなく、自分主体でのめりこむことができれば、私の人生エンジョイ! が実現するのではないでしょうか。

(文:小沢あや、イラスト:オザキエミ)

※この記事は2019年12月25日に公開されたものです

小沢あや

フリーランスのコンテンツプランナー/編集者。音楽レーベルで営業とPRを経験後、IT企業勤務を経て、2018年に独立。エッセイのほか、女性アイドルやミュージシャン、経営者のインタビューを多数執筆。

●Twitter:https://twitter.com/hibicoto

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