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浮気相手が妊娠したと彼女に告げると…… #本当にあった怖い恋愛

パンジー薫

「事実は小説より奇なり」とあるように、実際にあった恋愛ほどおもしろい話はない(と思う)。浮気、束縛、ストーカー……。世の中に潜む「怖い恋愛話」を、恋愛研究所・所長ゆうこ&助手エリカが調査。さぁ、今宵も震え上がろう!

へたれ所長・ゆうこ(32):都内某所にある「恋愛研究所」の所長。男女の恋愛話を集め、恋愛心理を研究するのが仕事。生意気なエリカにいつも振り回されて疲弊している。メイクへのこだわりは、近ごろ涙もろくなっているため「とにかく落ちないこと」。1年中ウォータープルーフのマスカラを使用。

キラキラ助手・エリカ(25):「恋愛研究所」でゆうこの助手を務めている。ルブタンのハイヒールを履いて港区を闊歩するのが日課。夢は年収1,000万円以上の男と結婚して玉の輿に乗ること。メイクへのこだわりは、「とにかく肌がキレイに見えること」。毛穴という毛穴をコンシーラーで消す。

今回のゲスト・島田(34):化粧品会社「幸せ堂」で商品開発を担当する。自身が手掛けた婚活リップ「LOVE GECHU」が当たり、ヒットメーカーに。メイクへのこだわりは、「体にやさしい素材で作られていること」。試作段階で確実に試食する。

ここは都内某所にある「恋愛研究所」。現代に生きる男女の恋愛話をかき集め、恋愛心理を日々分析・調査している。いろいろあった2018年も終わり、2019年も早3日。去年の振り返りをしているゆうことエリカのもとにやって来たのは、化粧品会社で働く島田。実はひそかにアイメイクをしている島田が、「かわいい女の子がマスカラを塗ろうとして鼻の下が伸びている姿」よりも怖いと話す出来事とは……。

去年の漢字は「災」かぁ。
平成最後の年だからシンプルに「平」でよかったですよね。
そうね、覚えやすいし。ちなみにエリカの一文字は?
私は「王」ですかね。エリートな彼氏をゲットして、夢の「玉の輿」まで王手のかかった状態なので。所長の一文字は?
まだプロポーズもされてないのに気が早くない? 私は停滞の「停」かな。せっかくはじめた婚活も停滞中だから。
そんなこったろうと思いましたよ。だから今日は、所長にプレゼントを持ってきたんです。はい、どうぞ。
えっ、これって。
今アラサー女子に爆売れ中の「LOVE GECHU」です。
売れすぎてもはや幻とまで言われているあの婚活リップ!?
これをお守りにして、引き続き婚活がんばってください。
うぅありがとう……。エリカも「玉の輿」に乗れるよう、せいぜいがんばってね。
「せいぜい」が余計だよ! リップ返せ!
冗談よ。それよりこれ、どうやって手に入れたの?
それが、先週彼氏が主催した「ハイステータスのハイステータスによるハイステータスパーティ」に、リップの開発者が来たんですよ。
イラッとするパーティ名ね。
それでここ(研究所)の話をしたら、身近に怖い恋愛を経験した人がいるって言うので、今日のゲストに来てもらいました。
えっ、本人が来てるの?

#14 浮気相手が妊娠したと彼女に告げると……

ということで、怖い恋愛・第14回目のゲストは大手化粧品会社「幸せ堂」で働く島田さんです。さっきも言いましたが「LOVE GECHU」の開発者です。
初めまして、“ゆうこさん”ですよね? エリカさんからお話は聞いてます。今日はよろしくお願いします。
話? エリカあんた変なこと言ってないわよね?
所長ひどい!
素晴らしい上司だと伺っています。あれ……? でも髪型が見せてもらった写真とちがうな。たしかアフロ……。
島田さん! 今日は親友のY樹さんの話をしに来てくれたんですよね!
そうでした。お話させてもらってもいいですか? 僕にはY樹という親友がいるのですが、親友ながらこいつが結構なクズ男で。
親友がクズ認定するなんてよっぽどクズなのね。
具体的にどこがクズなんですか?
女性関係です。私の知る限りY樹はいつも二股や三股していて、ひとりの女性と真剣に付き合ったことがありません。
まごうことなきクズ……。
Y樹は、付き合って半年ほどで彼女に浮気や二股がバレて、いつも振られていました。でも、社会人になって付き合ったE美ちゃんは別でした。温厚で少しドンくさい彼女はY樹の浮気に気づかないため、ケンカもなく付き合って3年になります。
待って、E美さんが知らないだけでY樹は浮気しているの?
はい。しかもE美ちゃんと付き合って1週間後に、5歳年下の会社の後輩であるB子といい関係になったようです。Y樹ははじめ、「彼女がいる」と断ったそうですが、それでもいいとB子が言い寄ったそうです。
B子もなかなかの女ね。E美さんにとって手ごわい敵になりそうな予感……。
実は、婚活リップ販売前のテスト会にB子が来たことがあるんですけど、「小悪魔」という言葉がぴったりな女性でした。小柄でかわいくて、男が「守ってあげたい!」って思う魅力があって。
男ってか弱そうな女に弱いですよね。
本当は自分で開けられるのに、「この蓋開けて~」なんてぬかす女ね。
おっしゃるとおり。実際にY樹はよく、「B子は瓶の蓋も自分で開けられないから俺がいなくちゃだめだ」とか「B子は家の電球さえひとりで変えることができないから、俺が必要だ」とかよく言っていました。
それって略奪する人の常套手段ですよね。男に「俺がいないと」と思わせるやつ。
とはいえY樹も生粋のクズ男です。二股をして3年くらいでB子に飽きてきたので、別れようと思いはじめます。だけどそのことに気づいたB子は、Y樹の誕生日に勝負に出たそうです。
なんだろう……?
離れかけているY樹の気持ちをつなぎとめるために、B子は予約の取れない有名なレストランを予約し、Y樹がほしがっていた高級腕時計をプレゼントしたそうです。一方E美ちゃんはというと、得意の料理を振舞い、心のこもったマッサージでY樹の仕事の疲れを癒してあげたそう。
豪華さはB子に負けるけど、真心が伝わるのはE美ちゃんね。Y樹さんはどっちを選んだのかしら?
E美さんじゃなかったら、Y樹の後頭部を灰皿で殴る。
火サス(※)にありがちな凶行に及ぶのやめて。(※火曜サスペンスの略)
Y樹が選んだのは……B子ちゃんでした。
ええーッ!?
(灰皿を掴む)
あの日、高級レストランで食事を終えたY樹は、B子に別れを告げようとしたそうです。でも、自分が振られそうなことに感づいたB子は、衝撃のひと言を口にして……。
ごくり。
「私、妊娠した」と……。
火サス展開キターーーー!
それでB子が選ばれたんですか? 子どもができたから?
とりあえず灰皿を置いてもらえますか? Y樹はクズ男ですが、子どもが大好きで。だから、責任をとるために泣く泣くB子を選んだみたいです。
E美さんかわいそう……。
Y樹はE美さんにすべてを告げたの?
誕生日の翌日、Y樹はE美ちゃんを呼び出して事情を説明しました。ずっと浮気していたこと、その相手を妊娠させてしまったこと、責任をとるためにその子と結婚をすること……。E美ちゃんは怒るでも泣くでもなく、黙ってY樹の話を聞いていたそうです。そしてY樹が話終わったところで、E美ちゃんが口を開いたそうです。「私も妊娠した……」と。

えぇ~~!
恐るべし種の強さ。
それでクズ男はどうしたんですか?
E美ちゃんの告白を受けて、Y樹はパニックになったそうです。でも冷静なE美ちゃんが「とりあえず、みんな産婦人科に行きましょう」と提案し、後日、Y樹、E美ちゃん、B子の3人で産婦人科へ行くことにしたそうです。
彼女と浮気相手と産婦人科って……ド修羅場すぎるでしょ。
想像するとシュールな光景ですよね。
でもいざ病院に入ろうとしたら、B子が「やっぱり行かない」と駄々をこねだしたそうです。Y樹は必死に説得したそうですが、B子は首を横に振るばかり。そこでE美ちゃんがやさしく諭したところ、観念したのか「妊娠はY樹と結婚するための嘘だった」と白状したそうです。
浮気相手をやさしく諭す……。E美さんの懐の広さよ。
E美さんって仏の化身なの? 私だったら浮気男も泥棒猫もただじゃおかない。
その後、Y樹さんとE美さんは結婚したんですか?
はい。つい先日2人は結婚式を挙げました。僕も参列したんですが、E美ちゃんはとても幸せそうでした。お腹の子も順調に育っているみたいです。
なんやかんやありましたが、よかったですねE美さん。
それにしても、Y樹さんにはもったいなさすぎる女性よね。
……いや。意外と割れ鍋に綴じ蓋かもしれません。
どういうこと?
結婚式で酔ったE美ちゃんがぽろっとこぼした言葉を聞いてしまったんです。「計画妊娠がうまくいった」って。
妊娠は計画的だったってこと?
そうみたいです。
でも、なんでE美さんは計画してまで妊娠したかったのかしら?
実はE美ちゃんは、Y樹がB子と浮気してることをずっと知っていたみたいです。そしてB子に対抗するため、妊娠するようにことを運んだらしいんです。
ひええええええ!
何も知らなかったのはE美さんじゃなくて、Y樹さんのほうだったのね……。
ちょっと怖すぎません? 最後の最後でE美さんのイメージがガラッと変わりすぎ! 人間不信になりそう。
B子が尻尾を巻いて逃げたのも、実はE美ちゃんのほうが上手なのに気づいたからかもしれないですね。
それにしても計画妊娠か……使えるわね。
ちょっ、所長? 婚活がうまく行かないからって、B子の真似は人としてダメですからね!?
もちろんよ。フフフ。
エリカさん、どうやら僕たちは今回の話を聞かせてはいけない人にしてしまったようですね。
う、嘘よ。所長は絶対B子のようなことしない! 目を覚まして所長!
うるさい!! 私は結婚したいの!!
ひとつ言っていいですか? 所長、そもそも相手がいないですよね。
そうだった!

本当にあった怖い恋愛・14「彼女に浮気相手が妊娠したと告げると……」
恐怖レベル:★★★★☆

(文:パンジー薫、イラスト:あべさん)

※登場人物の設定はすべてフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

※この記事は2019年01月03日に公開されたものです

パンジー薫

1989年東京都足立区生まれ。25歳で大失恋を経験し、1年後に出会ったアメリカ人とジェットコースターのような恋愛期間を4年ほど経て事実婚へ。ブログ「パンジー薫の国際恋愛ブログ」では国際恋愛や国際結婚について情報を発信中。

ブログ:http://jacky.hatenablog.com/

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