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マッチングアプリで出会った女が実は……#本当にあった怖い恋愛

パンジー薫

「事実は小説より奇なり」とあるように、実際にあった恋愛ほどおもしろい話はない(と思う)。浮気、束縛、ストーカー……。世の中に潜む「怖い恋愛話」を、恋愛研究所・所長ゆうこ&助手エリカが調査。さぁ、今宵も震え上がろう!

へたれ所長・ゆうこ(32):都内某所にある「恋愛研究所」の所長。男女の恋愛話を集め、恋愛心理を研究するのが仕事。生意気なエリカにいつも振り回されて疲弊している。お気に入りのスマホアプリは、さやか(※第5話ゲスト)が監修した「収納術」を紹介するアプリ。

キラキラ助手・エリカ(25):「恋愛研究所」でゆうこの助手を務めている。ルブタンのハイヒールを履いて港区を闊歩するのが日課。夢は年収1,000万円以上の男と結婚して玉の輿に乗ること。お気に入りのスマホアプリは、ハイスペックな男性とだけ出会える高級志向デートアプリ。

今回のゲスト・拓郎(33):マッチングアプリの会社で働くエンジニア。お気に入りのスマホアプリはもちろん自社のマッチングアプリ。

ここは都内某所にある「恋愛研究所」。現代に生きる男女の恋愛話をかき集め、恋愛心理を日々分析・調査している。渋谷で大混乱を極めたハロウィンも終わり、今年も残すイベントは「クリスマス」と「年越し」のみ。独り身にはきついイベントを控え、戦々恐々とする2人のもとにやって来たのは、アプリ開発エンジニアの拓郎。自らもマッチングアプリで婚活中だと話す拓郎が、「プロフィール写真と全然ちがう女性が待ち合わせ場所に来たとき」よりも怖いと話す出来事とは……。

 

もう! どいつもこいつも!
どうしたのエリカ? ヒステリックな女は男に敬遠されるわよ。
アプリで出会ったハイスぺ男たちがみんな既婚者なんですよ! あいつら純粋な気持ちで婚活している人間の狩場を荒らしすぎ。
それわかる。「婚活」の名がつくすべての場所に既婚者が侵入しないよう、国家を挙げて防いでほしいわよね。
珍しく所長と意見が合いましたね。
それくらいあいつらに困っている婚活女子は多いってことよ。
せめて、既婚かどうか見分けられたらいいのに。
それなんだけど、今日はマッチングアプリの開発者がゲストに来てるから、何か教えてくれるかもしれないわ。
なんていう神タイミング。てかむしろ、アプリ事業者に特定班を雇ってもらうのがよくないですか? 既婚はもちろん婚活市場を荒らす人物は、身元を特定してネットに晒す制裁を下すんです。
よっぽど既婚者に恨みがあるのねエリカ……。

#11 婚約者の彼女が実は……

さて、怖い恋愛・第11回目のゲストを紹介するわね。某マッチングアプリの開発者、拓郎さんです。
さっきの話聞こえてたんですが、特定班を雇うアイディアいいですね。ネットストーキングが得意な人を集めようかな。
所長が適任じゃないですか!
余計なこと言わないで。
僕らも既婚者ユーザーには困っているんですよね。
今日の話は、マッチングアプリユーザーたちの怖い話ですか?
いえ、前の会社で同僚だったKの話です。Kには、友人の紹介で出会ったMちゃんという彼女がいて。写真を見せてもらいましたが、大人しそうでかわいい……。
ストップ。
えっ?
その女性のどこを見て「大人しそう」だと思ったんですか?
えっと、今どき珍しい黒髪にナチュラルメイクだったので……。
はい、でた。
でたわね。
黒髪でナチュラルメイク=大人しいという方程式は、21世紀では当てはまりません。
あと、平成の女たちはカラコンにつけま、そして写真の加工機能という新・三種の神器を手に入れたから、本当にかわいいかどうかはわからないわよ。
は、はぁ。
そもそも大人しい女は友人の紹介さえ断る!
……それは、人によるんじゃない?
ええと、続けていいですか?
どうぞ。
KとMちゃんとは、3人でごはんへ行く約束をしていたのですが、僕が今の会社に転職することになってバタバタしたので、結局まだ会えていません。でも、Mちゃんとは順調みたいで、たまにKからのろけLINEがきます。Kが幸せそうでよかったなぁと思っていたのですが……。
が?
僕の会社では既婚・独身関係なく、競合他社の調査をするために他社のマッチングアプリに登録して実際に利用してるんです。それで、先輩社員のSさんがマッチングした女性に夢中になってて。
ちょっと待って。既婚社員も? Sさんは結婚しているの?
しています……。
それダメでしょ! NO MORE 婚活泥棒!
あくまで業務の一環なので、「メッセージのやりとりまで」というルールでみんな利用しています。だから大丈夫だろうと思っていたのですが、女性のほうからSさんに「今度会いませんか?」って連絡がきたみたいで。よっぽどうれしかったのか、Sさんに自慢されたんです。
Sさんのこと知らないし会ったこともないけど、一発お見舞いしていいかな?
いっちゃいましょ。
僕は「ずいぶん積極的な女性だなぁ」と興味を持ったので、Sさんに写真を見せてもらったんですが……似てるんですよね。
ごくり。

 

黒髪ナチュラルメイクのMちゃんに……。

 

やはりというべきか、話を盛り上げるため「まさか」というべきか。
やはり!
でも、似ているだけでMちゃん本人だという確信はないので、KにLINEしてみたんです。最近Mちゃんとはどうなの? って。そしたら最近婚約したらしく、交際は順調のようでした。
結婚前に浮気? 羽目を外したくなったのかしら。
マリッジブルーとか言って、結婚前に浮気しまくってた友だち知ってますよ。
結局Mちゃんかはわからないまま、Sさんが女性とデートする日がきました。前もって時間と場所は聞いていたので、Kを連れて行ってみたんです。
女性がMちゃん本人だったら、修羅場必至の状況……。
楽しくなってきましたね。
僕とKは、2人から少し離れた場所に立って、Mちゃんの顔が見える瞬間を待ちました。でもその前にKが「あの女性、Mちゃんに似てるかも」って気づいたんです。
とうとう真実がわかる瞬間が。
顔を見ようと女性に近づいて、次の瞬間真っ青になったKの顔を見て、すべてを察しました。
南無……。
結局Mちゃんが浮気した理由はなんだったんですか?
結婚するぎりぎりまで、もっと条件のいい男を探したかったそうです。
自分勝手ね。
なのにSさんが既婚だと知ったときは、自分のことは棚に上げてSさんを罵っていました。
MちゃんもMちゃんだけど、SさんもSさんね。
真剣に婚活している人の気持ちを踏みにじるからです。これに懲りてSさんやMちゃんのような人がマッチングアプリからいなくなるといいですよね。
あ、それが……。このことが原因でMちゃんはKと破局、Sさんも離婚しちゃったので、今は2人ともシングルなんです。
ということは?
2人とも婚活市場に帰ってきたってことか。
いやああ! 拓郎さん、特定班の設置を急ぎで頼む~!!

 

本当にあった怖い恋愛・11マッチングアプリで出会った女が実は……
恐怖レベル★★★★☆

(文:パンジー薫、イラスト:あべさん)

※登場人物の設定はすべてフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

※この記事は2018年11月22日に公開されたものです

パンジー薫

1989年東京都足立区生まれ。25歳で大失恋を経験し、1年後に出会ったアメリカ人とジェットコースターのような恋愛期間を4年ほど経て事実婚へ。ブログ「パンジー薫の国際恋愛ブログ」では国際恋愛や国際結婚について情報を発信中。

ブログ:http://jacky.hatenablog.com/

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