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【新連載】おれんち泊まれば? 10年ぶりの再会は急展開をむかえ……

「わたしは、ちっともうれしくない。
もう興味ないのかと思ってた」
一言だけ文句を言うと、啓太はともかく謝って、
帰国したら必ず会おう、
連絡するからと言って、電話を切った。

その翌週の週末、わたしは帰国した啓太に、
前にも行った小料理屋さんで会った。
おみやげはチョコレート菓子で、
帰宅後に食べてみたら、震えるほど甘かった。

「考えてみたら、あの展開で、
男の方と急に連絡がとれなくなったら、
誰だってひどいヤツだと思うよな。
いや本当に、申し訳ない」

会うなり謝られたので、こちらも
「もういいよ、別に」と言うしかなかった。
本当は寂しかったり傷ついたことを、
訴えたかったけれど、うまい言葉が見つからない。

「こんなに夢中で仕事できるのって久しぶりで、
毎日、すごく充実してるんだ。
いや、桜坂酒造にいた頃も充実してたけど、
今が一番かな」
そう言う啓太の横顔は、とてもいい表情だった。

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