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「仕事ができない部下」の特徴と対処法

トイアンナ

仕事ができない部下の存在にストレスを抱えてはいませんか? 彼らが、仕事ができないのはなぜか。特徴別の対処法・育て方をコラムニストのトイアンナさんが解説します。

現在、私は32歳。この年齢になると、初めての部下や後輩を持つ方も少なくありません。そして、管理職の誰もが、「仕事ができない部下」に頭を抱えています。

しかし、「仕事ができない」とはどういうことなのでしょうか。

私が社会に出てから8年。その時々によって、私の評価は有能だったり、無能だったりしました。最初は無能な状態からキャリアをスタートさせ、徐々に有能になりました……という上り坂の話ではありません。所属した場所、まわりにいた人によって「無能」「有能」の評価がダイナミックに変わってきた人間だ、という意味です。

今日はそんな観点から「仕事ができない」の本質を少し考えてみたいと思います。

仕事ができない部下の特徴とは?

「仕事ができない」と相談してくる友人たちが述べる、”できなさ”とは、大まかにこんなパターンに分かれます。

(1)業務を覚えるのが下手

物忘れが激しい。頼んだことをやってくれない。

業務を覚えるのが下手なのは、注意力が散漫になる体質だからかもしれません。その人は代わりに営業など瞬発力が必要とされる業務で活躍できる可能性があります。同じ部署でも「ぱっ」と決めて動く仕事を任せてみましょう。

逆に、ミスを許さない業務……たとえば在庫管理とか、校閲の仕事を任せてはいけません。任せているのだとしたら、悪いのは管理職側です。

対処法

まず、すべての指示をメールで送るよう心がけてください。口頭だけで伝えた指示は忘れられやすいため、文章に残すとミスが減ります。

このようなタイプは会話が得意な傾向にあるので、営業に近い立ち回りの仕事を任せてみましょう。内勤でも宴会の幹事や、他部署との調整が得意です。クリエイティブな仕事も向いているので、アイディア出しをどんどん任せてください。

なお、リマインドは当日に。「今日までに〇〇お願いしてたからよろしくね」と朝メールを送ってあげると、ミスが減ります。部下が慣れてきたら、「メールでこれから出した指示は、当日のスケジュールにリマインドを入れるよう自分でやってみて」とお願いしてみましょう。

(2)成長意欲がない

給与が伸びないのに、成長する必要ってあります? むしろ、なぜ我々は成長病に侵されているのでしょうか……もしかして、危ないのは我々のほうでは……?

特に飲食店の店長さんが「バイトがやる気がない、会社を背負っている自覚がない」と怒っているケースを見ますが、会社を背負っていないから当然です。

社員を愛さなければ、社員も会社を愛しません。給与を変えることは、自分の権限では難しいでしょう。けれど「いつもメールでありがとうと言ってくれる」「落ち込んでいるとき、素敵なランチに連れて行ってくれた」などのケアがなければ、人は会社も上司も愛しません。

管理職って面倒ですね、でも管理職ってそういう仕事ですね……つらいけど生きていきましょうね……。

対処法

ランチなどに誘い、腹を割って「私もさ、給与も上がらないのに何やってんだろって、思うことあるんだよね」と話してみてください。

そのうえで「で、〇〇さんのやりがいが少しでも仕事に生まれればいいなって思ってるんだけど、〇〇さんはどういう仕事をしたときにテンションが上がるの?」と聞いてみましょう。

どんな人にもモチベーションが上がる瞬間はあります。成長意欲が少なくても、やる気が出るスイッチを探し、スイッチを発動しやすくなるような仕事を任せるのです。

(3)「常識でしょ?」と思うことができない

「それって常識でしょ?」と思うようなことができない。空気を読まず、自己中心的な仕事ぶりを見せる部下。

たとえば、職場でひとりだけ定時に帰る人などです。

同じチームが夜遅くまで残っているのに、それを放っておいてさっさと帰宅するタイプ。ほかにも、オフィスの電話を取らない、上司が評価する面だけを一生懸命に取り組む……などが挙げられます。

このタイプは、会社での業務をプライベートより下に置いています。

とはいえ、このパターンは職場の体質自体に問題があることも考えられます。

あなたの職場は「大変なら残業してでも助け合え」「面倒な業務はみんなで負担しろ」という、ちょっとブラックな体質を持っているのではないでしょうか(これをブラックに感じられないなら今すぐ有休をとって、会社の携帯電源を切りハワイへ1週間行ってください)。

彼らは労働意欲がないわけではないので「残業を減らすために業務を効率化してくれ」と頼めば全力で業務を最適化してくれます。そして、チーム全体の帰宅時間を早めてくれるでしょう。上の命令にはきちんと従うので、あなたの上司を通じて依頼してみてください。

対処法

まずは、自分の上司へ「〇〇さんは仕事の効率を上げるのが得意なようなので、チーム全体の効率を上げるような仕事を依頼したいのですが」と根回しをしておきましょう。

上長の承認が下りたら、部下へ「〇〇さん、いつも仕事頑張ってくれてありがとうございます。おかげで〇〇さんに任せた業務はいつも早く終わるから本当に助かっています。

それで、申し訳ないんだけど、チームの人が同じように動けるよう力を貸してくれませんか。たとえばXXの業務って、どうやったらもっと早く終わるか、考えて教えてください」と声をかけると◎。部下の長所をチームへ還元するよう促すのです。

(4)不満への感度が高すぎる

普通の指導をしているだけなのに「できないことをやらせるのは苦痛」として人事部へ訴えられる。すぐにパワハラを訴えるタイプ。

こんなとき、まず考えてほしいのは「その人が入社時から、そんなことを訴える人だったか」です。おそらくなんらかのきっかけで心が折れて、訴えを起こしたはず。原因を断てば、問題行動はなくなります。理由を考えてみましょう。

もし、中途入社の社員から入社後すぐに訴えを起こされたなら、前職と比べてあなたの会社は超ブラックに見えているはずです。あなたにはもうそれが「ハラスメント」だと認識すらできないほど、社内にセクハラ、パワハラがありふれているのでは……? 冷静な判断をするためにも、ネットで「〇〇する パワハラ」と調べてみてください。

対処法

まずは、部下の話をじっくり、聞いてください。そのとき、部下の話を否定はしないように。本心では違っても「そうだね、そういうところが会社の課題ではあると私も思う」などと同意してあげましょう。

そのうえで「徐々にだけれども、変えていきたいと思っている。ただ、私の力だけでもどうにもならないのも事実なんですよね。ですから、一緒に社内で力を蓄えて、堂々と意見を言えるくらいになるまで、実力で認めさせてやりませんか」と持ちかけましょう。

そして、あなたもクーデターを起こそうとしていると誤解されないためにも、このやりとりは上長に報告しておきましょう。

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