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【医師監修】つわりはいつから?  治まるまでの期間とピーク時期の対処法

【医師監修】つわりはいつから? 治まるまでの期間とピーク時期の対処法

妊娠初期の妊婦さんを悩ませる不調の一つに、「つわり」があります。多くは妊娠16週ごろ までに自然に治まりますが、症状や期間には個人差があり、自分に合った方法で対処することが肝心です。つわりの時期を上手に乗り切る秘訣を探ってみました。


この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 宮国泰香 先生
山梨医科大学医学部卒業。順天堂大学産婦人科に入局、順天堂大学大学院卒業。 Imperial college London, King’s college Londonに客員研究員として留学。現在は公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院婦人科勤務。産婦人科専門医。日本産婦人科医会幹事。順天堂大学産婦人科非常勤助教。

つわりの一般的な期間とピーク時期の平均

つわりの女性
Getty logo

ごく軽いものも含めると、大半の妊婦さんが経験するといわれるつわり。なぜ起こるのか詳しいメカニズムは不明ですが、「今は妊娠初期の大事な時期ですよ!」という赤ちゃんからのサインと捉え、無理をしないことが大切です。

そもそも、つわりとは? 主な症状と考えられる原因

つわりは、妊娠によって引き起こされる吐き気、嘔吐、食欲不振などの不快症状を指す言葉です。妊婦さんの5~8割が経験するといわれ[*1]、消化器症状を中心に、唾液の増加、味覚や嗅覚の変化、頭痛、眠気、めまい、体のだるさなど、さまざまな症状があらわれます。朝の空腹時に気分が悪くなる人が多いことから、morning sicknessとも呼ばれています。

つわりの原因は科学的に解明されていませんが、「妊娠初期に胎盤から多量に分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピンというホルモンの働きによる」という説や、「妊娠に伴って増える女性ホルモンのプロゲステロンが胃腸の運動を低下させ、消化不良や胃酸の逆流などを引き起こすため」という説などがあります。また、精神的な要因も大きく、ストレスが強い人ほど症状が重くなるともいわれています。

つわりの始まりからピーク、治まるまでの一般的な時期

つわりは、早い人では妊娠成立直後の妊娠5~6週ころから始まります。妊娠8~10週ごろにピーク を迎え、12週ごろから楽になり始めて 16週ごろ(妊娠5カ月の初め)までには自然に症状がなくなることが多いです。
ピーク時には「このつらさはいつまで続くの?」と不安になったり、イライラしたりするかもしれませんが、一時的な場合がほとんどですから心配しすぎないようにしましょう。

まれに、症状が長引いたり、どんどんひどくなったりすることがあります。その場合は点滴などの治療が必要な「妊娠悪阻(にんしんおそ)」(後述)である可能性もあるので、つらいときには、我慢せずに産婦人科を受診するようにしましょう。

つわりの症状や期間には個人差があることを知っておこう

つわりの症状がいつ、どのようにあらわれ、いつまで続くかは、一人ひとり違います。また、同じ人でも、1人目のお子さんの妊娠のときと、2人目のときとでは、症状が異なることがあります。

一般的には、気分の悪さや吐き気・嘔吐などが数週間続きますが、食べれば症状が治まる(いわゆる食べづわり)という人もいれば、全く症状が出ない人もいます。

一方、つわりが重症化して水分や食事がほとんど取れなくなり、急激に体重が減ったり(妊娠前の体重の5%以上[*2]) 、脱水や栄養不足に陥ったりした状態が妊娠悪阻と呼ばれる病気です。 妊娠悪阻になるのは、全体の0.5~2%といわれています[*3]。

脱水がひどくなり血液が濃くなると、足の静脈を血液の塊が塞いでしまう「深部静脈血栓症」の発症リスクが高まります。重症になり、血栓が血流に乗って肺静脈に達すると、肺塞栓症を起こして呼吸困難になり、ときに命にかかわることもあるので要注意です。

つわりが妊娠悪阻にまで発展すると、基本的に入院したうえで点滴などの治療を受けることになります。 つわりは妊婦さんにとってありふれた不調ですが、このような危険も潜んでいることを知っておいてください。

つわりの時期を乗り越えるには? 食事や生活のアドバイス

つわりで、あまり食べられなくなると、赤ちゃんが栄養失調になってしまうのではないかと不安になるかもしれませんが、この時期の赤ちゃんはまだ小さくて栄養の必要量が少ないので、成長に影響を与えることはありません。食べたいものを、食べられるときに食べましょう。ただし、脱水を防ぐために水分はこまめに取るようにしてください。

自分に合った、つわり対策を見つけることが大切

つわりの症状には個人差があるため、効果的な対処法も人それぞれです。例えば、特定のにおいに敏感になる妊婦さんは多いのですが、「コーヒーのにおい」「歯磨き剤のにおい」「ご飯が炊けるにおい」など、苦手になるにおいはさまざまです。自分に合った対処法を見つけて実践し、少しでも症状を軽くするようにしましょう。

つわりが辛いときの食事のアドバイス

食欲がわかないときは無理をせず、食べられるものを、食べられるときに少量ずつ食べるようにしましょう。プリン、ゼリー、アイスクリームなど口当たりのよい食べ物や、酸味のあるもの、冷たいものなどは、比較的、食べやすいようです。

食事の量が減ったり、嘔吐したりすると、体の水分量も不足しがち。水分はこまめに補給することが大切です。吐き気がするときは、冷たくしたほうが飲みやすいでしょう。ミネラル分を含むスポーツドリンクや、栄養補給も兼ねてジュースやスープを飲むのもおすすめです。

欧米の妊婦さんは、吐き気の予防に生姜をよく食べるそうです。 生姜の摂りすぎは胃に負担をかけることもあるので、 少量ずつ料理や飲み物に使ってみると良いかもしれません。

調理中のにおいで気分が悪くなるという人は、家族に食事を作ってもらったり、買ってきたもので食事を済ませたりするのも一つの方法です。つわりの症状が解消したときには、バランスのよい食生活を心がけるようにしてください。

つわりが辛いときの生活の工夫

食事が十分に取れないと疲れやすくなりますから、家事や仕事で無理をしないことが大切です。また、不安やストレスはつわりの症状を悪化させる要因になるため、趣味に集中する時間や、ゆったりとリラックスできる時間を、意識してつくるようにしましょう。

おなかがすくと気分が悪くなる人は、朝、起きたときにすぐに食べられるように枕元にクッキーなどを置いておいたり、外出時には糖分補給用の飴などを持ち歩くとよいでしょう。

体調不良によって家事や仕事が思い通りにできず、もどかしい時期ですが、家族や同僚の助けも借りながら、「できることを、できるときに」行い、マイペースで生活するようにしてください。

つわり期間の上の子の育児に関するアドバイス

つわりでつらいときは休養が大切だとわかっていても、まだ幼い上のお子さんに手がかかり、なかなか休めないという妊婦さんも少なくないでしょう。頼りのパパは仕事で帰宅が遅く、実家も遠方で父母の助けも得られないといったケースでは、無理を重ねてしまいがちです。

そんなときは、保育園の一時保育や、地域のファミリー・サポート・センター(子育て支援事業)、民間のベビーシッターなどを積極的に利用して、育児の負担を軽くするようにしましょう。

体がだるくて家事がはかどらないときは、自治体や民間の家事支援サービスを上手に使って息抜きするようにしてください。お住まいの地域にどんなサービスがあるか知りたいときは、自治体のホームページで調べたり、子育て支援課などに問い合わせてみるとよいでしょう。

つわり期間の仕事はどうする? 働き方のアドバイス

妊娠・出産しても働き続ける女性が増え、企業や社会の支援制度も徐々に整いつつあります。身近な家族はもちろんのこと、職場の上司や同僚、地域のサポートも大いに活用して、つわりの時期を乗り切りましょう。

会社への妊娠の報告は無理のないように

仕事を持っている女性は、妊娠がわかったら、出産予定日や産前・産後休暇、育児休業などの予定を職場に報告する必要があります。先々の仕事の段取り面では なるべく早めに伝えたほうがよいものの、「流産のリスクが下がる安定期まで待ちたい」といった希望もあるでしょう。職種や勤務形態などによっても状況は異なりますから、自分にとってベストなタイミングで伝えるようにしてください。

ちなみに、「働く女性の妊娠に関する調査」(2015年に日本労働組合総連合会が実施)によると、職場への妊娠報告の時期で最も多かったのは「妊娠8週」(14.8%)、次いで「同12週」(10.8%)、「同13~16週」(10.5%)の順でした[*4]。

自分の症状に合ったサポートをお願いしよう

雇用主には、「働く妊婦さんが妊婦健診を受ける時間を確保する」「ラッシュ時を避けた時差通勤を認める」「時間外労働・休日労働・深夜労働などをさせない」といった母性保護の措置を行うことが、法律によって義務付けられています。母性保護規定は正規雇用の人だけでなく、パートやアルバイトで働く人にも適用されます。

長時間の立ち仕事や重い荷物を運ぶ仕事、外回り営業などに就いていた人は、作業の軽減や休憩時間の取得、場合によっては配置転換などを願い出ましょう。妊婦さんが請求した場合、雇用主は必要な措置を講じなければなりません。

つわりがつらい時期は、できること、できないことを上司や同僚に率直に伝えて、理解と協力を求めましょう。

伝えにくいときは「母性健康管理指導事項連絡カード 」を活用しよう

妊婦さんが働く上で、業務内容などに配慮を求めるのは当然の権利です。とはいえ、忙しい職場で同僚に遠慮したり、上司に言い出しにくかったりすることもあるかもしれません。

そんなときの心強い味方が「母性健康管理指導事項連絡カード 」です。体調不良などの状況や必要な業務上の措置などを医師に記入してもらい、会社側に提出します。

母性健康管理指導事項連絡カードは、厚生労働省のホームページ「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」などに記載されているものをコピーして使うとよいでしょう。

厚生労働省「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/renraku_card/

まとめ

つわりの症状や時期には個人差があり、効果的な対処法も一人ひとり異なります。自分のつわりのタイプに合った食事や生活の工夫の仕方を見つけて、つらい時期を少しでも快適に過ごすようにしましょう。
働いている妊婦さんは、タイミングをみて職場への妊娠報告を。勤務の相談には「母性健康管理指導事項連絡カード」が役立ちます。妊娠初期には体の変化に戸惑うことも多いと思いますが、小さな命の成長を楽しみながら、マタニティーライフを健やかに送ってください。

(吉村直子/毎日新聞出版MMJ編集部、監修:宮国泰香先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]研修医のための必須知識「異常妊娠」, 日本産科婦人科学会雑誌, 54巻1号, 2002.
[*2]病気が見えるvol.10産科 第3版, 84p, メディックメディア, 2017.
[*3]公益社団法人日本産科婦人科学会, 産科診療ガイドライン2017, CQ201妊娠悪阻の治療は?
[*4]日本労働組合総連合会「働く女性の妊娠に関する調査」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20150223.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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