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痩せたいけど食べたい! 食欲をコントロールして痩せる方法

会田梓

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「痩せたい!」と思えば思うほど、どんどん食欲が出てきて我慢できなくなってしまう……なんていう経験はありませんか? 食欲はどんなメカニズムで働いていて、どうやってコントロールすればいいのでしょうか。また、どうしても食べたくなってしまったときは、どんなものを食べれば太りにくいのでしょうか。内分泌代謝内科医の会田梓先生に教えていただきました。

<目次>

食欲のメカニズムと抑えられなくなる原因

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そもそも食欲を感じる原因は何なのでしょうか。食欲のメカニズムや食欲が抑えられなくなる原因について解説します。

食欲のメカニズム

会田:食欲は以下の5つの変動によって起こり、空腹を感じる「摂食中枢」と満腹を感じる「満腹中枢」によってコントロールされています。

血糖値の変動

食後→食事をして血糖が上がると、満腹中枢が刺激されます。食後しばらく時間が経って血糖が低下すると、今度は摂食中枢が刺激されて空腹を感じます。

遊離脂肪酸濃度の変動

活動する際、最初は糖がエネルギーとして消費されますが、その後、脂肪の分解が優位になります。脂肪が分解されて遊離脂肪酸となり、血液中の遊離脂肪酸濃度が上昇すると、摂食中枢が刺激されて空腹を感じるのです。

視床下部のヒスタミン量の変動

ヒスタミンは咀嚼によって脳内で分泌され、脳内のヒスタミン量が減ると食欲が増し、増えると食欲が抑えられます。また、ヒスタミンは交感神経を介して、脂肪の燃焼を促してくれます。

グレリンやレプチンの増減

胃から分泌されるグレリンは、空腹時に摂食中枢を刺激して食欲を感じさせます。一方、食後に脂肪細胞から分泌されるレプチンは、満腹中枢を刺激して食欲を抑制する働きがあります。

セロトニンの増減

神経伝達物質であるセロトニンは、脳内のさまざまな神経に作用して精神を安定させるほか、満腹感を感じさせ、食欲を抑制する作用も持っています。セロトニンが低下すると、食欲が出てきて甘いものなどが食べたくなります。

食欲が抑えられなくなる原因

会田:食欲が抑えられなくなる原因には、以下の4つが考えられます。

糖質に偏った食事

糖質に偏った食事をすると、一気に血糖値が上昇して、一時的に満腹感や満足感を得ることができます。しかし、血糖値を下げるためにすい臓からインスリンが分泌され、一気に血糖値が下がることで、今度は空腹感が出てきてしまうのです。血糖値の急上昇や急降下が起こると、食欲を抑えられなくなります。

ストレス

ストレスを受けると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールには、血糖上昇作用、脂肪蓄積作用、胃酸分泌促進作用などがあり、さらに食欲抑制効果のあるレプチンの分泌も抑えられてしまいます。

また、ストレスがかかった状態は交感神経が優位に働いて、戦闘モードのような状態になっています。無意識のうちに精神を落ち着かせようとして、甘いものが欲しくなったりします。

睡眠不足

睡眠不足になると、ホルモンバランスが崩れます。交感神経が活性化されてしまうため、副腎からコルチゾールが分泌されて、レプチンも減少します。代わりに食欲を増進させるグレリンが増加するので、過食につながりやすくなってしまうのです。

生理前

女性の生理周期は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロンの働きによって起こります。生理前、女性は妊娠に備えて、脂肪、糖分、水分を溜め込もうとして食欲が増します。また、プロゲステロンには精神を安定させるセロトニンを減少させる作用もあるため、イライラなどのPMS(月経前症候群)が起こりやすくなるのです。

食欲をコントロールする方法

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空腹を感じて食欲が出てくる原因には、ホルモンなどのさまざまな機能が関係していることがわかりました。それでは、うまく食欲をコントロールするにはどうすればいいのでしょうか。会田先生に聞いてみました。

食欲を抑える方法

会田:食欲発生メカニズムの反対の行動をすれば、食欲をコントロールできます。

食べ物を視界に入れない

まずは感覚的な食欲を抑えるために、周りに不必要な食べ物を置かないようにしましょう。スーパーやデパ地下などに行かないようにしたり、グルメ番組やグルメ雑誌を見ないようにするのもおすすめです。

食事のバランスに気をつける

急激な血糖値の上昇を防ぐために、糖質に偏りのない、バランスのとれた食事を摂りましょう。野菜から先に食べると、血糖上昇が緩やかになるためおすすめです。また、1日1食など、食事の回数が極端に減ると過食になりやすく、身体のエネルギー吸収力も高まってしまいます。しっかり分食して、よく噛んで食べましょう。

睡眠をとる

睡眠不足になると、食欲を増進させるホルモンであるグレリンが多く分泌されてしまいます。グレリン分泌を抑えて、食欲を抑制するレプチンの分泌を促すために、しっかり睡眠をとってください。

生理前の食欲を抑える方法

会田:太りやすいからといって無理な食事制限をしたり、ヤケになって暴食しないようにしましょう。具体的には、以下のような対策が効果的です。

食事の回数を増やす

1日の総カロリーは変えずに、食事の回数を増やして、お菓子などの無駄な間食をなくしましょう。食事を1日5~6食に増やし、朝食、朝食後2時間、昼食、昼食後2時間、夕食、(夕食後2時間)などに分割します。

例えば、朝食のときに食べようと思っていたヨーグルトを残しておいて、朝食2時間後に摂取することを分食といいます。分食にはナッツ類、ヨーグルト、チーズ、小魚、野菜、ドライフルーツなどがおすすめです。

食べる順番を変える

食物繊維(野菜)→たんぱく質(肉・魚)→糖質(米・パン)の順に摂取することで、血糖の上昇を緩やかにできます。また、女性ホルモンであるエストロゲンがビタミンB6を消費するため、ビタミンB6が含まれる食品を摂取してください。

<ビタミンB6が含まれる食品>

・鶏肉
・豚肉
・レバー
・大豆
・マグロ
・カツオ
・バナナ

ビタミンB6が不足すると、イライラや倦怠感といった症状が出てしまいます。

ダイエット中でも太りにくい食べ方

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痩せたいと思って頑張っているのに、どうしても食欲が抑えられなくなってしまったときもありますよね。そんなときは、どんなものを食べればいいのでしょうか。ダイエットに効果的な太りにくい食べ方のポイントについてご紹介します。

太りにくい食品

会田:低カロリー、高たんぱく質な食品がおすすめです。野菜には食物繊維やビタミンが多く含まれているので、便通にも効果的です。ただし、根菜類には糖質が多く含まれるため摂りすぎないように注意しましょう。特にささみは低カロリー、高たんぱく質で食べ応えもあるのでおすすめです。豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品は、植物性のたんぱく質を多く含むだけでなく、イソフラボンの作用で肌にもいい効果が期待できます。

食べながら痩せるためのポイント

会田:食べながら痩せるためには、以下のポイントを意識してみてください。

・水分をしっかり摂る
・よく噛む
・低カロリー、高たんぱく質、低脂質、低糖質な食事
・野菜から食べ、糖質は最後に食べる
・食事の回数を増やす
・食物繊維をしっかり摂る
・空腹になる時間を増やさない

甘いものが食べたいときの対処法

会田:注意して食べれば大丈夫です。どうしても甘いものが食べたくなってしまった時は、以下の食べ方を実践してみましょう。

日中に食べる

夜間はエネルギー消費量が少なくなり、食べたものが脂肪になりやすいため、甘いものを食べるなら活動量の多い日中にしましょう。

食事の時に食べる

急激な血糖値の上昇を避けるために、朝食や昼食の最後に食べてください。

ダラダラ食べない

そこにあるからといってダラダラと食べ続けたり、好きなだけ食べるのはやめましょう。食べるものを決めたら、それだけ食べてください。例えばパウンドケーキを食べる場合、1本まるごと買って自分で食べる量を決めるよりも、カットされている商品をひとつだけ買うほうがおすすめです。買い置きはせず、必要な分だけ買うようにしましょう。

100kcal程度に抑える

できれば、100kcal程度のものを選んでください。ゼリー、チョコレート、プリン、ドライフルーツなどがおすすめです。

まとめ

どんなにダイエットを頑張りたいと思っていても、空腹が我慢できなくなってしまうときは誰にでもあります。そんなとき、無理に食べるのを我慢したり、ヤケになって大食いをするのではなく、食べ方を工夫してうまく食欲をコントロールできれば、自然とダイエットも成功するでしょう。

(文:会田梓、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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