産婦人科医に聞く! 生理前になると「お腹が減る理由」とは
生理前になると食欲が増進して、つい食べ過ぎてしまうことってありませんか? それに合わせて体重も増加……! しかし、生理が終わると食欲も体重も元の状態に。体の中でどんな変化が起こっているのでしょうか? そのメカニズムについて、産婦人科医の高橋怜奈先生にお話を伺いました。
生理前にお腹が減るのは自然なこと。ただし食欲に任せて食べ過ぎないように注意!
Q1.生理前にお腹が減るのはどうしてなのでしょうか?
排卵は、卵巣から卵が出て精子を迎え入れ、赤ちゃんが着床するための大切な期間です。その排卵から生理直前までは、赤ちゃんを迎え入れる体を作るために、「プロゲステロン」というホルモンが出てきます。そしてそのプロゲステロンには、血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」の抵抗性を下げる役割があります。つまりインスリンの効きが悪くなります。
インスリンの効きが悪くなるということで、ご飯を食べたときに血糖値が一気に上がったり、その後に一気に下がったりしやすくなります。そこで低血糖のような状態になってしまい、お腹が空いてご飯を食べたくなるのです。人によっては、甘いものを食べたくなるという人もいますが、それも血糖を欲しているということでしょう。
Q2.生理前後、食欲にまかせて食べてしまっても大丈夫なのでしょうか?
お腹が空くからといって一気に食べてしまうと、血糖値が急激に上がってしまいます。ですから、なるべく血糖値の上がりが緩やかになるような食事を心がけてください。たとえば、低GI食品のようなものがオススメです。白米より玄米を選び、お肉、魚、野菜をバランスよく食べるようにするといいですね。また、野菜を最初に食べてからご飯を食べるなど、食べる順番に気をつけましょう。
空腹時間を長くしてしまうと、次に食べたときに血糖が上がりやすくなってしまうので、食事の回数を1日3回とこだわらずに、5回、6回と小分けに食べるのもいいと思いますよ。食欲を我慢しなくてもいいですが、内容や食事の仕方を工夫してみてくださいね。
ちなみに、生理前に体重が増えるのは、赤ちゃんを迎えるため、体に必要な水分を含ませていることが原因です。主に水分で増えているだけなので、生理後は体重も戻ります。健康な証しなので、心配しないでくださいね。
Q3.生理前や生理中、積極的に摂取すべき食べ物はありますか?
むくみやすい期間でもあるので、塩分を控え、カリウムが多い食材をとるようにするといいと思います。たとえば、バナナ、パセリ、アボカドがオススメです。また、間食をするときはお菓子ではなく美容効果もあるナッツ系がいいと思います。むくみに繋がるので、塩分が含まれているものではなく、ローストしてあるだけのものを選びましょう。さらに、間食にはヨーグルトや温かい豆乳などもいいですね。
生理中は血液が出てしまうわけですから、それだけでも貧血ぎみになってしまう人もいます。貧血を予防するなら、カツオ、レバー、アサリ、牛ヒレなど、鉄分が豊富なものを摂ってください。鉄分と一緒に、ビタミンCを摂取すると鉄分の吸収がよくなるので、野菜などと一緒に食べると、さらに効果的に予防できると思います。
まとめ
生理前にお腹が空くのは、きちんとしたメカニズムがあるんですね。だからといって食べ過ぎは体のためにもよくないし、太ってしまうことももちろんあるみたい。生理前は特に、食事にも気をつけていきましょう。
(取材協力:高橋怜奈、石部千晶/六識)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)
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取材協力/高橋怜奈
女医プラス所属。東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科在籍。趣味はベリーダンス、ボクシング、バックパッカーの旅。2016年6月にボクシングのプロテストに合格をし、世界初の女医ボクサーとして活躍中。ダイエットや食事療法、運動療法のアドバイスも行う。
※この記事は2016年09月27日に公開されたものです