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コラム 働き方

超有名企業の女部長に会いに行ったら、死ぬほどいい人だった #この会社の片隅に

マイナビウーマン編集部

こんにちは、マイナビウーマン編集部でもっとも怠慢なさちこです。最近はそれを正直に打ち出しすぎて、ネット界隈で人格や育ちを疑われて辛い。お母さんごめんなさい。たださ、こういう女子意外と多いんだよ? 女子はしたたかだから、心の声を出さないだけ!

え、ちがう? そんな怒らないでよぅ……。

合言葉が「仕事やめたい! 結婚したい! 専業主婦になりたい!」のさちこをおもしろがった上司の思いつきで、この前の連載「#専業主婦になりたい」をやらされた。それによって読者からのお叱りのコメントに拍車がかかった気の毒なさちこ。

そうして毎日ブツブツ文句を言いながら働いていたら、またおもしろがった上司に苦行みたいな企画を押しつけられました。日の目を見ないポンコツ編集部員さちこが、さまざまな企業で活躍する女性に話を聞くという企画。これ、どう思います? 完全にさちこに対する嫌がらせとしか思えない。

しかも取材相手は、日本最古の英字新聞「ジャパンタイムズ」。初回が新聞社って。しかも英字って。さちこ、新聞も英語も読めない人間だよ? 正直、格がちがいすぎません? まさに月とすっぽん。余計にさちこの粗が目立ってしまうやつ。ああ、今すぐお家に帰って布団にくるまりたい……。

高原さん:わあ! さちこさんだ! はじめまして、高原です。今日はよろしくお願いします!

英字新聞社「ジャパンタイムズ」で働く高原加奈子さん。報道部の部長という輝かしい肩書きなのにすごくノリノリで出てきた。

さちこ:はじまして、マイナビウーマン編集部のさちこです。私、今すごく驚いてます。ジャパンタイムズの報道部長がこんなノリノリでのれん開けちゃう人だなんて。もっとするどい眼光のパンツスーツのキャリアウーマンが出てくると思ってた。あと、ここはなんですか? 1,200円くらいのスムージーを売ってるカフェかなんかですか。

高原加奈子さん。6歳~10歳までアメリカのNYで過ごした帰国子女。現在は、「ジャパンタイムズ」報道部の部長を務める。3児の母でもあり、実はかなりの天然さん……!?  キャリアは順調だが、ライフワークとして20年間続けているテニスが上達の兆しをまったく見せず、試合では大幅に負け越しているんだとか。悩みは料理が下手すぎて、毎回友だちのグループLINEで手料理画像が出回ること。

高原さん:今年移転したばっかりなんです。フリーアドレスだから、その日の気分によって席を変えられるから、毎日新鮮ですね。

さちこ:さちこは窓際族なので、オフィスの端に追いやられてます。まじで。退職者のキャビネットが山積みになってる横がさちこの席。でもたとえフリーアドレスだとしても、隅っこでひっそりと仕事をしていたい。誰の目にも止まりたくないです。

高原さん:編集部って花形の部署じゃないんですか? もっと誇りを持ってください!

さちこ:編集部でも格差があるんですよ……。あと、こんなこと言ったら会社の上層部に目をつけられそうだけど、なんにも考えずに就活して今の会社に入りました。特にやりたいこともなかったので。「誇りって何それおいしいの?」状態です。

高原さん:私も元々記者を目指していたわけではないですよ! 大学で英語を専攻していた経緯で、海外営業ができるメーカーを応募してましたから。

さちこ:一気に親近感!! と思ったけど、英語が死ぬほど嫌いだから海外営業なんてできない。やっぱりスタートからちがった。でもそこからどうやって記者を目指したんですか?

高原さん:テニスサークルの先輩の紹介で、テニス雑誌のアルバイトをしていて。海外選手の通訳をしたり、インタビューの書き起こしをしたり、雑用みたいなことをしていたんです。

さちこ:何その偏差値高いバイト。さちこは、まかないを食べさせてやるよっていうから焼肉屋でバイトしてたのに。しかも力が強そうという理由だけで、ホールじゃなくて厨房で肉の塊運んでたのに。

高原さん:やっぱりさちこさんおもしろい! 私もそんな難しい仕事をしていたわけじゃなくて、完全に雑用でしたよ。でも、そこでジャパンタイムズの記者と顔見知りになって、もし興味があるなら応募してみたらって勧められたんです。そのときはじめて“英字新聞の記者”という存在を知りました。

さちこ:え、もしかして、新卒で今の会社に入社されたんですか?

高原さん:そうですよ! かれこれ20年くらい働いてるかな。でも、入社当時は自分の英語力にコンプレックスしかなかったです。

さちこ:なんて言いつつ、どうせ留学してたんじゃないですか?

高原さん:6歳から10歳まで父親の仕事の関係でNYにいました。

さちこ:そら見たことか! しかもNY! さちこが実は実在しないんじゃないかと疑ってるくらい非日常の街。『セックス・アンド・ザ・シティ』!! 英語ペーラペラじゃないですか!

高原さん:でも英語力が10歳で止まっているから、語彙力が足りなくてビジネスとして通用しなかったんです。日本人の同期がほかに2人いたんですけど、雲泥の差。ひとりの子はアメリカの有名大学を卒業していたから、会話はもちろん書くのも堪能で。

さちこ:無理。私だったら劣等感で耐えられない。入社して1週間で退職届出します。

高原さん:当時の上司に「英語が下手すぎるんですけど、どうしたいいですか!?」って相談したんです。そしたら「簡単な英語でいいから、とにかく本を読め」って言われて。子どもが読むような絵本も含めて、たくさんの本を読んだんです。

さちこ:たくさんってどれくらい? 月に2、3冊くらいですか?

高原さん:どれくらいだろう。でも、4年間は日本語の活字を封印しました。仕事の隙間時間から余暇の時間まで、英語一色。23歳から27歳まで続けましたね。

さちこ:はい、想像を軽く超えてきましたね。たゆまぬ努力って、高原さんのためにある言葉だと思います。合計何冊くらい読んだんですか?

高原さん:本を積み重ねたら全部で3mくらいあったかな。そこまでいくと、自分の中にあったコンプレックスがなくなってましたね。今思えば、何もしないで立ち止まっているときが一番不安だったし、ストレスでした。やらなきゃやらなきゃ……って考えてる時間があるならやっちゃえばいい。それが一番早いし、精神的にもいい。

さちこ:そうなんですよね、はじめるまでが一番しんどい。私、毎日それですからね。日本で一番その気持ちわかります。会社をやめたいって思ったことはないんですか?

高原さん:100回以上ありますよ!

さちこ:よかった。今初めて私と同じホモサピエンスだと感じた。

高原さん、まさかのかぶせ気味で返答。くしゃっとした笑顔が本当にかわいくて魅力的な人。

高原さん:仕事がうまくいかなかったときはもちろんですけど、それ以外のことでもあります。ひとつの会社にずっといていいんだろうか、キャリアアップのために短期でも海外で勉強したほうがいいんじゃないかって。いろいろと悩むことはありましたね。

さちこ:キャリアアップ。一番嫌いな言葉。でも、いろいろ悩んだ結果、今でも同じ会社にいるのはなぜですか?

高原さん:結婚や出産があって、働き方のフェーズが変わったこともありますね。さちこさんは転職を考えてるんですか?

さちこ:私は特に野望もないし、今の会社の居心地はいいから、転職なんて全然考えてないんです。だけど、転職していく同期を見るたびに、一応いっちょまえに焦りを感じたりします。

高原さん:転職なんて莫大なモチベーションがないとできないですよね。今の会社がおもしろくないから、お給料が低いから、なんていう“逃げの理由”だと、面接官にも見透かされちゃいますしね。

さちこ:今の状態で転職しても、まちがいなくどこも受け入れてくれない。でも、「転職しない=負け」みたいな風潮ないですか? 意識高い系の同年代は、常に「チャレンジ」とか「キャリアプラン」とか横文字つぶやきながらホリエモンのTwitter見てます。

高原さん:うーん。さちこさんは、自分のやりたいことが定まってないから、何やら活動している同年代を見ると焦っちゃうのかな。将来どうなっていたいか定まっていたら、不安は消えると思いますよ。

さちこ:ぐうの音も出ません。

さちこのくだらない相談に終始笑顔で対応してくれた高原さん

高原さん:あと、人生なんて千差万別だから、他人の行動を真似しても自分が成功するとは限らないじゃないですか。だから、転職したとしても「やっぱりちがう」って後悔する人だっていますよ。他人からどう見られるじゃなくて、自分のキャリアをどうやって積もうか考えることが重要なんじゃないですかね?

さちこ:私のキャリアプランは真っ白すぎて、自分でも引きます。なんなら前の取材で専業主婦にボコボコにされたから、もはやいつまでに結婚と出産したいかっていう人生プランすらもうない。高原さんはいつごろ明確になったんですか?

高原さん:それが実は、私も未だにまったくないんですよ(笑)。

さちこ:ないんかい。

高原さん:20代のころなんて、10年後の目標のために逆算して行動することなんてしてませんでした(笑)。正直そのころは仕事に忙殺されていて、将来のことを考える余裕はゼロ。降ってくる業務を1,000本ノックのように打ち返すことに必死でしたね。

さちこ:私は降ってきた業務を5本に1本くらいこっそり見送ってます。それか気の弱い後輩に送りバント。

高原さん:20代は無我夢中で仕事をすればいいと思うんです。30代になったときに血となり肉となり、結果としてキャリアが積み重なっているから。受動的ではあるけど、明確な目標がない人はそれでいいと思います。

さちこ:とはいえ、本当に力がついているのか不安です。

高原さん:仕事っていうのは積み重なっていくものだから。嫌いなことも厭わずにこなしていくことで、筋肉になっていくと思うんです。面倒だったり必要なさそうだったりする業務も、やってみると案外役に立つ日がくるというか。次の日にすぐ効果が出るわけではないけど、半年とか1年先に実を結ぶことがあるんですよ。

さちこ:すっごくポジティブ! でもシンプルですごくステキな言葉です。ことあるごとに“リーダーの決断”みたいなタイトル記事のURLを送ってくる同期にも聞かせてやりたい。

高原さん:そういえば、入社して数年経ったとき、ある日デスクに「英語がうまくなったね」って言われたのはよく覚えてます。英語の本を読み込んだ結果が出たんだなって実感しましたね。グラフにたとえると、コンスタントに右肩上がりになるわけではなくて、階段のように突然上がるというか。

さちこ:その階段現象、まだ知らないです。その階段、できれば一段飛ばしで駆け上がりたい。高原さんを見てると、本当にこの仕事が好きなんだなあって思います。お昼ごはんを食べたあと、眠くなってトイレでこっそり寝るとか、そういうのまったくないんですか?

高原さん:仕事中は眠くはならないかなぁ……。夜は早く寝てるからかも。

さちこ:報道部の部長はいったい何時に寝るんですか?

高原さん:だいたい21時ですね。

さちこ:子どもやん。

高原さん:子どもと一緒に寝ちゃいますから。睡眠は十分すぎるほど取ってるから、眠くならないだけです。

さちこ:部長職なんて責任しかないと思うんですけど、不安はなかったんですか?

高原さん:不安しかありませんでしたよ! 苦手な管理業務なので。

さちこ:どうせ声もかからないんですけど、私は昇進したくないです。責任を負いたくない。

高原さん:私も昇進願望はありませんでした(笑)。うちの会社は記者として現場にいたい人が多いので、管理職をやりたがる人は少ないですね。職人気質というか。

さちこ:昇進願望がない理由が、高原さんは現場主義なのに比べて、私は単なる責任逃れ。一緒にしてごめんなさい。でも、もし結婚せずにずっとひとりで生きていくことになったら、ずっと平社員のままってわけにもいかないじゃないですか。

高原さん:じゃあどうするんですか?

さちこ:私が教えてほしいです。

安直で使い古された言葉だけど、自分が部下を持つ立場になるなら高原さんみたいになりたい

ジャパンタイムズの報道部長が出てくるっていうんだから、緻密な人生設計を寸分の狂いもなく実行していくような人をイメージしていた。私とは真逆の人。

でも実際は、根本は大きく変わらない。仕事に行きたくないと思う朝もあれば、失敗して落ち込む夜もある。人より昇進意欲が突出しているわけでもない。そう思うと、「仕事をする」ということを大きく捉えなくていい気がしてきた。

キャリアプランが白紙の私は、とりあえず高原さんの言うとおり、20代のうちはがむしゃらに目の前の仕事をこなそうと思う。もう同期から送られてくる意識高い系の記事に惑わされないぞ。そういう意識、低くたって別にいいもんね。

(文:マイナビウーマン編集部、撮影:masaco)

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