生理中のナプキンかぶれがつらい。原因とおすすめの対処法 #女の体と心の保健室
強いかゆみがある場合、カンジダ腟炎かも
――かぶれやかゆみの原因が何か、ということを知って対処することが重要なんですね。
高尾先生:そうですね。デリケートゾーンのかゆみは、婦人科でもよく見られる症状。強いかゆみとともにおりものに異常があったり、外陰部のヒリヒリ感などがあったりする場合には、ナプキン由来ではなく、カンジダ・雑菌・トリコモナスといった、病原菌による症状とも考えられます。
カンジダ腟炎・外陰炎はとてもポピュラーな病気です。カンジダは、健康なときでも皮膚などにいる常在菌で、寝不足だったり、疲れていて体調が悪かったり、腟内の環境が変化したり、ムレやすい環境にあったりすると繁殖し、かゆみやヒリヒリ感などを引き起こします。ナプキンの長期使用や性交渉が原因になることもあります。
――デリケートゾーンのかゆみがひどいときに病院にかかるとすると、どのタイミングで受診すればよいですか?
高尾先生:カンジダの場合、症状が軽いうちは通気性をよくして、しっかり休むことで自然に治ることも多いです。一方、症状がつらくて我慢できないときや早く治療したいとき、性病かな? と不安なとき、おりものがいつもとちがうときなどは、婦人科を受診しましょう。
かゆみを出す性感染症は、よくあるカンジダ症のほかに、腟トリコモナス症、尖圭コンジローマの主に3つ。性感染症の場合は、専用の薬で治ることが多いです。生理中なら、出血がなくなってから受診してください。
デリケートゾーンにかゆみを引き起こす感染症
性器カンジダ症(カンジダ腟炎・外陰炎)
カンジダという真菌(カビの仲間)によって、外陰部や腟に炎症が起こります。多くの女性は一生に一度はかかるといわれるくらいポピュラーな病気です。主な症状は、外陰部の激しいかゆみ、カッテージチーズのような白くボロボロしたおりもの。ときに、外陰部が腫れて熱をもつように感じたり、性交時や排尿時に痛みを感じたりすることがあります。
カンジダは、もともと体に存在する常在菌ですが、病気やストレスなどで抵抗力が落ちたとき、抗生物質の服用などがきっかけとなって繁殖することがあり、炎症を起こします。
腟トリコモナス症
トリコモナス原虫の寄生によって起こる感染症です。悪臭のする泡状の黄色いおりものが増え、外陰部や腟が炎症を起こしてかゆくなりますが、とくに気になる症状が出ないこともあります。男性は症状が出ないケースが多く、感染に気づかないことが。ほとんどの場合はセックスで感染しますが、下着やタオルから感染することもあります。
尖圭コンジローマ
HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染して起こる感染症。セックスで感染し、3週間~8カ月間の潜伏期間を経て、性器周辺に先の尖ったイボができます。一般には自覚症状はほとんどありませんが、イボの大きさや部位により痛みやかゆみが見られることがあります。
参考資料:性感染症 診断・治療ガイドライン2016(日本性感染症学会)
http://jssti.umin.jp/guideline_c.html
――かゆみが強い場合に、おりものにも異常が出るなどいつもとちがった症状が見られるときには注意が必要なんですね。生理中のかぶれは身近な悩みですが、放っておいたり、なんとなくでケアするのではなく、正しい対処法を知っておくことがとても大事だと感じました。高尾先生、ありがとうございました!
生理中、ナプキンでかぶれる、かゆいときには
- 1.デリケートゾーンのかぶれ・かゆみの原因は、大きく分けてムレによるかぶれと感染症によるものと2つがある
- 2.長時間ナプキンをつけていたり、下着で締めつけたりすると、かぶれを起こしやすい。下着の素材を見直すなどして、デリケートゾーンの通気性をよくする工夫をしよう
- 3.感染症は病原菌に感染することで起こる。かゆみが強かったり、おりものに異常があったりしたら、婦人科で検査を受けよう
(取材・文:及川夕子、監修:高尾美穂先生、イラスト:クー)
※画像はイメージです
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※この記事は2019年08月28日に公開されたものです