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「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」この違いは?

毎年ざん新なアイスを販売するメーカーが、3月にナポリタン味を発表した。Webにはトマトゼリーとかき氷が入ったアイスキャンディーで、種類はラクトアイスと紹介されているが、いったいどういう意味なのだろうか?

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ひとことでアイスクリームと呼んでいるものの、じつは厳しい階級社会で、最下層のラクトアイスには「ミルク」の名前が付けられない。かき氷も同様に、定番の「抹茶ミルク」「いちごミルク」は、反則なネーミングなのだ。

ラテン語はOK、カタカナはダメ

アイスクリームの歴史は古く、古代ギリシャやローマで誕生したとされている。「ブルータスお前もか」のセリフで知られるジュリアス・シーザーや暴君ネロは、はちみつや果実、乳を混ぜたものを冷やして飲んだと言われ、当時はお菓子ではなく健康ドリンクとして扱われていたようだ。

現在のアイスクリームは大別して2種類あり、乳成分が含まれた「アイスクリーム類」と、含まれない「氷菓(ひょうか)」に分かれる。さらにアイスクリーム類は3つの階級があるので、ひとことでアイスと言っても、じつは4種類もあるのだ。

アイスクリーム類は成分によって呼び名が異なり、乳固形分と乳脂肪分の量によって分類される。呼び名とそれぞれの量を比較すると、

・アイスクリーム … 15.0%以上 / 8.0%以上

・アイスミルク … 10.0%以上 / 3.0%以上

・ラクトアイス … 3.0%以上 / (なし)

で、乳成分の少ないラクトアイスは、植物性の脂肪で補っている製品も多い。そのためアイスクリームとアイスミルクは「ミルク」や「MILK」と表示できるが、ラクトアイスはNGなのだ。

余談だが、ラクトはラテン語で「乳」の意味なので、直訳すればアイスミルクと違いがない。ラテン語ならOKだが英語はダメ、のまかフシギなルールなのだ。

チョコレート味になるとさらにやっかいで、生地に使われるカカオの量によって、

・チョコレート … 35%以上

・準チョコレート … 15%以上

が存在する。さらに、量が少ないとコーチング(=コーティング)と表現されるので、ほとんどのひとはワケが分からないまま食べているに違いない。本当の意味の「チョコレートのアイスクリーム」を食べたければ、まずは勉強から始めないといけないようだ。

練乳はOK、ミルクはダメ

かき氷やアイスキャンディーなどの氷菓も、乳成分を含まないため「ミルク」「MILK」の名前がつけられない。ところが、喫茶店や屋台では「いちごミルク」「抹茶ミルク」が意外に多く使われている。公正競争規約には、例としてミルクセーキ、氷ミルクはNGと記されているのだが、あまり気にしていないのか、認知度は低いようだ。

逆にOKなのが、宇治金時に代表される練(れん)乳だ。練乳もれっきとした乳製品で、「乳及び乳製品の成分規格に関する省令」によると、アイスクリームと同様に乳固形分と乳脂肪分量が決められ、

・無糖練乳 … 25.0%以上 / 7.5%以上

・無糖脱脂練乳 … 18.5%以上 / なし

・加糖練乳 … 28.0%以上 / 8.0%以上

・加糖脱脂練乳 … 25.0%以上 / なし

と、乳成分はアイスクリームよりもはるかに多い。それなのに、加工されているので牛乳とは名乗れず、氷菓であるかき氷と組み合わさるとミルクの名もダメというから、不憫でならない。

まとめ

・乳成分が含まれると「アイスクリーム類」、ないものは「氷菓」

・乳成分が少ないラクトアイスと氷菓は、ミルクの名前は禁止

・かき氷の「抹茶ミルク」は、本来なら反則のネーミング

・ミルクはダメでも、練乳はOK

不思議なルールは気にしないことが、おいしく食べるコツのようだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年04月12日に公開されたものです

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