【医師監修】つわりの3原因 | つわりはなぜ起こるの?

【医師監修】つわりの3原因 | つわりはなぜ起こるの?

妊娠初期の女性の多くが経験する「つわり」の不快な症状はなぜ起こるのでしょうか? 今回は、つわりの原因と具体的な対策について解説します。


つわりとは?

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妊娠初期の吐き気やおう吐、食欲の低下などの消化器症状を中心とした体調不良や症状が出る状態を総称して「つわり」と呼びます。

つわりは、妊娠初期の女性の50〜80%[*1]が経験するとされているものの、症状や程度は個人差が大きく、また、同じ人でも妊娠の度にその症状や程度は違うことがあります。

一般的には5〜6週ごろから始まり、12〜16週ごろまでの一過性の症状で、症状は徐々に軽減しておさまるケースが多いものの、長引く場合もあります[*1] [*2]。

つわりの原因って?

つわりの原因はまだ詳しく明らかになっていませんが、妊娠によって起こる「ホルモン分泌の変化」「代謝の変化」「精神的な変化」などいくつかの要因が複合的に影響していると考えられています。
中でもつわりを悪化させる主な要因として考えられているのは次の3点です。

(1)hGCホルモンなどの分泌増の影響

妊娠によって分泌量が増えたホルモンが脳の「おう吐中枢」という部分を刺激し、吐き気やおう吐をまねくと考えられています。特にhGCホルモンの分泌量が増える時期がつわりの発症時期と重なり、分泌量が減る時期につわりが軽減するため、つわりに関与していると考えられています。

妊娠・出産とホルモンの変化イメージ

(2)プロゲステロンの消化器への影響

プロゲステロンの分泌が高まると全身の筋肉が緩むことから、消化器での食べ物の消化や腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が低下することとなり、消化器症状をまねきます。同時に、急速に大きくなっていく子宮が消化器などを圧迫することも、消化器症状の悪化に影響します。

(3)精神的な要因

妊娠や出産、生活への不安、仕事や夫婦・家族間の問題など、妊婦さんの背景にある精神的ストレスは、つわりによる身体的ストレスとともにつわりを悪化させると考えられています。

松峯先生
「つわりは、妊娠によって起こる急激な心身の変化に、女性自身の体調が適合するまでの間に起こる体調不良と考えるとわかりやすいでしょうか。つわりが赤ちゃんに直接影響することはありませんが、症状が悪化し妊娠悪阻(にんしんおそ)という病気に進んでしまうと母子の生命の危険につながるリスクがあり、その場合は治療が必要となります」

原因から考えるつわり対策は?

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つわりがつらいときには、次のような工夫を試してみましょう。

(1)無理せず食べる

食べられるものを食べられるとき、食べられる分だけ食べましょう。この時期は十分に食べられなくても赤ちゃんに影響はないので無理をしないで!
なお、「妊娠したら2人分の食事」などと言いますが、その必要はありません。妊娠初期には1日50kcalをプラスすることが推奨されていて[*3]、50kcalの目安は食べ物でいうとバナナ1/2本程度となります[*4]。

ただし、脱水には気をつけ、栄養補給で心配なことがあれば主治医に相談してください。

(2)消化のよいものを食べる

消化器の負担を軽くする食べ方として次のようなことを試してみましょう。これは、妊娠後期に起こりがちな消化器不調対策にもなる食べ方です。

・ よく噛んで、ゆっくり食べる
・ 生よりよく煮込んだものなど、消化しやすい料理を選ぶ
・ 揚げ物など脂質が多く、消化に時間がかかるものを食べすぎない
・ 1日3回ではなく、5、6回に分割して食べる

(3)心身ともに無理をしない

仕事や家事の無理をしすぎない注意をして、心身を休めることを心がけましょう。

また、ストレスは1人で抱え込まない、がまんしないことが大切です。不安や悩みがあったら身近な信頼できる人や、妊婦健診の機会などに主治医や助産師に相談をしましょう。

妊婦健診の目的のひとつは「妊婦が医師や助産師などとコミュニケーションをとり、妊娠・出産・育児について気軽に相談できる機会となることで、妊娠期間中を安心して過ごせるようにする」とされています[*5]。「医療機関で相談できるのは体のことだけ」などとは思わず、妊娠にまつわる不安に思うこと・つらいと思うことを伝えてみましょう。

(4)がまんは禁物、早期受診!

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食事や水分を受け付けず、おう吐を繰り返してしまうような場合は、がまんせず、早めに主治医に相談して必要な治療を受けましょう。

松峯先生
「つわりの時期には、妊婦さんがより妊娠を前向きにとらえ、症状が軽くなるよう、さまざまな相談にのっています。吐き気をがまんして家族のために台所に立っている人も多いですが、たとえばつわりがあって特定の食べ物しか受け付けず、苦手なにおいを嗅ぐと吐き気をもよおすような状態で、家族の食べたい献立を調理するのは、想像以上に大変なことです。そんなときは、家族で外食してそれぞれ好きなものを食べることなどを提案しています。つわりについてパートナーなどの理解が乏しい場合には、健診に同行してもらって、一緒に医師の説明を受けることを勧めています。妊婦さんから伝えるよりも、医療者から直接伝えた方が納得しやすいこともありますので、こうした機会を利用してパートナーや家族にもよく理解してもらいましょう」

まとめ

つわりの原因は、妊娠によって起きるホルモン分泌量や精神面の変化によるものと考えられています。ホルモンの変化は妊娠経過において避けられない大切なことですので、なるべく気持ちを楽にしてこの時期を乗り切ってください。無理をせず、症状がつらく、生活に支障をきたすような場合には早めに産科を受診し、主治医や助産師から適切なケアや症状軽減のためのアドバイスを受けましょう。

この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、東峯ラウンジクリニック副所長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(いずれも東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします! どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 病気がみえるVol.10産科 第4版 , メディックメディア, 2018.
[*2] 「臨床婦人科産科 2018年 4月号増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド? いまのトレンドを逃さずチェック! 」, 医学書院, 2018.
[*3]厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
[*4]文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm
[*5]厚生労働省「リーフレット“妊婦健診”を受けましょう」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken13/
産婦人科診療ガイドライン―産科編, 日本産科婦人科学会, 2017.
中井章人「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」東京医学社,2008

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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