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【新連載】親友からの突然の結婚報告を、素直には喜べなくて……

「ああ、アパレル会社にお勤めなんですか」
矢代さんは席で一緒に食べた時も、
背筋が伸びて、いかにも育ちが良さそうだった。
「ええ。お店は女性ばかりなので今日は緊張して」
「実はぼくも、男性ばかりの職場なんで、
今日はやっぱり、少し落ち着かないかな」
そう言ってはにかんで笑う矢代さんには、
なんとも言えない色気と魅力があって、
危うく心を持っていかれそうになった。
というか矢代さんからも微妙にこう、
好きアピールを感じるのは気のせい……?

「で、いきなりですが和田さん、
子どもは何人ぐらい欲しいですか?
ぼく自分が5人兄弟だったから3人は欲しくて。
自慢しちゃいますが、
それでやっていけるだけの収入もありますよ」
矢代さんは、ニコニコしながらそう語った。
「うーん、わたし正直、
子供のことまで真剣に考えたことがなくて」

突然の問いかけに驚きながらも答えたとたん、
矢代さんはさっとクールな雰囲気に変わった。
「わかりました」
そう言ってにっこり笑うと、
彼はひとりでビュッフェにお料理を取りにいった。

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