ラジオ体操あるある「3世代/8バージョンある」「第3が最強に激しい」
デスクワークにつきものの肩こりと腰痛。同じ姿勢が続くのが原因だから、ラジオ体操でもしてみれば改善されるに違いない。
【もしも体内時計が狂ったら「肥満、高血圧、糖尿病の原因にもなる」】
誰もが知っているラジオ体操は、「郵便局のかんぽ」のPRがきっかけで、NHKや文部省とタイアップして国民的行事に発展した。夏の風物詩ともいえる「朝のラジオ体操」を始めたのは、なんとお巡りさんだったのだ。
国民保険体操ノススメ
ラジオ体操をさかのぼると、1885年に発足した逓信(ていしん)省がルーツとなる。
逓信省はいまの日本郵政やNTTの前身で、郵便や通信を管理していたが、1916年(大正5年)に保険事業を始めたのがきっかけで、海外の保険会社がおこなっていたラジオ体操を日本にも普及させようとしたのが始まりだ。
現代風にいえば「郵便局のかんぽ」のPRが目的だったが、やがてNHKや文部省が合流し、昭和天皇即位に合わせた国民的行事にまで話が発展する。そして1928年(昭和3年)、日本初のラジオ体操・「国民保険体操」が誕生したのだ。
その後2回改訂され、
・初代 … 国民保険体操(第1~3)
・2代目 … 大日本国民体操(第1~3) / 1946年(昭和21年)~
・3代目 … 現行のラジオ体操(第1~2) / 1951年(昭和26年)~
と、全部で3代、8種類が存在する。現在おこなわれているラジオ体操は第一/第二と呼ばれているものの、通し番号なら第7/8になるのだ。
第1~3の違いは、
・第1 … 「だれでも」「どこでも」をコンセプトにした軽い運動
・第2 … 青壮年向け。第1よりも強い運動
・第3 … 厚生省(当時)が発表した、シリーズ最強バージョン
と、すみ分けがなされている。
初代/2代目も音楽に合わせて体操するのだが、現行のように「腕を前から上にあげて~」などの詳しい解説はなく、「頭(かしら)を前後に!」「足の運動!」「ひざ曲げっ!」のような掛け声のみで、あとはひたすら1から8までの気合のこもった号令が続く。
しかも同じ旋律が繰り返されるので、途中で分からなくなりそうだ。現に、昭和21年に始まった大日本国民体操は難しいと不評で、わずか2年で廃止され、初代の国民保険体操に戻されてしまった。「誰でも簡単にできる」のコンセプトが、戦時色が強まるにつれて体力増強と精神の高揚が求められ、気合の入り過ぎた体操になってしまったのが敗因だ。
ラジオ体操はアキバ系?
公園などでおこなわれる夏休みのラジオ体操は、神田万世橋署(当時)のお巡りさんが1930年(昭和5年)に始めた「子供の早起き大会」がルーツだ。
当時は早起きは良いこととする風潮が強く、体操よりも早朝に集まることが重要視された。好評だったようで、2年後には「全国ラジオ体操の会」にまで発展し、やがてみんなが集まる集団性、時間厳守などの規律が生まれ、皆勤者には賞として切手がおくられる場合もあった。
現在のスタンプカードの原点はこれで、健康よりも規律が重んじられる不思議な会になっている。ただし、当時は午前7時におこなわれていたようだが、現在の放送時間は6時25~30分に早められているので、推奨されていたわりには、あまり「早起き」とは呼べなかったのかも知れない。
現在は神田/万世橋の2つの警察署に分かれ、万世橋警察署は秋葉原駅のほど近くに存在する。さわやかで健康的なイメージのラジオ体操を広めたお巡りさんが、現在のアキバを知ったら、そのギャップにさぞ驚くだろう。
まとめ
・ラジオ体操の始まりは、「郵便局のかんぽ」の宣伝
・昭和天皇即位に合わせ、国民的行事に発展
・3世代/8バージョンが存在する
現在は指導士や指導員の資格も存在する。
18歳以上なら受験できるので、興味のある方はチャレンジしてみてはいかが?
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年04月25日に公開されたものです