【妊娠出産のウソ&ホント】妊婦は足がつりやすいってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
「妊娠前はそんなことはなかったのに、妊娠してから、ふとした瞬間や寝ている最中に急に足がつるようになった」なんて経験をするママは多くいるようです。それって、栄養が赤ちゃんに取られてしまうから? それとも、おなかが大きくなって下半身に負担がいくから? 今回は、そんな妊娠中の足のつりやすさにまつわるウソ&ホントに迫りました! 産婦人科医の尾西芳子先生に解説してもらいましょう。
本日の「ソボクな疑問」
Q.妊婦は足がつりやすいってホント?
<読者の声>
・子どもに与えるぶん、ミネラル不足になりやすいと思うから、つりやすくなりそう。(28歳/建設・土木/技術職)
・おなかが重くなるから支える足に支障がくるのだと思う。(31歳/情報・IT/その他)
・妊娠後期になりやすいと聞いた。(28歳/建設・土木/事務系専門職)
・足がつってもおなかがつかえて足をつかめなくて焦ったことがある。対処法が知りたい。(31歳/自動車関連/秘書・アシスタント職)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「ホント」です!
足がつる=筋けいれん(筋肉が激しく収縮すること)なので、カルシウムやマグネシウムなどの“ミネラル不足”だと思っている方が多いのですが、一番の原因は、おなかが大きくなることで、普段使わない足の筋肉に負担がかかってしまうからです。また圧迫されることにより下半身の血流が悪くなることも影響しています。つまり、基本的には物理的な要因が大きいのです。ですから、おなかが大きくなる中期~後期に、症状が出る人が多いです。
もちろん、妊娠中は体の中のミネラルは不足しがちなので、それによって筋肉にけいれんが起きやすいのも事実です。ただ、妊婦さんはたしかに赤ちゃんにカルシウムを取られますが、そのぶん腸での吸収率はいつもより上がります。ですから、厚生労働省が出している摂取基準も妊娠中プラスになることはありません。とはいえ、そもそも日本人女性はミネラル不足ですので、そういう意味では妊娠中に不足しないようにしっかり意識して摂取しましょう。
妊娠中に足がつってしまった場合の対処法ですが、おなかが大きいと、普段よくやるような足先を手前に引っぱる動作は難しいですよね。そういうときは、立ったまま痛いほうの足をうしろに引き、親指を立ててアキレス腱伸ばしの要領でふくらはぎを伸ばしましょう。
予防という意味では、骨盤ベルトや腹帯をつけることをオススメします。ちゃんと巻くと、おなかの重みが分散されるため、足への負担が軽減されます。また、寝ている間に足がつる人は多いので、寝る前にふくらはぎを伸ばすようなストレッチをするだけでも、けっこう効果がありますよ。
それでも足がつってしまう場合は、「芍薬甘草湯」という漢方薬に頼るのも一案です。生理痛で処方されるものと同じで、筋肉の収縮を和らげ、リラックスさせる効果を持っているのですが、漢方薬にはめずらしく即効性が期待できます。もし興味がある方は医師に相談してみましょう。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
尾西先生の連載「妊娠出産のウソ&ホント」は、本日が最終回! 1年間、ご愛読いただきまして、ありがとうございました!
☆尾西先生が解答! 妊娠出産のウソ&ホント
※一部画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)
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