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内省とは? 反省との違い&内省的な人になる方法を解説

高見綾(心理カウンセラー)

内省とは、自分の考えや行動を深く省みるという意味。習慣づけることで自己分析ができる他、ビジネスの現場でも活用できます。今回は、心理カウンセラーの高見綾さんが内省の具体的な方法や得られる効果を詳しく解説します。

自分の考えや行動を深く省みる「内省」は、自己分析や人材育成の現場などで活用できる概念です。

この言葉を聞いたことはあっても、いまいち意味が分からないという人が多いかもしれません。

そこで今回は、内省の意味や効果などについて詳しく解説します。具体的なやり方を個人と集団とに分けて紹介しますので、こちらも参考にしてみてください。

内省とは? 意味と効果

内省とは、自分の考えや行動を深く省みることを言います。自分自身と向き合い、今までの言動や経験などを客観的に振り返ることで、さまざまな気づきが得られます。

例えば、日記をつけて1日の行動やそれに対する自分の考えをまとめるのも内省の1つ。

また、ビジネスシーンにおいては、業務が円滑に進んでいるもの、進んでいないものをそれぞれ見つめ直すことで、さらなる改善につなげられます。

内省には、自分自身への理解を深めたり、ビジネスで自主性や主体性を育てたりできるといった効果が期待できます。

「内観」「反省」との違い

内省は、「内観」や「反省」という言葉で言い換えられることがあります。

「内観」は内省とほぼ同義ですが、自分の精神面を観察することがメインになります。元々は仏教用語で、内省よりも心の深い部分にアクセスするものです。

「反省」は自分の悪い面に注目し、誤りを正すという意味で使われます。

内省は、良い面と悪い面の両方から気づきを得ることが目的。反省のように、間違いを正すことだけが目的ではないため、この点が違いだと言えるでしょう。

「内省」の類語・言い換え表現

他にも、内省は「省察(せいさつ)」などの言葉で言い換えられる場合も。この言葉も内省とほぼ同じ意味で、自分自身を省みてその良し悪しを考えることを指します。

さらに、内省を表す英語「リフレクション(reflection)」が使われる場合もあります。

内省的でいるメリット3つ

「内省的」とは、常に自分自身の心の内側を省みることができるという意味。内省的でいるメリットには以下のようなものが挙げられます。

(1)自分自身について深く理解できる

内省は自分自身を見つめ直すきっかけになるので、内省的でいると深い自己分析ができるようになります。

さまざまな角度から物事を考えられるようになることで、本質を見抜く目やスキルが鍛えられます。

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(2)共感力がアップする

自分を深く知ることを通じて、他者理解が進みます。「なぜ相手はこんな言動をするのか」「相手はどう思っているのか」などが分かるようになり、共感力がアップします。

結果的に、人間関係が良好になることがあるでしょう。

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共感力が高い人の特徴を詳しく解説しています。

(3)仕事で重宝される人材になる

ビジネスシーンにおいて内省的であると、主体的に仕事へ取り組むことができるようになります。

試行錯誤しながら日々の仕事に取り組む姿勢は高く評価されやすく、会社において重宝されるでしょう。

内省の具体的なやり方【個人で行う場合】

ここからは、内省の具体的な方法を見ていきましょう。

(1)日々の感情が動いた出来事を書く

内省を個人で行う場合は、書くこと(言語化)が大切になります。紙に書いても、PCなどに打ち込んでも構いません。日々の中で、感情が動いた出来事を中心に書いていきましょう。

慣れないうちは、頭の中に思い浮かんだことを全て言語化していくようにします。自分しか見ないので、「こんなこと書いても良いのかな?」という心配は無用です。

(2)深堀りする

「なぜそう感じたのか?」「同じ気持ちになったことは過去にあったか?」など、感情が動いた出来事について深堀りするための問い掛けをしていきます。

なぜうれしかったのか、なぜモヤモヤしたのかを追求していくことで、自分の考え方の癖や価値観に気づけるはずです。

(3)気づきを今後に生かす

気づきが得られ、スッキリして終わることもあります。ですが、その気づきを今後に生かす視点を持ってみるとさらなる改善へとつながります。

「それで、どうしようか?」と、行動レベルにまで落とし込みたいものです。

内省の具体的なやり方【集団で行う場合】

個人で内省していると、どうしても視野が狭くなり考え方が偏ってしまいがち。内省は、集団で行うことでさまざまな視点を得ることができ、自分だけでは思いつかないアイデアをひらめくこともあるはずです。

では、集団で内省を行うにはどうしたら良いのでしょうか?

(1)目的やテーマを設定して話す

集団で内省を行う場合は、書くよりも話す方が効果的です。その際は、まず目的やテーマを設定するところから始めましょう。

テーマに沿ってメンバーそれぞれの経験を持ち寄り、1人ずつ思ったことや気づいたことなどを自由に話していきます。

その際、メンバーが話している時は最後まできちんと聞くこと、否定的なコメントはしないことがポイントです。内省は、自らを観察して気づきを深めていくことが大切だからです。

また、自分の意見が出てこなかったとしても、他のメンバーの話を聞くと「そういう見方もあるのか」と参考になりますし、刺激されて「そういえば、自分もこんなこと考えていたな」と思い出すこともあるでしょう。

(2)質の良い問い掛けをする

メンバーの話を聞いたら、深堀りをしていくために質問をしましょう。「なぜこの人はこういう考え、行動をしたのだろう?」とメンバーの話に興味を持つと、質問が思いつきやすくなります。

深堀りするために質の良い問い掛けをすることで、さらなる気づきが生まれるようになります。

(3)内省をした感想をシェアする

一通り内省を行ったら、やってみた感想や気づき、今後に生かせることなどをシェアする時間を設けましょう。

感情をもう一度言語化することで自分の中に定着しますし、メンバーの新たな気づきにもなります。ビジネスシーンでは、上司や先輩からアドバイスをもらっても良いですね。

改善点をまとめておくことができると、今後の役に立ちます。集団での内省は、1回ではなく、何回も積み重ねていくことでお互いの理解が深まり、改善の方向性が見えてきます。根気強く取り組むことが大切です。

内省的でいるために習慣づけたい3つの思考

続いて、常に内省的な人間でいるために普段からどんな考え方をするべきかを紹介します。

(1)事実と感情を分けて考える

抽象的な内省にしないためにも、どんな出来事が起こったのかという事実と、それに対してどう感じたのか、どう考えたのかという感情を分けて捉える視点が大切です。

できるだけ具体的なエピソードを元に振り返りましょう。

(2)ありのままを受け止める

深堀りをしていくと、嫌な自分に出会うこともあると思います。そんな時は「私はダメだ」とジャッジせずに、「そういう面もあるんだな」とありのままに受け止めましょう。

(3)組織の使命と自分の価値観をすり合わせる

ビジネスシーンにおいて、両者は必ずしも一致しません。ですが、一部だけでもリンクさせておくと、自分の中で進むべき方向が明確になります。

組織の使命と自分の価値観をすり合わせることで、仕事をする意味も納得感のあるものになるでしょう。

内省できない人の特徴

では、内省が苦手・できない人にはどんな特徴があるのでしょうか。考えられる特徴を3つ紹介します。

(1)過去の失敗を気にしない人

「何とかなるでしょ」と気楽に進むタイプの人は一見するとポジティブに思えるのですが、過去の失敗を振り返らないため、学びの機会を失ってしまうことがあります。

楽観的な性格であることで、同じ間違いを繰り返してしまう場合があるのです。

(2)「自分はかわいそう」と思いがちな人

うまくいかない時に他人を責めたり、「自分はかわいそうだ」とあわれんだりするだけで終わってしまうと事態が改善していきません。

心のどこかで、「自分を変えたくない」「このままが良い」と思っている人は内省ができないのです。

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「自分がかわいそう」と感じる心理と克服法を解説しています。

(3)自分を正当化する人

自分の弱いところや間違っている部分を認められない人は、「自分は悪くない!」という考えにこだわりすぎる傾向にあります。

客観的に物事を捉えられなくなり、結果として内省するチャンスを失ってしまうでしょう。

どんな人が内省すべき?

では、どんな人が内省を行うべきなのでしょうか? 自分が以下の傾向に当てはまると感じた場合、内省する努力を行った方が良いかもしれません。

(1)自分らしさが分からない人

自分の価値観は何か、何に幸せを感じるのかが分からない人は、内省をすることで自分を知るきっかけになるかもしれません。

自分らしさが分からなくて悩んでいる人は、内省を行ってみましょう。

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自分らしさがわからない人に向けて、専門家が解決策を解説しています。

(2)人の気持ちに共感できない人

人間関係でつまずいている人や、周りの気持ちに共感できない人は、内省を行ってみるのがおすすめ。

内省することで自己理解が進み、それによって想像力と受容力が養われるでしょう。

(3)物事がうまくいっていない人

成果が出ずに迷走してしまう時期は誰にでもあります。

そんなふうにうまくいっていない時は、内省をして今までの自分を振り返るのには良い時期です。きっとさまざまな気づきが得られるでしょう。

内省は繰り返し行うことが大切

自分を深堀りする内省は、正解がないために難しい概念です。1回取り組んだだけでは、「これで良いのかな?」と疑問に思ってしまうこともあると思います。

とはいえ、内省は繰り返し行うことで、自分を深く理解でき、他者理解にもつながるメリットがあります。

ビジネスシーンにおいても主体的に取り組める人材を育成できるようになります。ぜひ内省に根気良く取り組んでいきたいですね。

(高見綾)

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