医師に聞く! 今さらですが、「キス」で風邪はうつるの?
風邪気味の恋人とキスする瞬間、「今キスをしたら風邪がうつるかも……」と心配になったことはありませんか? 恋人とのスキンシップを大切にしたいとは思っても、風邪をうつされてしまうのはさすがにイヤ! では、そもそもキスによって風邪はうつるものなの? 今回は、医師と歯科医師のライセンスを持つ秋山志穂先生に、その真相を聞いてみました。
「キスで風邪がうつる」は本当
そもそも風邪はウイルス感染で咳やくしゃみなどでウイルスが飛散し粘膜に付着することで感染する「飛沫感染」をします。唇と唇が触れるだけのキスで感染することはありませんが、キスによって粘膜同士の触れ合いがあった場合、“うつる”と考えてよいでしょう。唾液の交換がされるようなキスは危険ですね。
キスによってうつる病気とは?
キスによる粘膜の触れ合いにより、ウイルス性の病気だけでなく細菌性の病気も感染してしまいます。上気道粘膜に炎症を起こす病気の8割から9割はウイルス性と言われており、季節によって原因となるウイルスも異なります。特にこれからの季節、流行が気になる「インフルエンザ」は病原体を含む飛沫を吸い込むことにより感染するため、キスで感染することもあるでしょう。またその名の通り、キス病と呼ばれる「伝染性単核球症」は一般に唾液を介して感染するため上記のようなキスによってうつる病気です。
そのほか、キスを介してヘルペスやクラミジア、淋病、梅毒といった「性病」が感染してしまう恐れもあります。クラミジアや淋菌は性器だけでなく咽頭にも寄生するため唇で触れ合う程度のキスでは感染しませんが、ディープキスは感染の危険が高くなります。また梅毒は感染後、全身の臓器に菌が播種(はしゅ)されるため、病変が性器だけでなく口腔内にも出現することがあります。その病巣と粘膜が接触すれば感染するので、梅毒の病巣を持った方とキスをすると、それがうつるケースもあるでしょう。
感染の確率に関しては、個人の「免疫力」によって異なってきます。ある程度、ご自身の免疫力が強ければ発症はしませんし、弱っている状態であれば、発症する可能性が高まってしまうと考えてください。
キスのほか、恋人同士のこんな行為も危険!
ペットボトルのまわし飲みや、同じスプーンによる食べまわしは注意が必要です。また、恋人同士でお泊まりデートをすることもあると思いますが、風邪気味の彼と1日中一緒に過ごす場合、彼の鼻汁や咳、くしゃみによる唾液が手に付着しその手で口、鼻、目などを触ることでも感染します。ウイルスにさらされた環境で過ごすことにより感染のリスクは高まります。
まとめ
風邪をひいた彼の看病をする場合、感染を防ぐ方法としてマスクの着用は必須です。あとは、手洗い、うがいが重要。また感染者と1メートル以上距離を置くことも大切です。できたら、なるべく別室で過ごすことをオススメします。
取材協力/秋山志穂
女医+(じょいぷらす)所属。横浜市内の病院に勤務。医師及び歯科医師のライセンスを持つ。口腔内細菌と腸内フローラ、口腔内細菌と肺炎、口腔内細菌と糖尿病の関係について周知するため、日々尽力している。
(取材協力:秋山志穂、文:井田愛莉寿/マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2016年11月07日に公開されたものです