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2023年01月16日 15:11 更新

【医師監修】つわりに波があるのはなぜ? 時間帯や時期・日により変化する理由と対処法

妊娠してつわりが出てきたけど、「朝がつらい」「休日にひどくなる」「一度治まったのにまた気持ち悪くなってきた」など、症状に波があることも。これはなぜ起こるのでしょうか。考えられる理由と波がある場合の対処法について解説します。

<アンケート>つわりには波があった?

具合の悪そうな女性

妊娠・出産経験のある先輩ママに、つわりの症状の程度や有無で波はあったか聞きました。

その結果、多くの先輩ママが時間帯や特定の状況、時期によってつわりの症状に波があったと感じていました。

時間帯による波

朝がひどい

昼間ひどい

夕方~夜にかけてひどくなる

特定のシチュエーションになるとつらい……

通勤が地獄……

仕事中がつらい

週末や休日、仕事終わりがつらい

時期によっても波が

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2021年12月28日~2022年1月4日 調査人数:87人(21歳~40歳以上の女性)の回答より抜粋 ※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

つわりに波があって不安。これは普通なの?

疑問がある女性のイメージ

妊娠すると多くの妊婦さんが経験するつわり。具合の悪い最中はつらいものですが、時間や日によって治まるときがあると、かえって不安になる人がいるかもしれません。

原因ははっきりわからないが波があることも

つわりが起こる原因は、まだはっきりわかっていません。妊娠によって大きく変化するホルモン分泌が影響しているのではないかと言われていますが、それだけではなく、その他の代謝の変化やストレスなども影響している可能性があるようです。

つわりは、妊婦さんの50~80%に起こると言われていますが、症状がひどい人もいれば、比較的軽い人やまったくない人もいて、個人差が大きいマイナートラブルです[*1]。また、最初に紹介したように、同じ人でも時間帯や日、時期によって波があるのも珍しくありません

なぜ起こるかがよくわかっていないので、このように個人差が大きい理由も定かではなく、同じ人で症状に波がある理由もはっきりしたことはよくわかりません

赤ちゃんのことは心配しないで

つわりに波があると、赤ちゃんは元気なのか心配になるかもしれませんが、妊婦健診で何か問題を指摘されてないなら、赤ちゃんの心配はしなくて大丈夫です。

また、妊娠初期には赤ちゃんはママの体からの栄養はそれほど必要としないので、つわりで思うように栄養が摂れていなくても、あまり焦らないでください。妊娠初期は、ママの体の健康維持に必要な栄養や水分が摂取できていれば問題ありません。

つわりに波がある場合に考えられる理由

時間のイメージ

つわり自体はっきりした原因がわからないのでそうなる理由も不明ですが、時間帯や日、妊娠の時期によって、症状が出たり治まったりすることもあります。これにはどんな理由が考えられるのでしょうか。

つわりは朝出やすいと言われている

つわりは、もともと早朝の空腹時に悩まされる人が多いと言われています。そのため、英語では「morning sickness」と呼ばれています。

仕事や家事のある日中がつらい場合

つわりには心理的な要因もかかわっており、悪化の引き金になる可能性があると言われています[*2]。

仕事や家事などをしていたほうが気が紛れて不調を感じにくくなる人もいれば、こうした活動による心理的負担などでつわりが悪化する人がいても不思議ではありません。

夜のほうがつらくて眠れない場合も

通常時でも、夜は一日の疲れを感じやすい時間帯です。そのために、つわりの症状が悪化している可能性もあります。また、とくに横になったとき気持ち悪くなる場合は、胃酸の逆流が症状を引き起こしているのかもしれません。

夜は逆流性食道炎が起こりやすい

妊娠すると、女性ホルモンの増加により胃と食道のつなぎ目にある「噴門」のしまりが悪くなります。また、子宮が大きくなっていくと腹圧が高まるので、胃から食道へと胃酸などの内容物が逆流しやすくなります。

横になると、重力による抑えがなくなるうえ、睡眠中は飲み込む動作と唾液の分泌が減るため、さらに逆流しやすくなります。これは「逆流性食道炎(胃食道逆流症。GERD)」と言いますが、とくに妊娠中期以降に現れやすく、通常のつわりと違って食後に症状が出やすいという特徴もあります。

つわりに波があるときの対処法

伸びをする女性

つわりにひどくなったり、治まったりといった波があるときは、どう対処すれば良いのでしょうか。

無理をしない

妊娠中の女性の体はデリケート。治まっていたとしても、いつまた具合が悪くなるかわからないので、普段からあまり無理をせず、具合が悪くなったら、できるだけ体を休めるようにしてください。

横になるときは「左側を下」に

体を休める際は、できれば少し横になって休憩できると良いですね。その際は「左側を下」にして横向きになると、胃からの逆流が起こりにくくなります。

それ以外にも、この姿勢は心臓から全身へ血液が流れやすくなったり、首や腰、背中の痛みが起こりにくかったりし、胃腸の不調時や妊婦さんに向く寝姿勢と言われています。

なお、ずっと左側を下にしていなければならないということではなく、ときどきは右を下にすると、左腰にかかる負担を軽減できます。

具合が悪くなることを予想して事前に準備

具合が悪くなったときに備えて、手軽に口に入れられるビスケットやガムなど、自分のつわりに合わせて、症状の軽減に役立ちそうなものとエチケット袋を用意しておくと安心です。

また電車などで移動する際は、途中で休憩が必要になるかもしれないので、通常時より早めに出発するなど、余裕をもって行動できると良いですね。

ずっと具合が悪いわけではないから我慢すべき?

医師のイメージ

波があると、治まるときもあるのだからつらくても我慢しようと思うかもしれませんが、あまりひとりで頑張り過ぎないでください。

吐き気がとてもつらいなら主治医に相談

つわりもあまりひどいと、医療機関での治療が必要になることがあります。これは「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼ばれ、下記のような状態では妊娠悪阻が疑われます。

・一日中何度も吐く

・食事がとれず水も飲めない。尿の量が減った

・体重がどんどん減っている(とくに元の5%以上減った)

以上のような症状があるときは、かかりつけの産院にまず相談してみてください。場合によっては点滴や、入院での治療が必要になることもあります。

まとめ

横になる女性

つわりに波があって気になる場合、考えられる理由や対処のポイントなどを解説しました。

つわりはそもそも原因がよくわかっておらず、症状に波がある理由もよくわかりません。でも、実際、症状に波があった妊婦さんは多いものです。理由がわからず個人差も大きいので、これをすればみんな必ず良くなるという対処法はありませんが、自分なりに症状が軽くなる方法をいろいろ試してみましょう。

いずれにしても、つわりは良くなる日が必ず来ます。辛抱の日々が少し続きますが、自分が楽に過ごせることを第一に、この時期を乗り越えましょう。

(構成・文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]病気が見える 産科, メディックメディア, 2018.
[*2]周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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