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【新連載】苦しかった彼との恋は、今ではまるで夢のよう……

大輔と別れたのは去年の暮れ。
まだ1年も経たないのに、ずいぶん昔に思える。
交際していた4年間、わたしはなぜあれほど、
大輔のことばかり考えていたんだろう。

彼との出会いは社会人2年目、
本社の庶務課から営業所に転勤した、
4年前の4月だった。まだ23歳の頃だ。

新人歓迎会の宴席へ、
客先から直行してきた大輔も、まだ25歳。
「お待たせしました」と上司に挨拶しながら、
居酒屋の2階に上がってきた彼は、
ハンガーに背広をかけてあぐらをかくと、
ネクタイの結び目に指をかけて2、3度ゆすり、
「これからよろしく」と、わたしに微笑んだ。

やせているのに肩幅の広い大輔の、
その体育会系のさわやかな笑顔に、
わたしは一発でやられてしまった。
以来ずっと心の中で大輔が今何をしているのか、
気づかれないよう気を遣いながら、
その存在を追うようになった。

でも繊細な彼は程なく、
わたしの気持ちに気づいてしまったようだ。

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