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男の言いなりになる女 #振り回される女

ぱぷりこ(恋愛コラムニスト)

「今週末? ちょっと待って、彼に確認するね」
「飲み会、うーん難しいかも。彼のごはんを用意しなきゃいけないし」
「仕事が忙しすぎて家事がおろそかになってるから、仕事を辞めて事務とかすぐ帰れる仕事にしろって、彼に言われてるんだよね」
「ごめん、今日の予定キャンセルしていい? なんか彼がすごく怒ってて、早く帰ってこいって連絡してきてるから」

このような発言をしている人がいたら、「男の言いなりになる女」かもしれません。

「男の言いなりになる女」の特徴

「男の言いなりになる女」には、下記の特徴があります。

・父権主義、男尊女卑の家庭で育っている
・「男は立てるもの」という価値観が根強い
・母親から「お父さんの言うとおりにしなさい」と言われてきた
・就職や引っ越しなど、大きい意思決定は父親に相談する
・嫌なことがあったら、「あははー」と笑って流す癖がある
・怒ること、自分の意見を言うことに罪悪感がある
・男性を怒らせることは絶対にしてはいけないと思っている
・自分は「尽くす女」だと思っている
・そこそこモテる

彼女たちはいわゆる「尽くす女」「大和撫子」タイプの女性で、恋愛市場ではそこそこ人気があります。「尽くしてくれそう」「女性らしい」と言われることが多いため、本人たちも「自分は尽くす女だ」と自覚していたりします。

彼女たちは「男性を立て、男性についていく」べきだと思って生きています。こうしたザ・昭和の価値観は、親世代から引き継いでいることがほとんどです。彼女たちの多くはいわゆる「父権主義」の家に生まれ育ってきています。父親はサラリーマンか経営者、母親は専業主婦で、経済力は100%父親頼み。ものを購入したり、学校に行ったりなどの「それなりの金額をともなう意思決定」はほとんど父親が担っています。

母親は意思決定を父親に頼り、娘にも「お父さんに聞きなさい」「お父さんの言うとおりにしなさい」と言いがち。そのため、彼女たちは「何かを決めるときはまず父親に意見を聞き、了解を得なければならない」と思っています。細かいことは自分で決めますが、進学や就職、引っ越しなど大きな意思決定のときは、父親に意見を求め、基本的には言うとおりにします。

そのため、彼女たちは全般的に、自分の意見を言ったり、意思決定したりすることが苦手です。仕事などはっきりした「正解」があるものについては意見が言えても、好みや感情など「明確な正解がないもの」については、口を閉ざす傾向にあります。苦手なことを避けるために「決めていいよ」「合わせるよ」と他者に意思決定を委ねがち。周囲からは「控えめで温和」「やさしい」という印象を持たれるため、人間関係は基本的に良好で、あまり敵を作りません。

一方、変な人に絡まれたり、駅でぶつかられたり、セクハラを受けたり、といった被害を受けやすくもあります。しかし、彼女たちは「ネガティブな感情を表に出してはいけない」「男性の機嫌を損ねてはいけない」と思っているため、何か嫌なことを言われても「あはは~」と笑顔で済ませます。よって「男性全般に対する防衛力が極めて低く、言いなりになりやすい」といえます。

「男の言いなりになる女」が望む男性像

「男の言いなりになる女」は、恋愛・結婚候補の男性に下記のような条件を求めます。

・グイグイ引っ張ってくれる人
・男らしい人
・尊敬できる人
・尽くしたいと思える人

いわゆる「女性らしい女性」が「男性らしい男性」を望むという、ジュラ紀からあるパターンです。「グイグイ引っ張ってくれる人」「男らしい人」はだいぶふんわりした言葉ですが、つまりは「意思決定を自分の代わりにやってくれる人」のことです。ちゃんと自分が気持ちよく意思決定を委ねられるよう、「尊敬できる人」「尽くしたいと思える人」という条件もつけています。

言ってしまえば、彼女たちが求めているのは「父親の代わり」です。自分が家庭を持つときに、両親のように「男が決めて女が従う」パターンを、意識的あるいは無意識的に再現しようとしています。

彼女たちが夢見ているのは「自分を大事にしてくれて、自分の代わりに意思決定してくれて、安心と安定を与えてくれる人」、つまりは「保護者的な王子様」です。

「男の言いなりになる女」の婚活はどうなる?

「男の言いなりになる女」の婚活は、平和なパターンとそうでないパターンに二極化します。彼女たちはいわゆる「女性らしい女性」「男性を立ててくれる女性」のため、恋愛市場と婚活市場ではそれなりに人気があります。相手選びでは、そこまで困ることはありません。

問題は、付き合ったあとです。彼女たちのような「男性を立ててくれる女性」が好きな男性は、マッチョ思想を持っている男性がほとんどです。このマッチョ思想が「かよわい女性を大事にする」という騎士道のほうにいけばお互い平和に過ごせますが、「男の自分を敬え、従属しろ」というモラハラ道にいってしまうとやばいです。

残念なことに、マッチョ思想は男尊女卑やモラハラと切っても切れない関係にあるため、男の言いなりになる女は「モラハラ男に選ばれやすいし、モラハラ男を選びやすい」リスクを潜在的に抱えています。平和な恋愛・結婚ができるかできないかは、はっきり言って「運」で決まります。なぜなら彼女たちは自分で意見を言ったり、自分で選んだりといった経験が少なく、だいたいのことを笑って流そうとし、「男性には従わないと」マインドを数十年かけて醸成しているため、やばい男を見分けられず、やばい男に遭遇しても逃げたり状況を改善できないからです。

では、運がいいパターンを見てみましょう。彼女たちが望むとおり「意思決定をきちんとこなし、彼女たちのことを大事にしてくれる保護者プリンス」と付き合えれば、いちおうはハッピーです。「いちおう」とつけたのは、このような「彼女のことを大事にしている保護者プリンス」型男は、外で浮気していることが多いからです。彼らからすれば「口数が多くなく、控えめで、自分を立ててくれる」良妻賢母タイプは非常に都合がよいので、本妻に選びます。

しかし、刺激が足りないので、外に刺激を求める……という良妻賢母あるあるの悲劇も爆誕しがち。しかし、彼女たちが気づかない限りは幸せです。それに、本当に彼女たちを大事にしてくれる保護者プリンスと出会う可能性もありますから、彼女たちが平和に生きるにはこちらのコースを目指すしかありません。

一方で、運が悪いと、モラハラ男や束縛男に人権を奪われます。モラハラ男や束縛男が非常にやっかいなのは、知り合って付き合うまでの期間は、保護者プリンスとほとんど見分けがつかないことです。彼らモラハラ妖怪男たちは「付き合う前」は女性をお客様と見なし、とにかく過剰なほどロマンティックにアプローチしてきます。その姿はまさに王子様なので、女性は「この人なら大事にしてくれるかも」と思って付き合ってしまいます。

しかし、そこから先は地獄です。モラハラ男たちは付き合ったり結婚したりして「もうこの女は自分から逃げない」と安心すると、女性を「自分の所有物」と見なして、「王子様モード」を終了させます。このギャップに女性はおおいにとまどいますが、過去の王子様モードを忘れられず、かつ「男性を立てないと」「男性を怒らせてはいけない」というマインドのせいで、言われるがままに従属します。モラハラはどんどんエスカレートして、そのうち行動を監視・制限されたり、「仕事を変えろ」など命令されたり、許可なしでは何も買えない経済DV状態になったりします。

当然、周囲はびっくりして「そんな男やめなよ!」と説得しにかかるのですが、彼女たちの「男性に従わないといけない」マインドの呪いは相当強いうえに、「自分の意見を言って自分を守る」という苦手な行動をしたくないあまり、彼女たちはなかなか逃げようとしません。結果として、心身ともに破綻するところまで追いつめられがち。

このように、恋愛・結婚生活のクオリティが「運」で決まってしまうのが、男の言いなりになる女が抱える危険です。

結論。自分の意思を伝えるスキルを身につけよ

男の言いなりになる女の婚活・結婚が「運試し」のギャンブルになるのは、「自分で意思決定しないから」「自分で自分を守らない」からです。

彼女たちが求めているのは、「自分の支配者」「従属する相手」です。保護者プリンスと暴君モラハラ男は、一見すると全然ちがうように見えますが、どちらも「女性を保護する主人としてふるまい、女性を自分より下の立場として見ていて、対等の人間として扱わない」点では同じです。態度が女性にとって心地いいかそうでないかのちがいがあるだけ。よって、彼女たちは「自分を意識的あるいは無意識的に見下して支配してくる男」を好んで選んでいます。このような支配意識が強い男性は、女性が文句を言わないと暴力性を高める傾向が強いため、「昔はやさしかったのに今は暴君」なんてことがしょっちゅう起こります。

男の言いなりになる女は、自分が「彼はいい支配者? それとも地獄の暴君? 人生を賭けた配偶者★ガチャ」をやっていることを自覚したほうがいいでしょう。そうでないと、「尽くしているのになんでこんなことに」と嘆くはめになります。

彼女たちの恋愛と婚活は運任せのギャンブルですが、もし成功確率を上げたいなら「意思決定から逃げる癖」を自覚し、自分で意思決定をしたり、意思表示をする訓練を積み重ねたりしたほうがいいでしょう。「意思決定」はストレスがかかりますし、訓練が必要です。たくさん失敗をしないとうまくなりませんから、はっきり言えば「逃げたほうが楽」です。しかし、逃げる代償は大きく、「自分の人生を他人任せ、運任せにする」リスクを抱えます。状況が悪い方向に進んでも自分で解決できず、占いや新興宗教や不倫など「自分を助けてくれそうなもの」にすがり、さらに搾取される……という地獄ループにはまります。

自分の人生をギャンブル任せにしたくないなら、「自分の意志を伝える」「言いなりにならず、嫌なことにはNOと言う」スキルを身につけましょう。暴君は反抗してくる相手が嫌いなので、付き合う段階で「それは嫌です」など意見をはっきり言えば、選ばれる可能性が減ります。付き合ってからでは、反抗しても報復の暴力が激しくなるだけなので、やばいと思ったら周囲に頼って「すぐ逃げる」コマンドを連打しましょう。

そして、「男性を立てる」マインドも見直したほうがいいでしょう。そもそも、「相手に敬意を払う」「相手を尊重する」ことと、「自分より相手を優先して、自分が従属する」ことは、全然ちがいます。前者は「自分を尊重し、相手も尊重する」といった両立ができますが、後者はできません。人生のハンドルを明け渡して自分で動かすつもりがないと、たやすく乗っ取られます。「夫や恋人を尊重」しつつ、人生のハンドルは手放さず、やばいと思ったら自分で動かすだけの意志とスキルを身につけるだけで、ぐっと生きやすくなるでしょう。

(文:ぱぷりこ、イラスト:itabamoe)

※この記事は2019年02月08日に公開されたものです

ぱぷりこ(恋愛コラムニスト)

ブログ『妖怪男ウォッチ』を書く、アラサーOL。恋愛魔窟で出会った妖怪男女をブログで供養している。特技は悪霊退散、方違え、お焚き上げ。

ブログ『妖怪男ウォッチ』:http://papuriko.hatenablog.com/
Twitter:@papupapuriko

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