お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【新連載】28歳、私の一番きれいな時期はもう終わったのかな……

今の自分の28歳という年齢を、
わたしは決して悪くないと感じている。
でもこうして大学で事務員をして、
日々、女子大生と接していると、
たぶん自分の一番きれいな時期は、
もう過ぎたんだろうなと思ってしまう。

わたしは授業が終わらない桜川教授の留守電に、
安西さんを教授の部屋で待たせておくと吹き込んだ。
「じゃあ、斜め向かいの教授のお部屋で、
待っていてください」

こんな風に、大学の事務室はこまかい用事が多く、
けっこう忙しい。でも前の職場の、
あの売り上げノルマに追われる仕事とは、
天と地ほども違う。
何より周囲の人とライバルではなく、
おたがい助け合って仕事ができるのがいい。

やがて5時半のチャイムが鳴り、業務は終了。
仕事の終わった先輩方は「お先に失礼します」
と、笑顔で家路につく。
わたしは1件だけ教授への確認業務を終えると、
同じように事務室を出た。
その間は15分、差というほどでもない。
初夏の空は雨の日でもまだ明るい。
次のページを読む

SHARE