【新連載】20代最後の夜を、ひとりぼっちで迎えるなんて
それから午後、公園をぶらぶら歩き、
ショッピングセンターをひやかしてから、
駿に連れられて創作フレンチのお店に入った。
ワインで乾杯した後、駿は照れながら、
わたしに白い小さな箱をくれた。
「これ、誕生プレゼント」
「わあっ、ありがとう」
なんだ、わかってるんじゃない!
30歳の誕生日に指輪をプレゼントして、
それから……プロポーズだよね。
わたしははやる気持ちを抑えて、小箱を開けた。
中は指輪……じゃなくて、ブローチだった。
スカーフをとめるのによさそうな、
縦一列に黄緑色のペリドットが並んだ、
ピンタイプのブローチだ。
それは男の人のプレゼントにしては上出来、
というか、かなりステキなアクセサリーで、
普通だったら大喜びで
「ありがとう」と言うべきプレゼントだったろう。
でもわたしの口からは、正直な気持ちが出た
「指輪じゃないんだ……」
駿も、さすがにこの発言にはキレたようだ。
「いい加減にしろよ!」