合わない人の特徴と原因。ストレスを感じない付き合い方とは

職場やプライベートで合わない人が出てくることはよくあること。自分とそりの合わない人が出てくるのはなぜでしょうか? 上司や同僚とそりが合わないときはどう対処すればよいかなどについて、心理カウンセラーの高見綾さんにお話を伺いました。

「合わない」とは、気心が合わないという意味です。誰にでも、「この人、ちょっと合わないな」と思う人がいるのではないでしょうか。

しかし、職場などではそういった人ともうまく付き合っていかなければならないものです。なぜ、そりの合わない人が出てくるのか、上司や同僚と合わないときはどう対処すればよいかなどについて説明します。

自分らしく、まわりの人と付き合っていくことができるように考えてみましょう。

合わない人の特徴

一度は仲良くしようと思っても、どうしても性格が合わない人っているものです。そもそも、どういった人のことを合わないと感じるのでしょうか?

まずは合わないと思う人の特徴について見ていきましょう。

(1)自己中心的

物事を自分中心に考えて、人の気持ちを考えない行動をする自己中心的な人は「合わない」と感じることがあるでしょう。

自分の利益だけを追ったり、我が強過ぎたりすると周りからは協調性がないという印象を持たれることもあります。

(2)気分によって態度が変わる

気分によって態度がころころと変わる人は、周りの人を振り回す傾向にあります。

昨日は良いと言ったのに今日はダメと言うなど、発言に一貫性がないと周囲は疲れてしまい、気が合わない・一緒にいたくないと考える人もいるでしょう。

(3)価値観が異なり意見が合わない

育った環境が違うと価値観も変わります。それは当たり前のことですが、その価値観があまりにも違う場合、「この人とは合わないな」と思うこともあるでしょう。

自分の中でスタンダードだと思っていたことが受け入れてもらえないと知った時、意思の疎通が難しいと感じることもあります。

(4)興味関心がほとんど一致しない

例えば、自分は家でマンガを読むのが好きで、日々チェックするのは芸能ニュースがメインだとします。

この場合、キャンプが趣味で芸能ニュースに興味がない相手と共通の話題で盛り上がるのは少し難しいかもしれません。

このように、趣味が合わず、興味の対象も全く一致しない相手に対しても「嫌いではないけど合わないかも」と感じやすいでしょう。

(5)相手を否定する

何か言う度にいつも否定されると、良い気分はしませんよね。特に、自分にとって大事な考えや好きなものを否定されると、反感を抱くこともあるもの。

そのため、相手を否定してばかりの人と一緒にいても「この人とは合わないな」と感じやすいでしょう。

合わない人ができる原因とは

どちらの考え方が正しいかはさておき、私たちの価値観や考え方は千差万別。そのちがいが相性を生み、合う人・合わない人を作り出します。

もし、合わない人が嫌い、振り回されるから苦痛、と感じることがあるのなら、自分の内面にその理由があります。

相手の「ヒステリックで、感情的に怒るところ」が嫌だとします。心理的には、嫌いな人・合わない人というのは、自分自身の嫌な部分を思い起こさせる人なのです。

ヒステリックで感情的に怒る人が嫌いな人は、自分の中にある感情的な部分を嫌っています。

たとえば、よく怒るお母さんを見て育った人は、自分はそうならないようにと思って、感情を抑えてコントロールします。でも目の前に、感情的に怒る人がいたら、自分が感情的になることを禁止している度合いだけ、腹が立つはずです。

合わない人が嫌なのではなく、合わない人の中に見る自分自身の姿が嫌だと感じるわけです。

また、自信満々で堂々としている人が苦手、という場合は、その人を見ることで自分の中のコンプレックスが刺激されるから嫌だと感じるのです。

堂々としている人を見ると、他人の目を気にしてしまう自分自身の姿があらわになり、そんな自分を見るのが嫌で、相手とはそりが合わないと感じてしまいます。

自分のことを自分でしっかりと肯定できていれば、そりの合わない人が気になる度合は減ります。幸せで満たされているときは、合わない人がいても案外平気だったりするのです。

▶次のページでは、合わない人との付き合い方を解説します。

合わない人との付き合い方

職場のそりが合わない人とうまくやっていきたい場合は、以下のようなことをやってみてください。

(1)一線を引く

そりが合わないところがあっても、私は私、相手は相手と一線を引いて、距離をとります。心理的な距離が近いとぶつかることが増えるので、意識的に距離を置きましょう。

(2)仕事に集中する

職場の人なので、なかよくしようと思うよりも、それなりに付き合うことを考えましょう。仕事をしっかりと行うことをメインにします。

(3)相手のどこが嫌なのかを考えてみる

そりが合わないなと感じる相手について、具体的にどの部分が気になるのかを考えてみます。嫌な理由がはっきりすると、それだけでも気分が楽になることがあります。

(4)自分ごととして捉えてみる

自分にも、相手の嫌な部分と同じ様なところがないかを考えて、自分ごととして捉えてみます。相手の嫌な姿は自分自身だと思って見てみると、自分の言動に気づくきっかけになるかもしれません。

(5)自分の中の正しさにこだわらない

こうするべきというルールにこだわり、「自分の考えが正しい」と思っていると、相手が常にまちがっていることになります。正しさを追求すると、穏やかな心を保つことは難しく、自分も相手も幸せになれない結論に行き着いてしまいます。

(6)相手のいいところを見つける

嫌だなと思っていると、ネガティブなところばかりが目について悪循環です。ときには、あえて相手のいいところに注目し、「こういうところは嫌だけど、こういうところは尊敬できるな」と見つけてみましょう。「こういうところ素敵ですね」と相手に直接伝えるのもいい方法です。

(7)相手を理解する

自分と相手とのちがいを理解し、ありのままに受け入れます。「あの人は、こんなふうに考えているんだ」と、受け取ります。相手を変えようとしたり否定するのではなく、ちがいを見つけることを意識します。

それでも合わないと感じた時の対処法は?

付き合い方のコツを実践したものの、それでもうまく行かなかった場合は、心に余裕がない状態のときかもしれません。心に余裕がないと、相手を理解したり受け入れたりするというのは難しいことです。合わないと感じるのは悪いことではないので、無理をしないようにしましょう。

(1)「合わない」ことを受け入れる

「合わないんだからしょうがないよね」と思って、自分の好き嫌いを受け入れてしまうことが大切です。

優しい人はつい、「合わないって思っちゃダメ」、「嫌いになってはいけない」、「みんなと平等に接しなければならない」と思ってしまいがち。合わない相手に、エネルギーを使うのは勿体ないので、無理に相手に合わせたり、うまくやれない自分を責めたりする必要は全くありません。

自分の気持ちに素直になって、合わないなりの付き合い方をすればいいんです。「うまくできない自分」も許してあげましょう。「しょうがないよね、私、十分頑張ってるよね」と、肩の力を抜きましょう。

(2)相手と距離をとった上で考えを変える

合わないと認めた上で、相手との距離を上手にとって、心地よくいられるように自分の考え方や発想を変えていきましょう。

そりが合わない人の嫌な部分は、自分が嫌っている自分自身の姿であると気づくことができると、自分を知るいいきっかけになります。合わない人とは距離をとって、上手に付き合っていきましょう。

▶次のページでは、「職場の人間と合わないから辞める」はありなのか解説します。

「職場の人間と合わないから辞める」はあり?

上司や同僚にも、そりが合わない人がひとりや2人はいるものです。職場の人たちと合わない理由を、自分の外側の問題だと捉えたまま辞めてしまうと、転職した先でも、同じように合わない人に出会ってしまうので、あまりおすすめしません。

たとえば、喜怒哀楽のはっきりした人がいて、その人の機嫌が悪いと、「私のせいかもしれない」と不安になり、気をつかってクタクタになってしまうとします。

しかし、「この人の存在が私に教えてくれることって何だろう?」と考えることができたのなら、「私はどうして機嫌が悪い人を見ると不安になるのだろう? どうして自分が何とかしようとしちゃうんだろう?」「私は感情的な自分を嫌ってないかな?」と考えることができるようになります。

そうやって自分の内面に気づきを持てると、合わない人と上手に付き合うためのスキルを身につけていくことができるのです。

合わないという理由で辞めるのは簡単ですが、その人を通じて見ることのできる自分自身の姿を受け入れていくことで、もっと過ごしやすくなります。

とはいえ、どうしても困ったことがあり、解決のために職場に働きかけ最善を尽くしたけれど改善しないという場合や、職場の雰囲気がそもそも合わないというケースでは、辞めるのも選択肢のひとつだと思います。

(高見綾)

※画像はイメージです

※この記事は2015年10月28日に公開されたものです

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