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「専業主婦」という選択肢は、本当に正しいのだろうか #専業主婦になりたい

マイナビウーマン編集部

女性が社会に進出して、「共働きは当たり前」「仕事を続けたい」という人は増えた。その一方で、仕事から逃げたいという安易な考えで結婚を試みる女性も少なくない。今の時代、「男性にすべてを支えてもらおう」という考え方は許されるのか。これは、金持ち旦那の専業主婦になりたい女代表・編集部のさちこがいろいろな人に話を聞く企画です。

3回の取材を終えてわかったのは、専業主婦になりたいという思考はどうやら時代錯誤ということ。いや、さちこも薄々気づいていましたよ。ハイスペックな男性ほど、合い言葉のように「自立している女性がいい」とのたまう。でも、やっぱり働きたくないじゃないですか。扶養してほしいじゃないですか。あきらめたら試合終了じゃないですか。仕事でミスして怒られたり、会議で発言を求められたりするのイヤじゃないですか。だからさちこ諦めない。鮭が遡上するように、時代に逆行してみせる。がんばれさちこ!

最後に登場するのは、超ハイスペックに関わらず、家事・育児もこなすスーパーサイヤ人の男性。

<ボス>
・40歳
・世界的に有名な新聞社勤務
・子どもが3人いる

<ボスの妻>
・43歳
・英字新聞社勤務

<さちこMEMO>
とにかく眼光が鋭い。1つ反論すると、100で返される。怒らせてはいけない人。ちなみに「ボス」の由来は「ボストン大学院」を卒業しているから。

さちこ:はじまして。マイナビウーマン編集部のさちこです。今日はお手柔らかにお願いします。早速ですが、奥さんとはどこで出会ったんですか?

ボス:前の職場だよ。やっぱり仕事が忙しいし、会社にいる時間が圧倒的に長いから、必然的に社内の人と恋愛に発展するよね。

さちこ:ということは、奥さんもハイスペック……! しかも奥さん、仕事をやめずに今も働いてますよね。

ボス:そうだね。仕事に対して志のある人だから、専業主婦っていう選択肢はなかったみたいだよ。やつも順調に出世してる。

さちこ:志。さちこの辞書にはない言葉。あ、専業主婦になるっていう立派な志があった。でも、ボスも仕事が忙しいじゃないですか。で、稼ぎはあるじゃないですか。そしたら奥さんに専業主婦になってもらって、サポートしてもらったほうがよくないですか?

ボス:正直、そう思うことはあるよ。でも俺のサポートをしてほしいとかじゃなく、子どもが熱を出したときのお迎えとかをお願いしたい。共働きだと、どっちかが仕事を休まないといけないから。でも今の日本だと、母親なら多少融通がきくけど、父親が「子どもが熱を出したから帰ります」って言いづらいよね。

さちこ:子育て=母親っていうイメージは強いですもんね。やっぱり専業主婦は需要があるってわかった。ありがとうございます。これにて本日の取材は終了です。

ボス:勝手に終わらせるな。

さちこ:じゃあ、もし奥さんが専業主婦になりたいって言ったら止めます?

ボス:止めはしないよ。でも専業主婦の現実を伝えるかな。世帯年収が下がるのはもちろん、日中は子どもと2人っきりで、社会から断絶されてるよって。俺の母親はもともと仕事してたけど、父親の仕事の都合で海外赴任になったときに専業主婦になったんだよ。でも、全然楽しそうじゃなくて。

さちこ:憧れの駐在妻。でもさちこ英語できないから、港区妻でいいや。

ボス:帰国して子育てからも解放されたから、仕事に復帰したんだよ。そしたら家での会話も変わってきて。専業主婦のときはテレビとか親戚とか、狭い世界の話しかしなかったんだよ。でも働きはじめてからは、仕事の話をよくしてた。会話の幅がぐっと広がったのを覚えてる。

さちこ:仕事から疲れて帰ってきたのに、知的レベルの高い会話って必要? テレビの話でよくない?

ボス:普段はいいよ。くだらない会話でも。でも見えてる世界があまりにちがうと、いざっていうときに相談もできないし、頼れない。

さちこ:むしろこっちも頼ってほしくない。だいたい、共働きじゃなくてもボスのお給料だけで十分やっていけるじゃないですか。

ボス:もちろん家族全員を食べさせてはいけるよ。だけど、今みたいに毎年ハワイに行くっていう贅沢はできなくなる。ダブルインカムの特権って、余剰分が生まれることだと思うんだよ。それが家族の幸せにつながるんじゃない?

さちこ:たしかに、高級ホテルの1ピース3,800円のケーキを食べる贅沢って幸せですよね。でも、夫が働いたお金で食べるっていうバックボーンが何より大事。おいしさが増すもん。だからなんとしてでも玉の輿に乗らないと。

ボス:救いようがない。たとえば専業主婦になったとして、完璧に家事をこなして、夫のおもてなしに徹するってことはできるの?

さちこ:できないです。それは前回の取材でさちこには無理だなって再確認しました。

ボス:仕事もしない、家事もしない。毎日何して過ごすの? 暇じゃない?

さちこ:暇な時間が好きなんです。

ボス:それは仕事してるから、暇な時間もよく思えるんじゃない? 毎日やることないと気が滅入りそう。

さちこ:ううん、ちがう。みんなが汗水垂らして働いてるなか、ボーっとするのがいいんですよ。優越感の極み。飽きたら遊びに行けばいい。

ボス:どこに? ひとりで?

さちこ:ひとりで百貨店に買い物に行ったり、友だちとランチしたり。

ボス:あとはティーカッププードル飼ったり?

さちこ:そうそう。Instagramに毎日せっせと投稿すんの。。

ボス:さちこの人生が心配だよ……。ていうか、そもそもさちこの理想の生活は年収1,000万円じゃ足りないから。圧倒的に。手取りになったら800万円くらいだから。

さちこ:ああ。便宜上その数字ですけど、本音を言えば3,000万円はほしい。

ボス:おまえバカか? すげえイライラしてきた。そんな人間ひと握りしかいないし、いたとしてもおまえを選ばないぞ。

さちこ:え、さちこ今めっちゃ詰められてない……?

ボス:俺個人の意見だけど、現実的で一番理想的な世帯年収は、夫と妻で800万円ずつ稼いで1,600万円。さちこもそれを目指せ。

さちこ:それ、さちこも働かないといけないやつじゃん。今までの話聞いてました? あと、それなら1,600万円稼げる男性と結婚したほうがいい。

ボス:ひとりで800万円以上稼いでも、結局税金でほとんどなくなる。だから手取りで考えると、2人で800万円ずつ稼ぐほうが得なんだよ。あと、ライフワークバランス的に一番幸福度が高いって言われてる年収。(※)

※諸説あります。

さちこ:ライフワークバランスとか知ったこっちゃない。その代わりさちこが家でバランスボールに乗ってバランスとっておいてやるから、旦那には馬車馬のように働いてもらう。

ボス:本当にクズだな……。そもそも、さちこはなんで仕事したくないの?

さちこ:朝起きたくない。満員電車に乗りたくない。会社の人と話したくない。電話に出たくない。責任を負いたくない。あとは……。

ボス:わかったわかった。じゃあさ、専業主婦のメリットとデメリットを天秤にかけてみて? 朝早く起きなくていい、仕事に行かなくていいっていうメリットもあるけど、その分失うものもいっぱいあるじゃん。

さちこ:まったくもって得るものしかなくないですか?

ボス:「朝早く起きなくていい」っていう取るに足らない小さなメリットのために、人間としての伸びしろを殺していいの? って聞いてるの。だからさ、「専業主婦になっていい?」っていう質問は、夫に聞くものじゃなくて、自分に聞くんだよ。自分の人生は本当にそれでいいのか?」って。

さちこ:何度も自問自答した結果の専業主婦です。

ボス:俺は知ってるよ。さちこはやればできる子だって。本当はなんだかんだ仕事も嫌いじゃないって。

さちこ:……。

ボス:今日だってこんな遠いところまでせっせとやってきたんだろ? 自分の身を削ってこの記事だって書くんだろう?

さちこ:……。

ボス:会社で、「この記事書いてるあの子、本当にクズよねぇ」って後ろ指さされてもグッと我慢して耐え忍んで、この連載やりきった。さちこ、お前は立派な女だよ。

さちこ:ボス……! さちこ、まちがってた。本当は仕事もできる子だし、もしかしたらこの仕事も好きかもしれない!! うわああああああん!!(号泣)

ボス:ちょろすぎだな!

※本連載の参加者の発言は、あくまで個人の見解にもとづくものとなります。

(文:さちこ/マイナビウーマン編集部、イラスト:いいあい)

※この記事は2019年01月01日に公開されたものです

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