
【妊娠出産のウソ&ホント】妊娠したら乗り物酔いしやすくなるってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
もともと乗り物酔いをする人はもちろんのこと、乗り物酔いをしたことがないという人の中にも「妊娠したら乗り物酔いをするようになった」と聞くことがあります。実際のところはどうなのでしょうか? また、乗り物酔いを少しでも軽減させるコツはあるのでしょうか? 今回は、そんな妊娠中の乗り物酔いにまつわるウソ&ホントに迫りました! 産婦人科医の尾西芳子先生に解説してもらいましょう。
本日の「ソボクな疑問」
Q.妊娠したら乗り物酔いしやすくなるってホント?
<読者の声>
・酔いやすさは、もともとの体質だと思う。(29歳/金融・証券/事務系専門職)
・三半規管が弱くなると聞いた。(28歳/建設・土木/事務系専門職)
・乗り物酔いというより、乗り物にあまり乗ってはいけないと聞いたことがある。(31歳/金融・証券/事務系専門職)
・妊娠中の乗り物酔いを軽減させるコツはあるか。(30歳/電力・ガス・石油/秘書・アシスタント職)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「う~ん」です!
まず、乗り物酔いの原因ですが、乗り物の揺れや加減速によって、耳の中にある三半規管を流れているリンパ液の循環が乱れることで起こるといわれています。三半規管は体の平衡感覚をつかさどっていますから、そこから脳に送られた体の情報と、実際に目から入る視覚情報とにズレが生じて自律神経の働きが乱れ、吐き気につながってしまうのです。
ですから、妊娠と乗り物酔いに直接関係があるわけではありません。ただ、妊娠初期は、ホルモンバランスの変化で自律神経が乱れて気分が悪くなりやすくなったり、体の中の血液が増えるのと同時にリンパ液も増えたりするため、それらが乗り物酔いにつながっている可能性が多少あります。しかし、妊娠によって三半規管の働きが弱くなるということはありませんし、酔いやすさは生まれ持っての体質ですから、妊娠しても乗り物酔いをしない人は多くいます。
妊娠中に限らず、乗り物酔いを軽減させたいなら、手元のスマホや本を見るのではなく、遠くの景色を眺めるのがオススメ。車内のニオイに反応してしまう人は、自分がリラックスできるニオイまたは無香の消臭剤を持っていくといいでしょう。また、乗り物酔いは「酔うかもしれない」という心理面も影響することがあるので、「今日は酔わない」と自己暗示をかけることも大切です。
なお、「乗り物にあまり乗ってはいけない」というコメントがありますが、「長時間同じ体勢を取り続けることで、おなかが張りやすくなるので避けましょう」という話なので、乗り物酔いとは関係ありません。もし長時間乗るのであれば、2時間ごとに休憩を入れて歩くなど、体を動かすようにしましょう。
ちなみに耳に関していうと、妊娠中は急に耳が詰まった感じになり、自分の声がこもってしまう「耳管開放症」になる人が多いのですが、ホルモンの影響だといわれており、決して異常ではありません。しばらくすれば治っているはずなので、あまり心配する必要はありませんよ。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※一部画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2017年03月18日に公開されたものです