【助産師監修】乳製品や肉はダメって本当? 乳腺炎を予防する食事とは?

【助産師監修】乳製品や肉はダメって本当? 乳腺炎を予防する食事とは?

かかるとツライ乳腺炎。できることなら予防したいところですが、そのためにはどんな食事を心がければいいのでしょう。また脂肪分のとりすぎが乳腺炎の原因になるというのは本当でしょうか。ママが知っておきたいポイントを紹介します。


多くのママがかかる乳腺炎とは?

ある日突然、おっぱいが赤く腫れ上がって痛くなる――。

乳腺炎という病気は、ママが赤ちゃんに母乳をあげている授乳期に起こりやすい、おっぱいのトラブル。産後3ヶ月までにおよそ10人に1人、全授乳期間では3~5人に1人が経験する[*1]といわれるほど、身近な病気といえます。

母乳が乳房で滞るうっ滞乳腺炎

乳腺炎には大きく2つのタイプがあります。

一つは、母乳の通り道である乳管が、何らかの理由で狭くなることで母乳の出が悪くなり、乳腺に溜まってしまい、炎症を起こしたもので、「うっ滞性乳腺炎」といいます。

主な症状は、乳房の腫れやしこり、痛み、赤み、熱感など。早期にケアを始めればすぐによくなることも多く、授乳の仕方などを見直すことで再発予防も可能です。

細菌感染で起こる急性化膿性乳腺炎

もう一つは、乳房が細菌に感染して発症する「急性化膿性乳腺炎」。

先に紹介したうっ滞性乳腺炎は細菌感染を起こしやすく、そこから急性化膿性乳腺炎になるケースもあります。

症状は、乳房の一部が腫れて、痛み、赤み、に加え、悪寒やインフルエンザ様の体の痛みをともなう高熱が出るのが特徴です。抗菌薬などによる薬物治療が必要で、症状が重い場合は、患部を切開して膿を出す外科的な行われることもあります(抗菌薬は授乳中でも使えるタイプを用います)。

【医師監修】乳腺炎の症状と対処法!授乳の注意点とは?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1427

授乳中のママが多くなるといわれる乳腺炎。今回は、乳腺炎の症状や原因を詳しくお伝えし、症状や状態に合わせた対処法や改善法をご紹介します。

乳腺炎の原因は食事なの?

乳腺炎の原因について調べると、実にさまざまな情報が載っていて、まさに玉石混交。食事の乳腺炎への影響を指摘しているものも多く、ママとしては気になるところでしょう。

はたして、乳腺炎になりやすい食事があるというのは本当でしょうか。

母乳は何からできている?

まず、見ていきたいのは母乳ができる仕組みです。

母乳には、タンパク質や脂質、炭水化物、ミネラルなどが含まれていますが、これらの成分はママの体を流れる血液中に存在していたものです。

ママがとった食事は、胃や腸などの消化器官で消化・吸収された後、消化酵素によってブドウ糖やアミノ酸などの栄養素に分解され、血液にのって全身に運ばれます。これらが母乳の材料となるというわけです。

そう考えると、確かにママの食べたものが母乳になるというのは間違いなさそうです。

ただ、母乳のブドウ糖やナトリウムの濃度などは常に一定に保たれるなど、さまざまな仕組みがママの体には備わっているため、食べたもの内容が母乳に影響するということはありません。

塩分の多い食事をしたら母乳が塩辛くなったり、スイーツを食べると母乳が甘くなったりすることはないのです。

「乳製品や脂肪分の多い食事が原因」は誤解

ではなぜ、乳腺炎の原因が食事、といわれるようになったのでしょう。

考えられるのは、「うっ滞性乳腺炎で乳腺を詰まらせるのは、脂肪である」こと。そこから、「動物性脂肪が多く含まれる血液からできた母乳は、脂肪の固まりを作りやすい」という説が出てきたのです。

しかし、この説については根拠がなく、乳製品や肉をたくさん食べたからといって、母乳が脂っこくなったり、乳腺をつまらせる原因になったりすることはない、というのが今の主流の考え方です。

毎日、野菜や魚などをとらず、揚げものや肉ばかり食べるという偏った食生活は問題ですが、乳腺炎を気にしすぎるあまり、脂肪をとるのを極端に控えるのも、ママの健康を考えるとよくありません。

乳腺炎の原因と考えられるリスクは4つ

そもそも、乳腺炎のリスクは食事ではなく、以下の4つになります。
乳腺炎の予防には、これらを見直すことのほうが大切です。

・赤ちゃんが母乳を飲みとれず、乳房に母乳が溜まってしまう。
・下着や抱っこひもなどで乳房を締め付けたり、圧迫したりしている。
・授乳の姿勢が適切ではなく、赤ちゃんが母乳をしっかり飲めていない。
・疲れやストレスなどで、ママの抵抗力が落ちている。

【助産師解説】乳腺炎対処法!効果的な自宅ケアとマッサージの方法

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3527

乳腺炎のような症状が出たとき、自宅ですぐにできるケアやマッサージ方法を助産師が教えます。乳腺炎という言葉はよく耳にするけど、具体的にどのような症状なの? という疑問にもお答え。発症リスクや予防方法についても知っておきましょう。

予防のためにママが摂りたい食事とは?

上記のように、ママの抵抗力が落ちていると乳腺炎にかかりやすいことがわかっています。

つまり、食事に関して言えば、「抵抗力を落とさないような食事をすること」が、最新の考え方に基づく「乳腺炎にならないための食事」といえるのかもしれません。

では、乳腺炎予防のためにママがとりたい食事とはどんなものでしょう。

肉や魚、卵も。水分補給はこまめに

厚生労働省の調査によると、10 年前に比べて母乳で育てるママの割合が増加し、生後1ヶ月では 51.3%、生後3ヶ月では54.7%でした[*2]。
それだけ多くのママが母乳で育てているというわけです。

授乳期は、ふだんよりもたくさんのエネルギーや栄養素が必要になるので、栄養バランスのとれた食事をしっかりとることが大切です。
とくに肉や魚、卵などのタンパク源は大切。野菜は確かにヘルシーですが、そればかり食べていると栄養が偏ります。

大事なのは、肉、魚、大豆・大豆製品、野菜、穀類、キノコ類など、できるだけいろいろな食材を使った食事を心がけること。不足しがちなビタミンやミネラルについては、助産師さんに相談の上、サプリメントを利用してもいいと思います。

水分もこまめにとるようにしましょう。

まとめ

厚生労働省の調査によると、10 年前に比べて母乳で育てるママの割合が増加し、生後1ヶ月では 51.3%、生後3ヶ月では54.7%でした[*2]。それだけ多くのママが母乳で育てているというわけです。授乳期は、ふだんよりもたくさんのエネルギーや栄養素が必要になるので、栄養バランスのとれた食事をしっかりとることが大切です。とくに肉や魚、卵などのタンパク源は大切。野菜は確かにヘルシーですが、そればかり食べていると栄養が偏ります。大事なのは、肉、魚、大豆・大豆製品、野菜、穀類、キノコ類など、できるだけいろいろな食材を使った食事を心がけること。不足しがちなビタミンやミネラルについては、助産師さんに相談の上、サプリメントを利用してもいいと思います。水分もこまめにとるようにしましょう。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文:山内リカ、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会「Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本」p103
[*2]平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134207.pdf

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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