テレ東『午後のロードショー』の編成が面白い理由
昔のテレビには洋画の放送枠がたくさんあって、思わぬ映画を見てしまい衝撃を受けたなんてことがありました。しかし、現在では洋画を放送する地上波のテレビ番組が激減! この状況の中で唯一気を吐いているのはテレビ東京の『午後のロードショー』です。
【人前で絶対に「私テレビ見ない人なんで」と言っちゃいけない理由】
テレビ東京の『午後のロードショー』は非常にユニークな番組です。放送が「平日毎日、午後の帯」(4月から月-金に拡大:後述)で、放送される映画は年間200本を超えます! こんな大量の映画を地上波で放送しているテレビ番組は他に類を見ません。
しかも「吹き替え」です! 筆者のように声優さんの演技を楽しみにしている人間にとってはたまらない洋画放送なのであります。
また、番組編成が非常に柔軟なように思えます。アクション映画、知られざる傑作、小品だが見逃せない作品など、「分かっている映画ファン」から「詳しくない一見(いちげん)さん」までを、とにかく楽しませたいという意図が伝わってきます。
この『午後のロードショー』の編成はどのように行われているのでしょうか?
テレビ東京 編成局 『午後のロードショー』プロデューサーの夏目健太郎さんにお話を伺いました。
『午後のロードショー』は最後の砦(とりで)!?
――地上波で洋画を放送する枠がどんどん減っていますが。
夏目プロデューサー そうですね。地上波で洋画を放送する枠はずいぶん減りました。洋画ではなく邦画を放送していたりしますしね。
――洋画枠が減っているので、たまたまテレビでやっていたので見てしまった! といったことは少なくなりましたね。こういう体験が意外と大事だと思うのですが。
夏目プロデューサー そうかもしれませんね。映画をお好きなファンの皆さんからは「『午後のロードショー』が最後の砦だ」なんて応援もいただいています(笑)。
『午後のロードショー』編成の秘密は!?
――『午後のロードショー』は他局の洋画枠とは放送する作品がずいぶん違っているような気がします。番組編成で注意している点などは?
夏目プロデューサー まず、見ている人が「おっ!」と引っ掛かるポイントがあることでしょうか。「タイトル」「テーマ」「映像」……何でもいいのですが特徴があること、インパクトがあること、そういう作品を選ぶようにしていますね。
何となく見ている人が、インパクトを受けて、見終わったときに「ああ面白かった」と思っていただけたらいいですね。
――なるほど。他局とは違いますね。
夏目プロデューサー お昼にやっている映画枠ということで、幸いなことに他局の番組とはすみ分けができているようです。
――視聴者のプロファイルはどのようなものでしょうか?
夏目プロデューサー 年配の男女が7-8割ほどです。男女で比較すると男性が過半数です。若い人が増えてきているなど、ちょっとずつ変わってきていますが、この傾向は続くでしょう。
――例えば「3月の木曜日は?ワニ?!!」など、『午後のロードショー』は番宣のキャッチコピーが面白いことでも有名です。送り手が楽しんでやっている感じがしますが、これはスタッフの皆さんで考えるのでしょうか?
夏目プロデューサー そうですね(笑)……そういう場合もありますね。
『午後のロードショー』は数字取ってます!
夏目プロデューサーは奥ゆかしい人で「他局の番組とはすみ分けができている」といった表現をされていますが、実は『午後のロードショー』は視聴率の数字もいいのです。
例えば、2014年度の各クールの視聴率を見てみましょう。
2014年度 平均視聴率
第1(4月)クール:3.4%(前年同期より0.7%↑)第2(7月)クール:3.6%(前年同期より0.6%↑)
第3(10月)クール:3.7%(前年同期より0.7%↑)
第4(1月)クール:3.5%(2015年2月27日時点)
どのクールでも前年同期を上回っていますし、平日のお昼(13:35~)という番組枠を考えますとこれはかなりいい数字です!
また、2014年10月~2015年3月18日までの放送で、視聴率が良かった作品を見てみましょう。
『午後のロードショー』ここ半年の視聴率 Top5
第1位 『ミスト』……5.4%第2位 『山猫は眠らない4 復活の銃弾』……5.3%
第3位 『ICHIGEKI 一撃』……5.2%
同3位 『隣のヒットマン』……5.2%
第5位 『ランボー3/怒りのアフガン』……5.0%
筆者などは、しみじみといい作品が並んだランキングだと思うのですが、 皆さんはいかがでしょうか!?
『午後のロードショー:金曜版』が発進! 金曜日にも拡大!
――『午後のロードショー』はついに20年目に突入だそうですね。
夏目プロデューサー はい。4月からは金曜日にも放送枠が拡大されます。15年以上も月曜日-木曜日でやってきたのですが、それが月曜日-金曜日になるのです。金曜は『午後のロードショー:金曜版』というタイトルです。
――金曜日だけ特別編成なのですか?
夏目プロデューサー いえ、特にそういうわけではないのですが、ずっと月-木でしたので、月-木の流れを金曜日まで持ってきていただけたらと思います。ちなみに4月3日(金)からの4回、毎週金曜は「一挙放送! リーサルウェポン」です。
――午後ローぽくて、とてもいいですね! 読者にアピールをお願いいたします。
夏目プロデューサー 『午後のロードショー』は世界的にも珍しい番組だと思います。地上波、吹き替えで年間200本も映画を流している番組は他にないでしょう。中にはきっと面白いと思っていただける作品があると思います。
ぜひ見て、楽しんでください。
――ありがとうございました。
⇒テレビ東京の『午後のロードショー』紹介ページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/oa_afr_load/
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2015年04月03日に公開されたものです