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泣き寝入りしない! 覚えておきたいパワハラ対策

刈谷龍太(弁護士)

三浦一紀

ケース別パワハラ対策法

パワハラとひと口に言っても、さまざまなケースがあります。そこで、ケース別のパワハラ対策について解説します。

前提として

前提として、パワハラ全般にいえることですが、何よりも自分の安全・健康を最優先するべきです。ひとりで抱え込まず、家族、友人、専門医、弁護士などの第三者に相談しましょう。相談することで自身の状況を客観的に把握することにつながりますし、精神的苦痛が和らぐことがあります。会社を辞めることになるかもしれないと考えると、相談も難しいと思いますが、辞めるかどうかの前に、まずは自分自身の身体的・精神的な健康を一番に考えるようにしてください。その上で、事後に上司・会社と交渉することを踏まえて、証拠をなるべく早く確保しておく必要があります。

身体的攻撃を伴うパワハラへの対策方法

殴る・蹴るなどの身体的暴力を伴うパワハラの証拠としては、まず暴行結果に対する医師の診断書を取得すべきです。パワハラによる精神的疾患も発病した場合には、その診断書も取得します。また、暴行当時のできる限り詳しい状況を記載したメモを残しておきましょう。さらに、同僚や部下などの面前でパワハラが行われ、目撃者の協力が得られる場合には、その証言も重要な証拠となります。ただし、身体的暴力は刑法上の暴行罪、傷害罪、すなわち刑事事件に該当しうる行為ですので、すぐに警察に被害届を提出することも検討すべきです。

精神的攻撃を伴うパワハラへの対策方法

怒鳴る、罵倒するなどの言葉の暴力を伴うパワハラへの証拠としては、録音データが有用です。上司との会話のやりとりを録音することは、たとえそれが上司に隠して行ったものであっても、正当な目的で用いられる限り、違法な証拠となるものではありません。上司の発言がパワハラと感じられる場合には、ボイスレコーダーを常に携帯しておくのもひとつの手段といえます。精神的疾患発病時の診断書、自身のメモ、目撃者の証言が重要な証拠となるのは、身体的暴力を伴うパワハラの場合と同様です。なお、言葉の暴力もその発言自体が脅迫罪、強要罪、名誉毀損罪、侮辱罪に該当するような場合には、警察への被害届の提出も検討しましょう。

無視をされるパワハラへの対策方法

仕事を与えない、連絡事項を伝えないなど、無視を伴うパワハラの証拠としては、明らかに無視されているといえるものが必要となってくるでしょう。たとえば、自分だけがメールのCCの宛先やグループチャットから外されている場合には、協力者を見つけ、それをスクリーンショットや写真に撮って保存しておきましょう。なかなか証拠に残りづらい態様のパワハラですから、しっかりと証拠を準備しておくべきです。

極端な仕事を伴うパワハラへの対策方法

極端な仕事そのものが直ちにパワハラに該当するわけではないないことに注意が必要です。ただ、達成できないノルマが与えられていたとしても、それを達成できないときに叱責されたり、業務上の不利益を課せられたりすると、違法なパワハラといいやすくなります。したがって、そのような不利益等に関する証拠を集めておくことが肝要と思われます。もっとも、自分だけが極端な仕事を与えられているような場合であれば、そのようなノルマそのものが嫌がらせと評価できるかと思われます。そのような場合は、自分だけが嫌がらせを受けているという証拠を集めるべきです。たとえば、同期のノルマと自分のノルマの差に関する証拠などとなります。

プライバシーに関するパワハラへの対策方法

プライベートに干渉してくるタイプのパワハラは、パワハラというよりもむしろセクハラといえるかもしれません。具体的には、恋愛経験や結婚事情などについて不要な発言・詮索するなどの私的な情報に関わってくるもの、休日や退勤後など就業時間外に連絡・接触を求めるなどの私的な時間に関わってくるものが考えられます。いずれにせよ、証拠を集めるべきなのは今までのパワハラと同様です。

なお、セクハラについては男性だから女性だからということはなく、同性の場合でもセクハラとなるとされているので注意が必要です。

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