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主な症状って? 月経前症候群のチェックポイントと改善法

尾西芳子(産婦人科専門医)

あなたは「月経前症候群」という言葉を知っていますか? 生理が近くなると体調不良になったり、精神状態が不安定になったり……。思うように体が動かない、という女性も少なくないはず。もしかすると、それは月経前症候群が原因かも? そこで今回は「月経前症候群の症状と対処法」について、産婦人科医の尾西芳子先生に聞きました。

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月経前症候群(PMS)とは? 一般的な症状例

「月経前症候群」ってよく耳にするけれど、具体的にはなんのこと? まずは「月経前症候群とは何か」について、解説を見ていきましょう。

月経前症候群は、医学的には月経開始3~10日前から始まる身体的、精神的な不快症状だとされています。これはPMS(プレ・メンストラル・シンドローム)とも言われ、症状は多岐にわたり、人によってもさまざまです。主な症状例は以下の通り。あなたも、生理前にこれらの不快症状を感じたことはありませんか?

身体的症状例

・のぼせ
・下腹痛
・お腹の張り
・腰痛
・頭痛
・乳房痛
・むくみ
・肌あれ
・眠気や不眠
・だるさや疲れ
・貧血

精神的症状例

・イライラ
・落ち着かない
・怒りっぽくなる
・憂うつ
・ぼーっとする
・集中力がない

これ以外にも症状の種類は全部で200種類以上あると言われており、月経開始とともに減退ないし消失するものとされています。期間で言えば、生理開始後4日目以内に改善されることがほとんど。はっきりとしたメカニズムは明らかになっていませんが、ホルモンバランスの変化が影響しているのではと考えられています。

月経前症候群かどうかチェックするには

多岐にわたる月経前症候群の症状。だからこそ、その不調は月経前症候群が原因なのか、はたまたほかの病気が隠れているのか、わからなくなることもありますよね。ここでは、月経前症候群かどうかをチェックする方法について見ていきましょう。

月経前症候群を判断するチェックポイント

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月経前症候群による体調不良なのかを判断するには「生理がはじまってから4日以内に症状がなくなるか」をチェックしてみましょう。4日以内におさまるようであれば、月経前症候群が原因であると考えられます。

また、症状が毎月同じような時期に出るかどうかも大事な判断ポイント。生理前に現れる症状がわかっていれば、不必要に不安になることがなくなります。事前に対処もしやすくなるでしょう。

月経前症候群と症状が似ている病気

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月経前症候群と症状が似ている病気もいくつかあります。どれも「生理が来たら改善されるかどうか」が重要な見極めポイント。生理が来ても症状の改善が見られないようであれば、専門医への相談をおすすめします。

(1)うつ病、抑うつ状態

やる気が出ない、倦怠感、何をしても楽しくないなどの症状が共通しています。ただし死にたいというほど強い抑うつ感情がある場合はうつ病の可能性が高いので受診しましょう。生理が来ればすっと気持ちが晴れるのが月経前症候群の特徴です。

(2)片頭痛

ズキンズキンという頭痛が起きるという点では共通していますが、こちらも生理が来れば解消されるのが月経前症候群です。

(3)甲状腺疾患

むくみや倦怠感が出たりする点が共通していますが、上記と同様に月経前症候群では生理が来ればこれらの症状はなくなります。また甲状腺疾患の場合は脱毛や動悸が起きることがあります。

月経前症候群と妊娠初期症状の違いって?

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月経前症候群と妊娠初期症状にも、いくつか似ている点があります。頭がぼーっとしたり、一日中眠かったり、という症状が2つに共通するポイント。また、基礎体温をつけているとわかるのですが、どちらも体温が高めの「高温期」が続きます。妊娠をしていない場合は、高温期がおよそ14日間続いたところで生理がはじまります。したがって、高温期がそれ以上続き、生理が来ないケースでは妊娠の可能性が高いと言えるでしょう。

月経前症候群の対処法

体調が優れなかったり、イライラしたり……。日々の生活を快適に過ごすためにも、改善の努力をしていきたい「月経前症候群」。では、自身でどんな対処をしていけばいいの? 最後にセルフケアや病院での治療について、解説をしてもらいました。

月経前症候群が悪化する原因

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不規則な生活、嗜好品(コーヒー、アルコール、タバコ)が悪化要因と言われていますが、メカニズムは明らかではありません。ただし、これらを改善した結果、PMSの症状が落ち着いたという人の例が多く報告されています。

また、急な環境の変化や仕事の重責など、過度なストレスが悪化の原因になるとも言われています。日々の生活の中で多くのストレスを感じている人は、それをうまく発散したり、ためないための努力をしたりすることが大切です。

セルフケアによる改善方法

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まずは上記で紹介した、不規則な生活の改善や嗜好品を控えた生活習慣を心がけてみましょう。

これに加え、症状を感じたとき「今が月経前症候群に該当する時期だ」ということを認識することも大切。症状が出たら、一度その時期をメモしてみて。月経前症候群のせいで症状が出ているとわかれば「体調不良になったら常備薬を飲む」「周囲に当たりそうになっても気をつける」など事前の対処ができるはずですよ。

病院で行われる治療とは?

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改善の基本は、規則正しい生活と嗜好品を控えるといった自身の心がけ。ですが、それでも症状がおさまらない場合は、病院で漢方薬やピル、抗不安薬などを処方してもらうことができます。症状がひどい場合はひとりで悩まず、一度医療機関に相談してみるのもいいでしょう。

まとめ

身体の不調だけでなく、精神状態が不安定になることもある月経前症候群。これらの症状がひどいと、仕事にもプライベートにも支障をきたしてしまいますよね。月経前症候群の対処には「生活習慣の改善」がカギとなるということ。生理前の不快な症状に悩まされている場合には、一度自身の生活を見直してみるといいかもしれませんね。

(文:尾西芳子、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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