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パワハラ上司への対処法。パワハラと指導の違いとは?

刈谷龍太(弁護士)

上司から受けるさまざまな行為。パワハラかもしれないと感じているけれど、厳しい「指導」なのかもしれないし、判断がつかずになかなか言い出せない……。そんな経験ありませんか? 今回はどのような行為がパワハラにあたるのか、さらにその対処法について、弁護士の刈谷龍太先生に伺いました。

パワハラ上司の特徴とは?

まずは、パワハラとはなんなのか、さらにそういったパワハラをする上司の特徴について教えていただきました。

パワハラと指導の違い

「パワハラ」とは、パワーハラスメントの略語ですが、法律上に定義がある言葉ではありません。厚生労働省は職場のパワーハラスメントを、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。これを踏まえると、仕事における上司の言動に不満を感じたりする場合でも、「業務の適正な範囲」で行われている場合はパワハラではなく、業務上の必要な「指導(指示や注意も含む)」にあたると考えられます。上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められているからです。では一体、どのような行為がパワハラにあたると言えるのでしょうか。

叩く・殴る・蹴るなどの身体的な攻撃

暴行罪や傷害罪に該当しうる行為なので、「業務の適正な範囲」とは到底考えられず「パワハラ」にあたります。

脅しや侮辱、暴言など

「やめてしまえ」など、社員としての地位を脅かす言葉、「おまえは小学生並みだな」「無能」などの侮辱や名誉棄損にあたる言葉、「バカ」「アホ」などの暴言は、原則「パワハラ」にあたるでしょう。

人間関係から切り離す行為

一人だけ別室に席を離す、職場の全員が呼ばれている忘年会や歓送迎会に呼ばないなどの仲間外れや無視なども、原則「パワハラ」にあたります。

無理な仕事の要求

業務上の必要な「監督」・「指導」とされる場合もありますが、些細なミスについて見せしめ的に逐一始末書の提出を求めたり、能力や経験を超える無理な指示で他の社員よりも著しく多い業務量を課したりすることは、パワハラになる可能性があります。

少しの仕事や職種と別の仕事しか与えない

会社の状況や教育の観点から行う場合は、業務上の必要な「監督」・「指導」とも判断できます。しかし、採用された部署での仕事を与えなかったり、仕事を与えずに放置したりすることなどは、過小な要求としてパワハラになることも。

プライバシーの詮索

執拗に配偶者や交際相手との関係や私生活を問いただしたり、携帯電話やロッカーなど私物を覗き見たりすることなどは、プライバシーの侵害としてパワハラにあたると言えます。

以上のように、「パワハラ」と「指導」の境界線はその線引きが難しい場合も。その際、「パワハラ」にあたるかは、さまざまな観点から総合的に判断されます。例え上司が「指導」であると主張したとしても実際は「パワハラ」と判断されることもあるのです。疑いを持った場合は、まずは一人で抱え込まずに、家族、友人、専門医、弁護士など信頼のおける第三者に相談しましょう。

パワハラ上司の特徴をチェック

自分の上司がひょっとして「パワハラ上司かも!?」。そう思ったときには下記の確認事項をチェック。あくまでパワハラを引き起こす人の傾向として現れている特徴ですが、当てはまる数が多い上司ほど注意が必要と考えてよいでしょう。

(1)他者の人格や差異を軽んじる、尊重できない
(2)誠実さや正直さに欠けている
(3)自分を強く見せたい、よく見せたいという自意識を過剰に持っている
(4)支配欲・権力志向・野心が強い
(5)臆病、小心者
(6)些細なことを気にする神経質、心配性
(7)嫉妬深い
(8)自分より地位の高い・強い者に迎合する
(9)成果・数字ばかりを求める
(10)ストレスを抱えている

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