【男女のマネートラブル】第2回 不倫の慰謝料っていくら準備しておけばいいの?
「彼氏がお金を返してくれない」「婚約破棄された」「不倫の慰謝料」。世の中の男女の問題にはお金がつきもの。そんな男女のマネートラブルの悩みに、多くの離婚・男女問題を解決してきた弁護士・堀井亜生先生が答えます! 法律面のアドバイスだけでなく、これまでの事例に基づく恋愛アドバイスももらえるので必見。 悩める子羊たち、門を叩きましょう!
【今回の相談】
現在、同僚の既婚男性とお付き合いをしています。彼とは将来的に結婚するつもりで、彼の奥さんにもこの関係は知られています。現在私は副業もしながら、奥さんへの慰謝料を貯めているところです。まだ奥さんから慰謝料の請求などはないのですが、私はどのくらい慰謝料を準備しておけばいいのでしょうか? ケースバイケースだとは思いますが、目安が知りたいです。(まみ・31歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)
堀井亜生先生の法律アドバイス
結婚をゴールにした不倫をしている女性は少なくありませんが、その中でもすでに慰謝料を貯めているケースというのはかなり珍しいと思います。
私が不倫問題を担当してきた経験からすると、いざ相手が離婚して奥さんから慰謝料を請求された時に、「私がお金を払うのはおかしい」と考えてしまう女性はかなり多いです。既婚男性が交際相手に対して、奥さんの不満を述べていることが多いので、不倫をするのは奥さんに問題があったからだと刷り込まれているからです。
しかし、多くのケースでは慰謝料を払うことになります。
もちろん第一には不倫関係を解消することを考えるべきですが、さまざまな事情があり交際解消が難しい場合もあります。
そこで、結婚を目指して交際をする場合には、この相談者の方のように、慰謝料を支払うことを覚悟した上で交際をしていると、相手が離婚した後もスムーズに事が運ぶようになりますし、経済的にも困ることが少なくなると思います。
●不倫の慰謝料を払わなくてもいい場合
さて、既婚者と交際しても、不倫相手の女性が必ず慰謝料を支払わなくてはいけないとは限りません。場合によっては慰謝料を支払う必要がないこともあります。
その1 既婚者だと知らなかった
まず、夫が結婚していることを知らずに交際していた場合です。
夫が不倫相手に独身だと嘘をついて交際し続けるというケースがあります。途中で既婚が発覚した場合には、その時点で解消すれば問題ありません。
職場も違い、住む場所も離れていて、夫が巧妙に嘘をつき続けていて、夫が結婚していることを不倫相手が全く知ることができなかった場合は、「不倫をしている」という認識そのものがないわけですから、「不倫をした結果相手を離婚(又は破たん)させた」ということについて責任を負う必要はなくなります。
その2 不倫前から婚姻関係が破綻していた
次に、不倫をする前から夫婦の婚姻関係が破たんしていた場合です。
不倫前から既に別居していた、あるいは同居はしていても会話もなく家計も家事も別々になっているというような家庭内別居状態であったなど、既に夫婦としての生活を送っていない状態だった場合は、不倫によって奥さんの権利を侵害したことにはならないので、やはり慰謝料を支払う必要はなくなります。
●不倫の慰謝料の相場と支払い方
これらの事情がない場合は、裁判所は、夫婦が離婚したか、交際の期間や頻度、婚姻期間がどのくらいかといったさまざまな事情を考慮して慰謝料の金額を決定します。
ケースによって金額にばらつきがありますが、おおむね30~300万円ぐらいが相場と考えてよいでしょう。
もちろん、裁判を起こされる前に慰謝料を支払ってしまうことも可能です。
奥さんから請求が来た場合、自分の納得できる金額だったら、そのまま支払ってしまってもよいでしょう(ただし払ったという証拠と追加の請求はされないという合意書きちんと残しておきましょう)。もちろん請求された全額を払う義務はないので、何か主張・反論したいことがある場合には、金額の減額の話し合いをします。
また、奥さんと不倫相手の女性が直接やりとりをすると、お互いが感情的になったり、時には暴力を振るったりという事態に発展してしまうこともあるので、裁判になる前から弁護士に依頼して間に入ってもらうと、よりスムーズに話し合いを進めることができます。
実際に、不倫の慰謝料をめぐる依頼は、奥さん側からも不倫相手の女性からも多く、解決の着地点もケースによってバラバラです。
堀井亜生先生の恋愛アドバイス
不倫に至るにはいろいろな事情があると思いますが、どのようなケースでも、相手の奥さんの生活や精神状態に影響を与えることは避けられません。相手夫婦が離婚する場合は、奥さんや子どもの人生そのものにも大きく影響を与えることになります。
既婚男性と結婚したいと考える場合には、このことを自覚して、「この先には奥さんとの話し合いや慰謝料の支払いが待っている」という現実的な覚悟をした上で交際をするようにしましょう。
ただし、こういった覚悟をした上であっても、やはり待っているのはいばらの道です。慰謝料さえ払えば不倫をしてもよいということではなく、やはり不倫関係を解消してほかの道を探す方が望ましいでしょう。不倫をする男性は、あなたと再婚した後であっても、不倫をする可能性が高いということは十分理解してください。
(監修・文:堀井亜生)
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★次回の『男女のマネートラブル』は11月22日(火)公開予定です。お楽しみに!
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※この記事は2016年11月08日に公開されたものです