【妊娠出産のウソ&ホント】高齢出産は双子ができる確率が高くなるってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
「近親者に双子がいると双子が生まれやすくなる」「不妊治療をしていると多胎妊娠しやすい」とはよく聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。また、単に「高齢だから」という理由でも双子を妊娠しやすくなるものなのでしょうか? そこで今回は、そんな双子にまつわるウソ&ホントに迫りました!
本日の「ソボクな疑問」
Q.高齢出産は双子ができる確率が高くなるってホント?
<読者の声>
・高齢出産とか関係ないと思う。(27歳/アパレル・繊維/秘書・アシスタント職)
・双子ができる確率が高いのは遺伝かと思っていた。(27歳/情報・IT/販売職・サービス系)
・近親者に双子がいると双子率があがるらしい。(28歳/ソフトウェア/技術職)
・不妊治療の影響で双子ができると聞いたことがある。(28歳/医薬品・化粧品/販売職・サービス系)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「ホント」です!
まず、そもそも高齢(35歳以上)になると、双子を妊娠しやすくなります。なぜなら、加齢とともに、卵子の成長を助ける「卵胞刺激ホルモン(FSH)」が少し上昇するからです。このホルモン値があがると1回の排卵数が増えるため、双子の中でも二卵性の双子を妊娠する確率が高くなります。
実は、一卵性は全世界どこでもまったく同じ確率で現れると言われており、人種によって二卵性の確率が変わります。アジア人は比較的少ないほうで、日本はもともと自然妊娠で双子が生まれる確率は一卵性・二卵性合わせて0.8~1%くらいだったのですが、最近は1.8%にまで上昇しています。
これは、やはり高齢出産が増えていることと、何より「不妊治療」が大きく影響しています。不妊治療の一環で「排卵誘発剤」を使うと、排卵数をコントロールできないため、双子や三つ子を妊娠する確率が高まるんです。
以前は体外受精をする場合も、受精卵を2~3個子宮に戻すのがあたりまえでしたので、そのすべてが育つことで多胎妊娠が増えました。ただ、体外受精の技術が向上したことにより、平成17年以降は「35歳未満で、体外受精が初めての方」は基本的に1個しか戻さないという決まりができたので、以前に比べれば減少しています。
また、読者のコメントに「近親者に双子がいると双子率があがる」「双子ができる確率が高いのは遺伝」とありますが、これもたしかに多いと言われています。理由としては、冒頭で出てきた卵胞刺激ホルモンの出がいい体質が遺伝したと思われます。ちなみに、背が高い人も、卵子を育てるのに使われる「成長ホルモン(IGF)」が多く、双子を妊娠しやすいと言われていますよ。
最後に、不妊治療をする人の中には「双子がほしい」という理由で、わざと双子を妊娠しようとする方もいらっしゃいます。しかし、多胎妊娠は妊娠高血圧症や合併症、胎児の発育不全など母子ともにリスクが高いですし、帝王切開になることがほとんどです。また妊娠線のでき方も激しくなります。ですから、無理やり双子を作ろうと考えるのはやめましょうね。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※次回の更新は9月17日(土)です。お楽しみに!
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)
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