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【新連載】28歳、私の一番きれいな時期はもう終わったのかな……

「そんなことないよ。たまたま偶然、
運が悪かっただけだよ!」
思いがけず大きな声が出たので、
自分でも驚いた。
「そうだよ。そんなにひょいひょいと、
会社を飛び渡るなんて、できないよ」
斜め向かいに座る、井上くんも言う。

「うん。これから転職する会社だって、
近藤くんみたいに慎重に考えて、
ベストを尽くす人を欲しがると思う」
となりで芽美も近藤くんを応援する。
「そうかな」
「そうだよ。まだいくらだって取り戻せる」

そう言いつつ、わたしは近藤くんを励ますようで、
実は自分に言い聞かせていたのかもしれない。
でもおかげでお腹の底から力が湧いてくる。
彼にも次第に笑顔が戻ってきた。

その後しばらく雑談が続くと、
酔いも手伝って少しずつ席の移動が始まる。
すると後から「よっ、元気そうだな」と、
なつかしい声が聞こえてきた。
振り返ると大学時代に付き合っていた、
遠見亮平がいた。

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