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目が疲れる原因と目の疲れを取る方法

後藤英樹

「目がショボショボする」「視界がかすむ」……など。あなたは目の疲れについて悩んでいませんか? 酷使してしまった目は毎日きちんとケアしてあげたいものですが「方法がわからない」という人もいるでしょう。そこで今回は、目が疲れる原因と目の疲れを取る方法について、眼科医・後藤英樹先生の解説を元に紹介します。

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目が疲れる原因

目の疲れを取る方法について紹介する前に、まず目が疲れる原因について探っていきましょう。後藤先生によると、目が疲れる原因には大きく分けて4つあると言います。

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(1)目のピント調節機能の低下、老眼

目は、近くを見る時にはレンズを厚くしてピントを合わせようと、目の周りの筋肉のひとつ「毛様体筋(もうようたいきん)」が緊張します。この状態が長く続くと、毛様体筋のコリが生じ、ピント調節力が低下、かすんで見えるなどの症状が出やすくなります。この状態は老眼前の年齢でも目の疲労から生じます。

老化によるピント調節機能の低下、いわゆる「老眼」も目が疲れる原因のひとつです。老眼は一般的に、45歳くらいからはじまり、ほぼすべての人がなる症状です。私たちは、目の中にある「水晶体」というレンズの厚さを調節してピントを合わせることで、遠くのものや近くのものを見ています。ところが歳をとってくると、この水晶体が弾力性を失って硬くなり、ピントの調節がしづらくなります。そして近くの細かいものや文字がかすんで見えたりします。

ピント調節機能は30歳過ぎから低下し始めます。40歳を超えて「目を酷使していないのに目が疲れる」「近いところが見にくくなった」と感じたら、老眼を疑いましょう。近くのものがかすんで見えにくくなっているのに、老眼鏡で矯正せずにいると、ピントを合わせるために目の筋肉に負担がかかってしまいます。自分の視力に合った老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズを使うことで目の負担を軽くすれば、症状を改善することができます。

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(2)近視、遠視、乱視、不同視

目のピントがうまく合わない「近視」「遠視」「乱視」はまとめて「屈折異常」と言います。屈折異常の中には、左右の視力が大きくちがう「不同視(ふどうし)」という症例もあります。

屈折異常は矯正せずに放っておいたり、度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使い続けていると、目がピントを合わせようとして無理をするため、目が疲れる原因となります。

(3)ドライアイ

眼球の表面(角膜や結膜)が乾燥する病気です。パソコン(近年ではスマホなども)使用など、目を酷使する人やコンタクトレンズを使っている人がなりやすく、しばしば眼精疲労を伴います。

(4)目や全体の病気にも要注意

メガネやコンタクトレンズの調整をしたり、自分に合った老眼鏡を使っていても、目の疲れが解消しない場合もあります。そんな時は、「たかが目疲れ」とあなどってはいけません。結膜炎など目の病気を発症している場合は目が疲れやすくなるからです。

また、高血圧や糖尿病など、全身の病気でも目疲れが起こることがあります。物の見え方や目の不快感によっては、失明につながりかねない重篤な病気が潜んでいる場合もあります。「なにをしても目の疲れが取れない」というときは、迷わず病院を受診しましょう。

目の疲れを取る方法

目が疲れると、肩や首にも「こり」として症状が出てしまいがち……だからこそ早めに対処したいですよね。続いて、目の疲れを取る方法について紹介します。後藤先生に教えてもらいました。

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温アイマスク

花王と鶴見大学が共同で行った「VDT作業(※)が目に与える影響と蒸しタオルによる疲労回復」という研究結果から、以下のことがわかっています。

※VDT作業とは、Visual Display Terminalの略。パソコンなどOA機器を使用すること。

(1)VDT作業を行った後は、夕方になって目のピント調節力が低下する「夕方老眼」、週末に向けて目疲れが蓄積し、目のピント調節力が低下する「週末老眼」が起こりやすくなる。

(2)約40℃の蒸しタオルで目を10分間温めることで、目のピント調節力が改善する。

そのため仕事から帰宅した後は、蒸しタオルやホットアイマスクで目元を温め、目疲れを毎日こまめにリセットしましょう。同様に目元を温めることで、ドライアイの症状が改善することも研究の結果わかっています。

目が疲れたとき、清涼感の強い目薬をさしたり、冷却アイマスクを使うと「スッキリして気持ちいい」と感じる人もいるでしょう。しかし、さきほどの研究結果で明らかになったように、冷やすことで目疲れを解消することはできません。むしろ「冷やす」行為は逆効果(※1)となるので注意しましょう。

(※1)後藤英樹(2012)『目の疲れがとれる! Dr.後藤のかんたん「温めストレッチ」』かんき出版

ストレッチ

目が疲れると首や肩に疲れが生じるように、首や肩の凝りを解消すれば「疲れ目」も解消できます。そこで筋肉の緊張をほぐして、目の疲れを解消するストレッチ方法を紹介します。

首のストレッチ

首を前後左右に曲げ、コリコリになった筋肉をストレッチします。ゆっくり、じんわり、3~5回ほど伸ばしたら、次に首を回しましょう。右まわり、左まわりを交互に3~5回ほど行います。

肩のストレッチ

肩まわしは、腕の付け根に両手を軽く乗せ、肘で大きく輪を描くように回します。回し方は両肩同時に行ってもいいですし、片方ずつクロールするように行っても◎。やりやすいやり方で実践しましょう。

肩甲骨のストレッチ

両手を背中で組んで、胸を張り、肩甲骨を寄せるように斜め下に伸ばしていきます。

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このとき顎をそらし、この姿勢を5秒程キープします。これを3~5回ほど行いましょう。猫背の解消にもつながります。

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目のストレッチ

目を酷使した後は、意識的に「まばたき」をすることも大切です。まぶたにギュッと力を入れ、パッと力を抜く「ギューッパッストレッチ」は、涙腺が刺激され目に潤いを与える効果があるとともに、目の周りの筋肉のストレッチにもなります。

<ギューッパッストレッチの方法>
(1)目をギューッと閉じる
(2)目を大きく見開く
(3)(1)~(2)を数回繰り返す

ツボ

目頭のくぼみには「睛明(せいめい)」、こめかみには「太陽」と呼ばれるツボがあります。これ以外にも、眉がしらのくぼみは「攅竹(さんちく)」、目じりの横には「瞳子髎(どうしりょう)」といった、疲れに効くツボがいくつもあります。

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目の周辺だけでなく、首の後ろにある「天柱(てんちゅう)」「風池(ふうち)」「完骨(かんこつ)」なども目の疲れの解消に効果があると言われています。目を閉じて、これらのツボを5~6回押しましょう。これだけで、だいぶ疲れが取れるのを実感できるはずです。

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食べもの

目にいいと言われる栄養素として、ビタミンB6やB12、ルテイン、タウリン、DHAとEPAがあります。これらの栄養を含む食材を、毎日の食事に取り入れるのも疲れ目解消にいいでしょう。

ビタミンB6を含む代表的な食べ物……マグロ赤身、鶏胸肉、牛レバー、カツオ
ビタミンB12を含む代表的な食べ物……しじみ、あさり、牡蠣、牛レバー、筋子、ホタルイカ
ルテインを含む代表的な食べ物……マリーゴールド、ケール、ホウレンソウ、ブロッコリー
タウリンを含む代表的な食べ物……貝類(カキなど)、イカ、タコ、魚の血合い
DHA、EPAを含む代表的な食べ物……サバ、サンマ、イワシなどの青魚

ただし、上記食材を摂取していれば目の健康が維持されるわけではありません。基本的にはバランスのいい食事と適切な運動を心がけ、身体の健康を維持することが、目の健康を維持することにつながります。そのことを念頭に、規則正しい生活をしましょう。

目薬

疲れ目対策には「目薬」も有用です。薬局で選んだり使用する際の注意点について紹介します。

目的をしっかり記載している商品を選ぶ

目のピント調節による疲れには、「ピントフリーズ対策」をうたっている商品を、目の乾きによる疲れには「ドライアイ対策」をうたっている商品を選びましょう。さしたときにスッキリとするだけの目薬には、疲れ目解消効果はあまり期待できないので注意しましょう。

成分をしっかりチェック

目疲れ解消用の目薬を選ぶ際は、「シアノコバラミン」、「メチル硫酸ネオスチグミン」が多く含まれるものを選びましょう。

ドライアイ対策には、眼球の表面に潤いを与えて角膜や結膜を保湿する「ヒアルロン酸」と「コンドロイチン硫酸ナトリウム」が入ったものを選びましょう。

また、防腐剤が入っていると目の細胞を傷つける可能性もあるため、防腐剤が入っていないタイプの目薬が望ましいです。

目薬のさしすぎは症状を悪化させる

眼科で処方される目薬の用法は、一般的に「1日4回」となっています。目疲れやドライアイは夕方からきつくなるため、朝・昼・夕方・夜の4回ではなく、目が疲れてくる午後~寝るまでの間で4回差すようにしましょう。間隔としては2時間ずつあけるといいでしょう。仕事中なら、目が楽な午前中にはあえてさす必要がなく、午後は1時間おきにさすのがいいかもしれません。

市販されている目薬の成分は薄いですが、「使用上の注意」をよく読んで、用法や用量をきちんと守りましょう。

目を疲れさせないコツ

目の疲れを取る方法いかがでしたか? ここまで読んで「そもそも目が疲れないようにしたい!」と思った人もいるはず。そこでここからは、目を疲れさせないコツについて紹介します。

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オフィスで

パソコンの光と色を調整

パソコンのモニター画面の明度(輝度)とコントラスト彩度(色見)を最大値の1/2~1/3程度に調整すると目にやさしくなります。ブルーライトグラスやブルーライトカットフィルターを使用するのもおすすめです。

部屋の照明は、モニター画面よりも少しだけ明るいのがベストです。視線を外したときに明暗の差が大きいと、目への負担が大きくなります。机の上に明るさが足りない時は、デスクスタンドを置いて補正し、手元全体を照らすようにします。画面のちらつきや汚れも目に悪影響を与えます。こまめに拭き掃除をしましょう。

姿勢にも注意

周りの環境をととのえたら、自分の姿勢に気を配る番です。まず椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばして軽く背もたれに当てます。モニターは目線よりも低い位置にし、モニターとの角度をやや見下ろすような10度から20度くらいの角度にします。こうすることで涙の蒸発を最大30%程度にできるといわれています。

画面と目の距離は50cm以上離れている必要があります。仕事をしているうちに前かがみになり、画面をのぞき込むような姿勢になりがちなので注意してください。

まばたきを忘れずに

仕事に集中するとまばたきが減り、目が乾燥します。そこで意識的にまばたきを増やし、30分に一度は目を閉じるようにしましょう。1時間たったら、必ずモニターから目を離し、遠くを見るようにすると、毛様体筋と外眼筋(がいがんきん)のこりをほぐす効果があります。また、3時間に一度は首、肩、腕を動かすようにしましょう。

欧米には、20分ごとに20秒間、20フィート(6メートル)先を見ることで、目を疲れさせない、「20-20-20の法則」というものがあるそうです。ぜひ取り入れてみてください。

家庭で

照明の明るさや部屋の乾燥に気をつける

なるべく窓から自然光を採り入れて部屋全体を明るくすることで、目の負担を軽減できます。また、光の反射を抑えて目への刺激を減らすことも大切です。壁紙やカーペット、カーテンなど家具の色調は、「クリーム色」など中間色にするといいでしょう。

光を発するものを見る時間を減らす

単純に光源(光を発するもと)を見る時間を減らすのも効果的です。日中は照明を使わない、夜間帯は「間接照明」を使うようにするなど、工夫しましょう。なんとなく長時間テレビを見ている、という人は、テレビを見る時間を思いきって減らしましょう。テレビを見るときは、部屋の明るさを十分確保し、3メートル以上離れて見るようにしましょう。

就寝1時間前になったらPCやスマホ画面を見ない

PCやスマートフォンを見続けると、ブルーライトによって目が疲れるだけでなく、良質な睡眠を妨げる原因となります。そのため、寝る1時間前には、PCやスマートフォンの使用を控えましょう。

たまにはPCやスマホから離れた生活をしてみる

目の疲れを解消するには、遠くを見る機会を増やすことも重要です。ときにはIT機器から離れ、温泉でリラックスしたり、キャンプやハイキングなど自然の中に身を置きましょう。

また、外出時は目を守る帽子やサングラスを使用しましょう。紫外線は目の表面や角膜、結膜にダメージを与え、白内障の原因にもなるからです。

まとめ

目が疲れる原因と目の疲れを取る方法について紹介してきました。いかがでしたか? 目が疲れてたまらない、という人は、度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使い続けていないか、今一度確認してみましょう。また、温アイマスクやストレッチ、ツボ押しを試したのに、「目の疲れがなかなか解消されない」という人は病気の可能性もあります。「なにをしても目の疲れが取れない」というときは、迷わず病院を受診しましょう。

(文:後藤英樹、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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