お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

妻が妊娠してるときに浮気しまくる男は、いつの時代もいるらしい #R18の伝記

五十嵐綾子

昔むかし、北条政子というとんでもなく気が強い女がいました。政子は、源頼朝という「ねえねえあの人、役職ついてるわりに仕事できなくない?」なんて言われていそうな男と出会っちゃいました。

現代でいうと、企業同士の争いに負けて、しょんぼりしている頼朝。
(※源氏と平氏の争い)

気の強いシャキシャキした政子は、どうしてもこの男を放っておけない。デキる女ってなんでこう、絶妙にちょっとダメそうな男に惚れちゃうんでしょう。女子会で「あの人は、私がいなきゃだめなの!」とか言ってる女子って、たいていサバサバしてて仕事は優秀だったりしない? 友だち、誰か止めてやれよ。

そんでもって政子の実家は頼朝のことが超嫌い。嫌いっていうか因縁の関係。同じ町内にあるイオンとイトーヨーカドーみたいな。政子パパからしたら、そんな商売敵の家のボンクラ息子と娘が付き合ってるようなもん。でも、そういう障害があるほうがなんか盛り上がっちゃうのが恋の初期症状。この症状患ってるカップルのLINEを適当につなぎ合わせたら、西野カナがあっという間にアルバム作ってくれるわ。

当然、燃え上がった2人に政子パパは怒り心頭。そこらへんにいたボーッとした部下・山木兼隆(やまきかねたか)という男をとっつかまえた。

「おい、山木、今彼女いるのか?」

「え、俺っすか? 今いないんすよ。」

「まじ? じゃあもうお前でいいやっ!」

こんなやりとりをしたのか、政子パパ、超強引に縁談まとめちゃった。

でもさ、ただでさえお父さんと恋愛の話題とか勘弁なのに、お父さんが選んだ結婚相手とか、絶対嫌じゃない?

兄ちゃんが知らない間に自分の友だちに告ってた(で、フラれてた)

くらい嫌じゃない?

それは政子も一緒。お父さんに無理やり閉じ込められた山木の家から飛び出した。激情型の政子だから、何も持たずに手ぶらでGO。伊豆の山を必死に走る。道に迷い豪雨に打たれながら、愛おしい頼朝のいる伊豆山の神社に一直線。

想像してみて。政略結婚しちゃった忘れられない女の子が夜中にピンポンしてきたの。しかも超濡れてんの。小鹿のように震えながら、「やっぱりあなたがいいのっ!!」って。

もうさ、絶対この夜盛り上がったはず。
(大人のみなさん想像してみて)

この政子の頑固さにパパも観念。2人は鎌倉に新居を構え子どもにも恵まれた。

めでたしめでたしって? これで終わってたら、この連載でお届けする意味がない。

政子が長男を妊娠したころから、頼朝の動きが怪しい。どうやら妊婦の妻に隠れて女をつくっていたらしい。

ねえ、もうさ、男が、「妻が妊娠してるときに浮気」したら刑事事件として扱ってよくない?

それくらい最低じゃない? 警察動いてよくない?

しかも頼朝のやつ、その愛人をこっそり鎌倉の近くに呼び寄せてやがんの。なに愛人囲ってんだよ、どうしようもないな。

で、それを知った政子、どうしたと思います?

破壊したよね、愛人の家。
自分の部下送り込んで。

もうね、やることがハリウッド映画並みにスケールがでかい。お正月の超大作感。

愛人宅破壊事件に驚いたダメ男・頼朝は、八つ当たりで政子の部下のちょんまげ切ったらしい。

ちっさ!! 引くほどちっさい男!!

その後も、政子が妊娠するたびにいろいろな女にちょっかいを出す頼朝。その手癖の悪さはえげつなく、自分の死んだ兄の未亡人にラブレター書いちゃったり(頭おかしい)、自分の家のお手伝いさんに手を出して子どもを産ませたり……。政子が命がけで新しい命を産もうとしてるなか浮気を繰り返す頼朝に、部下もドン引きだったとか。
「また女のケツ追ってるよ、社長。うちの会社も終わりだなぁ」なんて部下の嘆きが聞こえてきそうなダメ社長っぷり。

それでも、政子は22歳ごろ(一番いいときじゃん!)から36歳(まだまだこれからじゃん!)まで、頼朝の子どもを次々と産んでしっかり育てた。まさこちゃん……(涙)

頼朝の死後、ほかの男性とも一切関係を持たずに出家し、尼将軍として頼朝が開いた鎌倉幕府のリーダーとなったのはみんなも教科書で知ってるはず。

その後も政子は、株式会社鎌倉幕府の女社長として、幾度のピンチを見事に乗り越えた。

会社の経営が危うくなったとき、怖気づきそうになった社員たちに政子が言った有名な名言がこれ。

頼朝の恩義は、あなた方にとって海よりも深く、山よりも高いこと

ちょっと待って、あんた頼朝のこと好きすぎ!! 部下もこの言葉で覚悟を決めたんだとか。カリスマ性もリーダーシップもあって、そんでもって一途。

政子、超いい女!!男見る目ないけど!)

(文:五十嵐綾子、構成:マイナビウーマン編集部、イラスト:たけだこうへい)

※この記事は2018年07月04日に公開されたものです

五十嵐綾子

この著者の記事一覧 

SHARE