【漢方ビギナーQ&A】漢方薬は苦いって本当? 苦手な人でも飲める飲み方のコツ
“漢方薬には苦いイメージがある”という女性はきっと多いはず。でも、本当に苦いの? また、なぜそんなイメージが広まってしまったの? 連載第2回の今回は、八丁堀石川クリニック院長で漢方専門医の古屋京子先生に、その真相をインタビュー。漢方薬が苦手な女性必見の、飲みやすくなるコツとは!?
「漢方薬は苦い」って本当なの?
苦いというイメージが独り歩きしてしまったのか、はたまた本当に苦いのか? 漢方薬の「味」について、先生の見解を聞きました。
「漢方薬は苦い」の真相は?
苦いものが多いのは事実ですが、苦くないものもあります。虚弱な子供に処方されることが多い「小健中湯」(ショウケンチュウトウ)という体質改善の薬には“膠飴”(コウイ)という生薬が入っています。“飴”という漢字が入っている通り、子供には甘くて飲みやすいお薬です。 なかには“甘すぎで飲めない”という大人がいるほど。また、イライラや夜泣き、ひきつけに効果がある「甘麦大棗湯」(カンバクタイソウトウ)も甘い漢方薬です。このほか、漢方薬には酸っぱいものやピリッと辛いものもあります。
ではなぜ「漢方薬は苦い」というイメージが広まってしまったのでしょうか? その背景には、“良薬は口に苦し”という言葉と、漢方薬の定番でもある胃腸に効く生薬に、苦み成分が多いというのが影響しているように思います。生薬の吸収をよくするためには、まず胃腸を先に整えるという意味でも、胃腸薬が処方されることが多く、「苦い」というイメージが定着してしまったのかもしれません。
ただその人に合った漢方薬だと苦くても飲みやすく感じるのが、漢方薬の不思議なところ。もし苦すぎて飲めないというのであれば、体の状態に合わない漢方薬が処方されている可能性があります。
漢方薬はどんな味?
一般的に漢方薬の味は、五味あると言われています。甘み、酸味、苦み、辛味、かん味(塩辛い)の5つです。生薬ひとつひとつに独特の香りと味があり、それが複数配合されているのが漢方薬。つまり、苦いだけではないのです!
コンデンスミルクにチョコ!? 漢方薬を飲みやすくする方法
「どうしても味が苦手……」「顆粒だと飲みにくい」などのお悩み。そんな初心者に向けた飲み方ってあるの? ここでは、飲みやすくする方法について探ってみます。
そもそも漢方薬に錠剤はあるの?
もともと漢方薬は水の中に刻んだ生薬を入れて、煮詰めてから茶こしでこして飲むという湯液療法が主流でした。エキス剤と呼ばれる顆粒になったのはここ数十年のことです。
現在、保険適用されている漢方薬には、顆粒、丸剤、錠剤、カプセルがあります。とはいえ、ほとんどが顆粒。もし顆粒が苦手な方は、錠剤がないか医師に相談してみるのもよいでしょう。市販ではゼリー状の漢方薬も販売されています。
顆粒の漢方薬を飲みやすくするには
漢方薬の多くは、インスタントコーヒーのように、顆粒をお湯に溶かして飲みます。ですが、その味を苦手に感じる人もいるでしょう。とはいえ、苦いからと言ってジュースやお茶、コーヒーなどで飲むのはおすすめできません。生薬の吸収が悪くなるので、なるべく避けましょう。
オブラートで包むという方法もありますが、漢方薬は香りも効果のひとつなので、できれば包まないほうが望ましいです。もし包む場合は、包んだあとに1回オブラートを水に軽く浸すと、口の中にくっつかず飲みやすくなります。
市販されているゼリーに包んで飲むのもおすすめです。レモン味などの味付きなので、飲みやすいでしょう。またどうしても飲めないという方には、漢方薬を水で練ってコンデンスミルクやチョコレートソースなどと一緒に服用する方法もあります。ただ、あくまで薬を処方した医師の指示に従ってくださいね。
漢方薬は苦いだけじゃない! 飲みやすくなる方法もバラエティー豊か
苦いものとばかり思っていた漢方薬に、五味があるとは驚きですね。しかも甘い漢方薬まであるとは! 薬の種類も顆粒や細粒が主流なものの、錠剤やカプセルなどもあるので、顆粒や細粒が苦手な方は医師に相談してみるのもありですね。また顆粒や細粒の漢方薬が飲みやすくなる方法もバラエティー豊か。これで、漢方薬が身近になったはず! ぜひトライする際の参考にしてみてくださいね。
(取材協力:古屋京子、文:伊藤康江)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)
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