これってニキビ? デリケートゾーンにできるニキビの原因&治し方
デリケートゾーンにできるニキビのようなできもの。ケアが難しい部分なだけに、できてしまったら不快な気分になりますよね。そもそも、これってニキビ? また、治し方はあるの? デリケートゾーンにできる「ニキビのようなできもの」にまつわる疑問について、産婦人科医の今井愛先生に答えてもらいました!
<目次>
ニキビなの? デリケートゾーンにできものができる原因とは
デリケートゾーンに、なぜできものができるのか? その原因と正体について、今井先生に聞きました。
デリケートゾーンのできものはニキビなの?
ニキビというと、顔にできるニキビを想像される方がほとんどでしょう。結論を言うと、デリケートゾーンのできものは「ニキビ」ではありません。アクネ菌が原因のニキビとは違い、デリケートゾーンにできる“ニキビもどき”は別の菌が原因。いくつか種類があるので見ていきましょう。
毛嚢炎(もうのうえん)
黄色ブドウ球菌や緑膿菌に感染することで起こります。これらの細菌は常に皮膚に存在する常在菌ですが、免疫力が低下したときなど、細菌が毛包部分(毛穴の奥の毛根を包んでいる箇所)に入り込んで発症します。かゆみは伴わないのですが、赤いブツブツが現れ、ひどいと膿がたまることもあります。
性器(外陰)ヘルペス
性交渉によって感染する性感染症。単純ヒトヘルペスウイルスⅡ型が原因で、一度感染するとウイルスが体内に潜伏し、免疫力が落ちたときなどに再発することも多いです。水疱ができ、かゆみと痛みを伴います。水疱が潰瘍になることも。
尖圭(せんけい)コンジローマ
HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染して起きる性感染症。感染した部位にイボができ、痛みはないものの放っておくとどんどん増加します。再発もしやすいのが特徴です。
バルトリン嚢腫
大腸菌やブドウ球菌などに感染し、炎症を起こします。性交渉や出産など、なんらかの刺激によって腟口の側面にあるバルトリン腺が傷つけられ、分泌液がたまって嚢腫となり、腫れ上がります。ただれて、痛みも生じます。ひどくなるとピンポン玉くらいの大きさになることも。
なぜデリケートゾーンにできるの?
できものの多くは、ナプキンによる刺激やムレ、下着やストッキングなどの締めつけ、おりものや尿、汗などの汚れなど、デリケートゾーンの不衛生で高温多湿な環境が原因となり発症します。アンダーヘアの処理で、皮膚がダメージを受けたときも注意が必要。また、ストレスや生活習慣の乱れにより、ホルモンバランスが崩れることも原因のひとつ。免疫力が低下し、感染しやすくなります。
デリケートゾーンにできる“ニキビもどき”の治し方
気がついたらできていた“ニキビもどき”。一刻も早く正しい治し方を知りたいところですよね。最後に「ニキビもどきの治し方」について、今井先生の解説を見ていきましょう。
できものを潰すのはアリ?
絶対に潰さないこと。潰してしまうと、そこから細菌やウイルスが入り、さらに炎症を引き起こす危険がありますよ。
デリケートゾーンのできものの正しい治し方
抗生物質やステロイド軟膏などの塗り薬を局所に塗って治すのが一般的。薬は病院で処方してもらえるほか、ドラッグストアで買うこともできます。どの薬がいいかわからない場合は自己判断せず、皮膚科か婦人科のどちらかを受診しましょう。
デリケートゾーンのできものを防ぐには?
できものを防ぐための有効な手立てはあるのでしょうか? 今井先生がおすすめするケア方法を教えてもらいました。
デリケートゾーンのケア方法は?
デリケートゾーンを清潔に保つことが大前提。できるだけ高温多湿な環境を作らない工夫が必要です。たとえば、ムレないように通気性のいいコットンやシルクの下着を着用するなど。また、月経時はナプキンをこまめに換えたり、布ナプキンを使ってみたりするのもよいでしょう。
できものが気になっても、触るのはNG。刺激を加えないほうがいいので、石けんやボディソープを使ってゴシゴシ洗うのも避けましょう。お湯でやさしく洗うようにすると◎。またトイレで拭くときは“前から後ろ”が鉄則。肛門付近にはたくさんの菌が存在します。腟内に肛門付近の大腸菌などが入り込まないようにするため“前から後ろ”を心がけましょう。
アンダーヘアのお手入れはムレ防止に効果的ですが、処理をする際はクリニックやエステなどで行ってもらうようにしましょう。セルフケアは皮膚を傷つけてしまう可能性があるので避けるのが無難です。
デリケートゾーンのトラブルを遠ざける生活習慣って?
免疫力が落ちていると、菌に対する抵抗力が弱くなってしまいます。一度治ったものが再発するときも、免疫力が落ちているタイミング。睡眠不足やストレスを避け、規則正しい生活を意識しましょう。
性感染症の大半は、コンドームで予防することができます。しっかりパートナーとコミュニケーションを取り、もし病気に感染してしまったときは2人で治療に取り組むことが大切です。また、感染してもかゆみや痛みを伴わず、自覚症状がないケースも多くあります。定期的に検診を受けることで、トラブルを回避することができますよ。
まとめ
デリケートゾーンにできる“ニキビもどき”。治すために重要なのは「デリケートゾーンを清潔に保つこと」だとわかりました。市販薬でセルフケアできる場合もありますが、自己判断に頼りすぎるのはNG。重症化させないためにも、恥ずかしがらずに婦人科や皮膚科を受診しましょう。
(取材協力:今井愛、文:伊藤康江)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください