あごにできるニキビの原因と対策
大人ニキビの象徴である「あごニキビ」。生理前後に同じ場所にくり返しできて、治りにくいのが特徴です。またその原因は、加齢やホルモンバランスの乱れ、ストレスなど大人特有のものが多いため、治すにはスキンケアだけではなく生活を見直すことも必要です。北青山Dクリニックの福永麻紀先生に、「あごニキビ」の原因と対策について詳しく解説いただきました。
大人ニキビの象徴である「あごニキビ」。生理前後に同じ場所にくり返しできて、治りにくいのが特徴です。またその原因は、加齢やホルモンバランスの乱れ、ストレスなど大人特有のものが多いため、治すにはスキンケアだけではなく生活を見直すことも必要です。北青山Dクリニックの福永麻紀先生に、「あごニキビ」の原因と対策について詳しく解説していただきました。
あごニキビの原因
なぜ、あごにニキビができるのでしょうか? またくり返しできる理由は? 原因はいくつかありますが、そもそもあごは、男性ホルモンが活発に働く部位。そのため、皮脂の分泌が多い箇所でもあります。さらに、加齢とともに角質層は厚く固くなり、通常なら毛穴から排出される皮脂分が詰まることも。このことによりニキビを引き起こします。また、生活の乱れやストレスなどによる皮膚のターンオーバーの乱調、ホルモンバランスの影響、一見、脂性肌に見えるけれど実は乾燥しているインナードライなども原因になります。
●ホルモンバランスの影響
女性の身体は卵胞期、黄体期、排卵期、月経というリズムをくり返しています。黄体期にはプロゲステロンというホルモンが優位になり、皮脂の分泌を活発にします。あご周辺は皮脂腺が多い箇所。そのため、黄体期にニキビができる女性が多いです。
●ストレス
人間関係や家族問題、恋愛など、ストレスの原因はたくさんありますが、人間の身体はストレスを感じると血流が滞るようになります。そこで、血流を改善するために、副腎皮質から抗ストレスホルモンであるコルチゾールと、男性ホルモンであるアルドステロンが分泌されます。この「アルドステロン」が皮脂腺を活発化させてニキビを発生させると考えられています。
●刺激
指で触れたり、フェイスラインに髪の毛があたったりするなど、外的な刺激を受けるとそれがもとでニキビになることがあります。あごは外的刺激を受けやすい部分のため、比較的ニキビができやすい部位といえます。
●25歳以上の女性にもっとも多いのが「あごニキビ」
25歳以上の女性175名を対象に、「ニキビができる場所」についてアンケートをとってみると、皮脂が出やすいTゾーンであるおでこよりもあごと回答した人が66名(37.7%)と、1番多い結果になりました。およそ4割近くの女性が、あごにニキビができやすいと実感しているようです。
あごニキビをすぐに治す方法
ニキビのなかでも困るのは、しこりのあるニキビ、かゆみをともなうニキビ、赤いニキビ、膿(うみ)のあるニキビ、大きいニキビです。なかでもくり返しできるあごのニキビは、そのままにしておくと治りにくくなったり、跡が残ったりしてしまいます。福永先生に治し方についてうかがってみました。
●塗り薬
市販の塗り薬もありますが、あまりにもくり返しできるようなら、一度、皮膚科を受診し、医師から処方された塗り薬を使用するといいかもしれません。皮膚科では、主として抗菌剤による局所外用療法として、塗り薬を処方してくれます。これは、ニキビを発生させるアクネ菌に働きかけて菌の繁殖を抑えるものです。
●飲み薬
飲み薬も市販のものがいくつか販売されていますが、主にビタミン剤です。ビタミンのほかに、肝機能を高める成分である「グルクロノラクトン」を含むものは、あごニキビに効果的とされています。医師により処方される飲み薬としては、抗生物質や抗炎症剤の処方が主になります。2008年から処方が認められた「レチノイド」という成分が入った薬は、ニキビの特効薬として最近注目されていますが、乾燥するなどの副作用もあるため、自分の体質や肌質に合っているか、医師に相談して使用するのがベターです。
●切開(皮膚科)
大きなニキビで、内部に膿(うみ)がたまっている場合には、切開して内容物の排出を促す治療を行う場合もありますが、独自で行わず必ず医師の処方で行いましょう。自分でニキビをつぶして膿(うみ)を出すと、肌に跡が残ってクレーターのようになる可能性があるためです。
●その他
クリニックでは、男性ホルモンを抑えるホルモン療法や、古い角質を取り除くケミカルピーリングなどで、あごニキビをはじめとする大人ニキビの治療を行う方法もあります。いずれにしても医師の診断のもと、自分の肌質やニキビのタイプに最良のものを選択できるよう相談しましょう。
あごニキビを根本的に治す方法
では次に、自分でできるあごニキビの治療法をみていきます。自宅でできるセルフケアにはどんなものがあるのでしょうか。
●スキンケア
あごニキビの原因のひとつが乾燥です。あご周辺は皮脂腺が多く集まっている一方で、汗腺が非常に少ない部位でもあります。そのうえ化粧水のパッティングもおざなりになりがちな箇所でもあるため、乾燥しやすい部位となっています。そのため肌内部が乾燥するインナードライの状態になりやすく、肌はそれを補おうとして皮脂を活発に分泌しますが、それにより、毛穴詰まりを誘発。ニキビができやすくなっています。
1)クレンジング、洗顔
ニキビができているときは、とにかく刺激を避けることが大切。ミルククレンジングなどは拭き取る際の刺激に注意しましょう。洗顔は、よく泡立てて泡で洗うようにするとベスト。あご部分はきちんとクレンジングできているか、洗顔時にもう一度確認しましょう。メイクが残っていると毛穴詰まりを起こし、ただでさえニキビができやすいこの箇所にニキビができる危険性をアップさせてしまいます。
2)基礎化粧品
洗顔のあとは、化粧水があご全体にしっかりいきわたっているかを意識しながら、ハンドプレスしていきましょう。そのあとは乾燥を防ぐために乳液、クリームで保湿します。ニキビが悪化しているときは、アイテム数をあまり増やさないで、抗菌作用、消炎作用のある製品を選ぶのも◎。
3)メイク
ニキビができていても、外出時とあればメイクはしたい女子が多いはず。とはいえファンデーションはニキビを悪化させるのではと心配ですよね? そんなときには、BBクリームを使いましょう。BBクリームはもともと、ピーリングのあとに皮膚科で使用していたものなので、肌を保護しながら使えるファンデーションとして有効です。ちなみに福永先生によると、ニキビが悪化しているときは塗りつぶすのはNGとのこと。「隠す」メイクではなくアイメイクを強めにするなど「目をそらせる」メイクをしましょう。
●生活習慣
あごニキビに限ったことではありませんが、美肌のために、いままでの生活を見直して少しずつ改善していくのも効果があります。例えばフェイスタオルをずっと取り換えないでいる(雑菌が繁殖します)、便秘が続いている(野菜など繊維質が足りない)など、生活のなかのNGポイントを見つけましょう。とはいえ生活習慣は仕事のサイクルや趣味嗜好(しこう)とも関連しており、一度に全部変えるとストレスのもとになるため、変えやすいものからひとつずつ取り組んでいきましょう!
●睡眠
肌のターンオーバーを促す睡眠はとても大切。一般に肌のゴールデンタイムは22時〜2時といわれますが、ライフスタイルによってはその時間帯に寝るのが難しい人もいますよね。もっとも肌にいいホルモンは入眠後3〜4時間後に出るといわれているので最低でもそれ以上は睡眠を確保するようにしましょう。また睡眠が浅くならないよう、寝る前に間接照明にして過ごしたり、アロマなどでリラックスできる環境をつくるなど、質のよい眠りをとるよう工夫するのも◎。
●運動
運動がニキビにいいのをご存じですか? 適度な運動は身体全体を活性化するうえ血流をよくし、全身に新鮮な酸素を運びます。また汗をかくことで皮膚に水分がいきわたり、老廃物が排出されて新陳代謝が促されるので、肌のターンオーバーが改善されるのです。しかし、がむしゃらに大汗をかくハードワークはNG。活性酸素ができて肌がサビてしまうからです。心地いいぐらいの適度な運動をおこなってニキビを改善しましょう。
●食べもの
大量の糖分や、脂肪分を含む食べものはお肌の大敵。脂肪分は大量に摂取すると、エネルギーとして使われなかった分が血液中に中性脂肪として溶け込み、血液をドロドロにし、肌に悪影響を及ぼします。チョコレートやナッツの食べすぎには注意しましょう。ちなみに、糖分というと、甘いものを思い浮かべてしまいがちですが、おせんべいやポテトチップスなどの炭水化物を含む食べものも「糖分」なので、それらの過剰摂取にも気をつけましょう。
また、過度な塩分も注意したいもの。塩分をとりすぎると腎臓や膵臓(すいぞう)が疲れてしまい、身体全体のほか肌にも悪影響が。とはいえ食事制限をしすぎるとストレスになってしまうので、食べるのを禁止するのではなく、食べる量を減らすなど、「適度」を心がけましょう。
●ストレス
「ストレスは万病のもと」であり、ニキビのもとでもあります。原因から遠ざかるのが一番ですが、なかなかそうもいきませんよね。そこでストレスを減らす方法として帰宅後に一切仕事のことを考えず、気持ちよく過ごせる環境を家の中に作りましょう。具体的には間接照明にしたりお気に入りの音楽を流したりするほか、好きなことをして過ごしたり、友人と語りあうなど。ストレスを解消することは良質な睡眠をもたらします。
●サプリ
市販されているサプリのなかでも、ビタミンB2、B6、C、Eなどが入っているビタミン剤は効果があるようです。
●ピル
ピルは男性ホルモンの作用を抑制する働きがあるので、ニキビにも効果があるとされています。ただし、ホルモンのバランスを変化させることになるので、必ず医師の指導の下に服用するようにしましょう。
ニキビ跡の防止法
あごは跡になりやすい場所として特に注意が必要な箇所ですが、ニキビ跡を残さないようにするにはどうすればいいでしょうか? それにはまず、ニキビをいじらない、刺激しない、そして早めに治療を開始することが大切だといいます。また、ニキビができている状態で日に当たると、毛穴をふさいでいる皮脂が酸化し、固くなって毛穴から出づらくなるうえ毛穴が黒くなるそう。そのためできる限り日に当たらないようにしましょう。
ニキビ跡の消し方
ニキビ跡の消し方について、福永先生によると、「なによりもくり返しできることを防ぐこと」だといいます。そのため一度できたら、同じ箇所にできないように予防を心がけましょう。また予防と一緒に気をつけたいのが「日焼け」。この2点を心がけていれば多くの場合、正常なターンオーバーのなかでだんだんとニキビ跡が目立たなくなるとのことです。
余談 あごニキビができる人はこんな人
みなさんはニキビ占いというものをご存じですか? ニキビのできた箇所で、「想い(おでこ)・想われ(あご)・振り(右頰)・振られ(左頰)」といった感じで恋愛運を占います。この占いでいくとあごにニキビができるのは誰かがあなたに恋しているという意味になりますが……占い結果はどうであれ、やっぱり美しい肌の女性は男性にも好印象を与えられるのは確か。ニキビのないきれいな肌を目指したいものですよね。
まとめ
大人になってからあごにニキビができやすくなる理由がおわかりいただけましたか? そしてそんなあごニキビを治すには、スキンケアの他に食生活や睡眠時間の見直しなど日々の生活の積み重ねが重要です。生活を改善し、あごニキビができにくい体質をつくるとともに、それでも繰り返すあごニキビは専門家に診てもらうなど適切な対処を行ってニキビのないきれいな肌を作りましょう。
取材協力してくれたのはこの人!
●福永麻紀先生
慶応義塾大学医学部卒業後、同大学皮膚科学教室に入局。浦和市立病院皮膚科、練馬総合病院皮膚科を経て、現在は北青山Dクリニックフォーラムに在籍し、皮膚科治療を中心に診療をしている。下肢静脈りゅうのなかでもレッグベインと呼ばれる細かい網目状の血管に対するレーザー治療を中心に、ニキビ治療、肌荒れ、脱毛などの相談も男女問わず行っている。患者さんの要望をよく聞き、それぞれに寄り添った診療を心がけている。
北青山DクリニックHP:http://www.dsurgery.com/
DクリニックフォーラムHP:http://www.dclinicforum.com/
(取材協力:福永麻紀、文:マイナビウーマン編集部)
※『マイナビウーマン』にて2015年11月にWebアンケート。有効回答数175件(22歳~34歳の働く女性)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.06.14)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2016年01月16日に公開されたものです