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【新連載】苦しかった彼との恋は、今ではまるで夢のよう……

そんな付き合いをしながらも、
1カ月に1度ぐらい大輔の転勤先を訪ねると、
不思議なほど気持ちが落ち着いた。

会っている時は一気に以前のふたりに戻って、
たくさん話をして些細なことで笑い合った。
大輔はわたしのいる営業所の話を聞きたがったし、
わたしも大輔の営業所の人たちのことは、
書類上で名前を見たり、
ごくたまにだけれど電話で話をしたりしているので、
話を聞いても割と自然にやりとりが想像できた。

何より、大輔の住んでいるアパートは
散らかってはいないけれど、
部屋の隅に靴下が片方だけ落ちていたりと、
まったく男性の一人暮らしのような感じで、
女性の影など欠片もなかった。

大輔自身もやさしくて、彼のアパートに行くと、
自分が何をそんなに不安を感じていたのか、
いつも不思議になった。

そして彼もいつも言っていた。
「千帆のいる営業所に帰りたいよ」
「うん、早く帰ってこれるといいね」
そんな会話をしながら、ふたりで眠りにつく。

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